TPP交渉がとりあえず合意には至らなかったが、
確実に前に進んでいる。

アメリカ連邦議会に
オバマ大統領のTPP交渉権限を強化する法案が
議会に提出された。
オバマ大統領への交渉承認が強化されるのと
歩みを同じにしながら
閣僚会議でも合意には至らない部分もあるものの
一定の前進があった、と新聞等で報道があった。

それを睨みながら
今年の米価が揺らぎながら
徐々に決まっていく。
昨年が底値と言われているが、
その一方で、米の民間在庫が200万トン以下に
ならなければ価格上昇は見込めない
なんて話がそこかしこで話されている。
ちなみに今年6月時点での民間在庫予想は
230万トンで、昨年よりも米価がさらに落ちても
不思議ではない水準だという人もいる。

なんとかこの30万トンの米余りを
何とかしないと米セクターの農業は
崩壊してしまう。
15ヘクタール以上の
それなりの規模の米作農家で
経費が10アール当たり10万円ほど
という試算がある。
10アール当たりコシヒカリ8俵を収穫したとして
米価が1俵11,000円程度だと、
・・・・そう、儲けが出ない。
自分で仕事をしているのだから
自分の人件費を犠牲にすれば、とか
農機の更新を遅らせて内部留保を取り崩せば、
なんてことを言わないと
経営を続けていくことができない状況で、
こんなことが何年も続けば
当然、倒産ということになる。
米価を上げるには
倉庫で余っている30万トンを
何とか消費しないといけない。

だのに、TPPでは20万トンをさらに買えと
アメリカは言う。
その数字だけが報道されていたけど
そんなことを聞いてもいったいどれくらいの人が
危機感を感じてくれるのだろうか?
20万トンって多いのか少ないのかも
きっとわからないと思う。

こんな話をインドネシアの研修生にもした。
これが先進国日本の農業だよって。
インドネシアから見ると
この国の農業もすごく先進的に見えるらしいけど
計算はすでに手詰まりに近いところに来ていて、
どうこの後の展開があるのかも
実は誰にもわかっちゃいないのさ。
インドネシアの子たちは、
「だったら、余った米を家畜に食べさせるか、海に捨てればいい」
とアドバイスをくれた。
家畜に食べさせる方は、
すでに政策として打ち出されているよ。
結構な数の農家がこれを実践しているけど
それが妥当かどうかは歴史という流れの中で
証明されるのだろうね。
海に捨てるっていうのは、
けっこう前衛的だねぇ。
環境破壊になるからできないねぇ~。

単純な計算で米価が上がるってわかっているのに
なんでアメリカから
余っている米をさらに買うことになりそうなの?
という素朴なインドネシアの子たちの疑問は
僕が大人ぶって
その方が「国益になるからだよ」なんて答えられない。
そんなふざけた道理が
まかり通るようなことは、
あってはならない。

なんてことを僕がここで書いても、
どうにもならないのだろうけど、
少なくとも20万トンという
TPP交渉で出てきた数字の意味は
(正確には21万5千トンか)
その重大さに
みんなが気付いてほしいと願う。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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