買わないか、と持ちかけられている。
うちの集落の傍を流れる1級河川の漁業権である。うちの集落では、昔から漁業で生計を立てていた家が多い。僕が小さい頃はまだ部落内に、川魚ばかりを扱った魚屋だってあった。なまずの蒲焼がうまかったのを覚えている。

20軒ほどは、漁業に携わっていたという。だが大水が出ると、田んぼに川魚が大量に入り込み、それを楽しんでいた農民までを数えると、村人のほとんどが川とはなんらかの関係をもっていた。昔は、うちの川にも砂浜があり、そこで地引網をしたという。5軒1組になって引いたという。いまでは高級料理になってしまったモクズガニもたくさん取れたとか。しかし、昨今、川と人との関係は分断され、砂浜だった浜は取り除かれ、河川敷はコンクリートで覆われてしまった。急斜面で川に落ち込むコンクリート護岸は、とてもじゃないが、川に近づこうという意思を殺ぐ。そして川の惠も薄くなってしまった。うちの村の名物だったモクズガニも、しばらくお目にかかったことが無い。そんなこともあってか、漁業権を手放したい、という人が出ているらしい。

前々から、漁業権が売りに出たら欲しいです、と村の半漁半大工の棟梁に話をしていた。気難しい人で、自分の気にいった奴しか仲間に入れようとしない。漁業権の売り買いも、このおっさんが半分しきっているほどだ。漁業権を買わないか、と持ちかけられたと言うことは、どうやら気に入られたらしい。釣りをしたり漁をしたりもしたいのだが、一番の目的は川のいろんなことに関わること。今すぐではないが、ずっと先まで見通すと、川について発言権が必要な時がくるに違いない。高い買い物なので、まだまだ迷っているが、またとないチャンス。さて、どうするか。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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