以前に撮ってあった番組を見る。
NHKスペシャルの「腸内フローラ」だ。
今年の2月22日放送分で
ちょっと前だけどようやく時間ができたので観た。
自分の研究テーマの一つが微生物との共生だが、
その一つとして人と微生物の関係で
腸内環境についていろいろと文献を読んできたが、
この番組は、
それを簡単にまとめていて、とてもいい番組だった。

フローラとはお花畑のこと。
腸内に多様な細菌が住みついていて
その多種多様さと100兆以上という量の豊かさを
フローラ(お花畑)という言葉で表現している。
そんなに細菌が住んでいて大丈夫?って
思われる方もいるかもしれないが、
これが住んでいないと人は人らしく生きていくことさえ
ままならないのさ。
毎日の排便の1/3はその細菌群の塊だとも言われている。
腸内に共生している細菌は
僕らが食べたものを一緒に消化する。
その過程で彼ら彼女らもいろんな物質を発する。
その発した物質が
僕らにとって抗がんに必要な物質だったり
過剰な肥満を抑制したり、成人病予防につながったり、
老化を防いでくれたり、と、
僕らには無くてはならない物質を多く作り上げてくれる。
さらに、腸は第2の脳と言われており
脳の次に神経細胞が集中している場所でもある。
番組でも取り上げられていたが
細菌たちが僕たちの食べたものを分解する過程で
発せられる物質が電気信号化されて
その神経を伝って脳に刺激を送っているという
研究もずいぶんと進んでいた。
僕らの腸内の環境は、
つまりはそこにどういう細菌が住んでいるかで
僕らの思考や性格に大きく影響を与えているという
事実はとても衝撃だった。
僕らの思考は、僕ら自身の中にあるのではなく、
僕らの腸の細菌たちとの共生の産物とも
いえるものなのだ。
我思うゆえに我ありといったデカルトも
この事実を知ったらびっくりだろう。

ではその細菌はどのようにして
僕らの体の中で住むようになったのだろうか。
それは日々の食事の中で
取り込まれた細菌群を
腸管免疫を司るlgA抗体が
有益な細菌群を選んで
小腸の粘膜の中に引き入れ
そこに細菌のフローラを形成してきた。
世界には細菌の分類群(門)は30とも100とも
言われているが
腸内に住むことを許された細菌群は
(つまりはlgA抗体に小腸の粘膜内に引き込まれた細菌たち)
4つの群しかないという。
つまり長年の進化の歴史の中で
僕たち人類は多くの細菌の中から
4つの有益な細菌群と共存することを選んだということだ。
腸内フローラは
多様かつボリュームがあればあるほど
それは優れているという。
抗菌や滅菌が流行る時勢が
何かとんでもなく方向違いをしていると指摘する
研究内容がとても小気味よい。

その細菌群を育むために必要なことは、
まずは僕らの食事の質だ。
細菌群の栄養となるが食物繊維。
腸に良いってこれまで聞いてきた食物繊維も
便通が良くなるってだけだと思っていたが
いやいや、その細菌群のエサになると分かれば
これは積極的にとらないわけにはいかない。
そして過剰な抗菌滅菌思想を避けること。
ある分子生物学者は
週に2回は手を洗わないで食事した方が良い、と
言い切るほど
今は抗菌滅菌思想がはびこっていて
それが腸内環境を悪くしている。
ある程度菌を摂取することが
僕らの健康を支えることになる。
ただここで大事になるのが胃の調子。
胃では胃酸を出して多くの細菌が死滅してしまう。
それは人が食中毒にならないためでもある。
多量の菌を摂取し、その結果食中毒になっては
健康とはあべこべの結果になる。
暴飲暴食をさけ、快眠とストレス減で胃の調子を
整えたうえで、
僕らは適度に菌と共生する道を選ぶべきだ。
あとこれはまだ答えが出ていないが
僕は水道水の塩素が腸内フローラに
大きく影響しているとも考えている。
水道水の滅菌が腸内も滅菌してしまうのではと
思って、もう5年以上水道水を直接飲むことを避けている。
だけど、まだそれを明記している文献には出会っていない。

農園でバイトしている学生が
卒論のテーマとして
朝食と躁鬱関係を調べている。
朝食をとることと躁鬱との関係だが、
これはすでに答えが見えている。
腸内環境が人の思考や性格に大きく影響するのだから、
これは朝食と躁鬱は大きく関係しているだろう。
しかも大事なのはその内容、つまりは質かもしれない。
朝からしっかりと食物繊維をとり
しかも自炊しないとダメだ。
過剰な食品添加物によって滅菌された食べ物だと
(たとえばコンビニの弁当などなど)
やはり腸内環境には良くないだろう。
添加物がどう悪いのかはこれまでわからない部分も多かったが
細菌の繁殖を防ぐような添加物と
腸内環境との関係から研究しても
面白いだろうね。
そういう文献もまた探して読みたい。

腸内フローラ、新しいテーマが
また一つ僕の中に増えた。
そんな良質の番組だった。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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