ちょっと目が回るくらい忙しい。
それに猛暑が加わって、
最近は、麦酒が晩飯のメインになるほど
疲れている。
という言い訳をして
ブログを書かなかった現状を報告。

気を取り直して、エントリーを一つ。
土曜日は農政連主催の
福井県農業推進政談会があった。
TPPの閣僚会議最終日で、
すわ、一気に大筋合意か!?と
思われたが、結局流れて、
午後からの政談会はすこし和やかなムードの中で
行われた。
もし午前に大筋合意されていれば、
その政談会に出た政治家は無事には帰れなかっただろう。
と思いたいけど、そんな気迫も魂胆ないので
たぶん普通に終わっただろうね。

さて政談会では
福井県選出の国会議員さんと
林農水大臣が登壇し、これからの農業について
いくつかの提案があった。
ちなみにこの政談会は質問時間を全く用意されておらず、
農家はただバカな顔して
国会議員の話を聞くだけという
なんとも馬鹿げた企画だった。

福井選出の国会議員さんの話は、
稲田さんと高木さん以外は
話の中身がなく、
上記の2名にしても飼料米や
土地改良・中間管理機構に予算等、
農産物輸出に活路と、
耳にタコができるくらい聞いた話以外の話はなかった。
貴重な休みである土曜日に
こんな会に付き合わされている事が
なんとも腹立たしい。

林農水大臣の講演も基本的には
稲田さんや高木さんと同じで
輸出・エサ米・インバウンドなどが中心の話で
これからの農業政策は、
しばらくこの路線で決まりなんだろう。
ま、中身はどうであれ、
とりあえず話が上手で1時間の講演で
その長さを感じさせない話術は
素晴らしかった。
それだけを見ているだけでも
ま、それはそれで価値があったかもね。

で、ここからそれらへの反論をしようか。
質問の時間がなかったから
ここに書くしかできないからね。
まずエサ米(飼料用米)。
でもその前に、
エサ米を取り巻く現状を整理しようか。
戦前の日本人は1年間に2俵の米を食ってきたが、
今じゃ、1人1俵と半減している。
それだけ食が細くなったわけじゃなく、
経済的に余裕が出てくることで
副菜をたくさん食べるようになった。
この間に食用油の接種は3倍になったんだからね。
で、この食生活は、もうコメ消費増加には
ふれないだろうというのが林大臣の意見。
これは僕もそうだと思う。
豊かさとは選択肢の多さであり、
いろんなものを楽しむということだ。
量より質に向かうのは必定で、
なので、
米をいろんな資材として加工して
いろんな製品&食品を生み出したとしても
米の消費量への影響は
全体的には焼け石に水程度だろう。

さらに、緩やかに人口が減少する時代に入った。
コメ消費量から言えば毎年1%ずつ減少するらしい。
約8万トンずつ人口減少のため
毎年コメ消費量が減る。
MA米でアメリカの要求量なんて
僕ら2年か3年も経てば
自然に人口減少で達成してしまうほど
人口減少のインパクトは大きいのさ。
で、MA米は別にしても毎年8万トンの
お米が行き場を失うってわけ。
これをどうにかしないといけない。
そこで出てきたのがエサ米。
人様が食べないのなら、
家畜に食ってもらおうって発想だ。
でも飼料価格はとてつもなく安い。
エサ米1俵(60キロ)で2000円しないかそれくらい。
JAの買い取り価格の1/5だ。
生産コストはエサ米の販売価格では
到底賄えないので、
そこは補助金目当てでの生産になる。
10aで8万円++の補助金がでるので、
規模的には10haほどの規模の米農家であれば
黒字で生産できるってわけ。
集約がある程度進んでいる個人や法人には
有利なので、
そういう意味でも国策との整合性も良い。
しかも、余った米を家畜に食ってもらうのだから、
米の在庫も計算では減り、
米価も上がるって算段なのだ。
ミクロでもマクロでも
上手くいくような感じのエサ米。
今年は18万トンがエサ米として栽培される。
この程度の規模なら財源は
気にならないのだろうけど、
林大臣は将来的には110万トンの目標を
閣議決定として数字をあげている。
というのが取り巻く状況だろう。

エサ米への反論としては3つ。
ちなみに
人様が食べる米を家畜へなんてけしからん!
という論調もあるけど、
それは僕としてはどうでもいい反論なので
ここでは取り上げない。
まず1点目。
TPP妥結の文脈で
考えられていないのじゃないかってこと。
MA米や関税引き下げになった時に
市場に出回るコメの量と在庫で価格が下がることが
予想されるので、
エサ米を増やして市場に出回る量を減らせば
価格が少しは安定できるような論調もあるが、
米はTPP交渉でかなり守られた立場にあるので
そこが論点じゃない。
エサ米の出口である畜産の話が抜けているというのが
僕の反論。
ちょっと前に全青協の勉強会で、
TPPの話をしてくれたある識者と懇親会の場で
雑談的にTPPの影響について話をした。
その中で、今回のTPPの条件では、
米よりも
養豚や食肉用の養鶏への打撃こそが
大きいと話してくれた。
ただ、それらの産業は集約化が進んでいて、
豚は5000戸、鳥は2000戸しか農家戸数がない、
と話していたのが印象的だった。
つまりそこには集約化が進んだということで
この後も企業努力をして戦ってもらい、
また戸数も少ないので文句も圧力も
米に比べたら弱いっていう算段だったのだろうか?
もしそうだとすると
養豚養鶏には泣いてもらって
米を残すっていう交渉なのか?と
思わないでもない。
もしそうだとした場合(そうでないとしてもだけど)
TPPで打撃を受ける養豚と養鶏は
危機的な状況になる。

ではエサ米との関係は何か?
それはエサ米がエサ米と言っても
トウモロコシの配合飼料と
すべてをとってかわるわけじゃないということだ。
どこまでその配合を増やしても
影響がないかを試算した場合
鶏は90%、豚は50%、
牛はあまり食べてくれなくて10~30%とのことだ。
だからエサ米のもっとも食べてくれるのは
鶏と豚ということになる。
でもそれがTPPで打撃を受けると
そもそもエサ米を食べてくれる家畜が減るので
やはり行き場を失うことになりかねない。
林大臣は
「現状で畜産の配合飼料にエサ米を最大に混ぜたとしたら、450万トンは家畜が消費できるのですが、それだと財源確保が大変になるので、目標は110万トンです」
と話していた。
これまでの話を整理すると
その目標の数字ってやつは
どこから出てきたのだろうか?
財源的な面でこれくらいかなってことなのか、
それともTPPで畜産が打撃を受けて
産業自体が縮小した中でも
これくらいは生き残るからっていう計算なのか。
この数字を出したプロセスを
農家としてはぜひ見たいね。
そこに農政の思想が潜んでいるのだから。

林大臣は
「国内需要は減っていくが、気候変動や情勢不安で今後食糧不足が起こらないとは言えない。コメの生産力を確保しつつ、通常は家畜に食べてもらって、緊急事態にある程度供えられるようエサ米を推進したい」
といった趣旨を話していた。
大義名分はしっかりあるってわけだ。
でも110万トンの財源は
どこにあるんだろうね。
それが反論2点目。
TPP妥結の場合、農産物の関税収入が減るので
財務省としては補助金の増加は
歓迎しないだろう。
あとその大義名分を
国民が納得するのかどうか。
右寄りに傾いている現状だとそれもあるかもしれないけど
将来にわたって安定的に支持が確保できるんだろうか。
戸別補償の二の舞は嫌だね。

で、エサ米に反論3点目。
それは輸送。
畜産が近くにある地域なら
エサ米を運ぶ手間はほとんどない。
でも北陸のように米どころだけど、
畜産のない地域はどうしたらいいのだろうか。
1キロ30円もしないエサ米を
さらに輸送コストをかけてどっかに運ばないといけない。
畜産県ならばエサ米にも取り組んでも
良いかもしれないが、
もっぱらコメが余るであろう北陸は
畜産が脆弱なので輸送を考えると
余っている分をすべてエサ米に切り替えるのは
現実的じゃない。
僕らはそれだけで他よりも損をしろ、ってことか?
あっでもTPPでその畜産県も
危機的状況だから
考えなくてもいいのかな。

政談会で話されたエサ米は
まさにギアーツのインボリューションのように
産業として外に広がりを得ず
その枠内で内に向かって細部に細部に発展していく
そんな未来図を見せつけられていた。
僕らはそんな産業を夢見ているわけじゃない。
だのに、農政はいつもこうだ。
攻めの農業だなんて、良く言ったものだ。

こんな話ばかり聞かされて
なんだかむなしい。
だから僕は米作りはしない。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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