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そろそろこの子の紹介をしようか。
今年、インドネシアからやってきた
技能実習生のイマン・タウフィック。

その彼が
うちの農園が独自に行っている
インドネシア農業研修プログラム第8期生
というわけ。
このプログラムも今年で8年目かぁ~。

さて、
そのイマンだが、
これまでの研修生と同じように
タンジュンサリ農業高校の卒業生で、
今年22歳。
高校時代には生徒会長も務めていて、
6期生のジャジャンや7期生のレンディから言わせると
「高校の時から活発で目立っていた」子だったらしい。
生徒会長は5期生のイラと同じで
二人目ということになる。

彼自身の意識やポテンシャルは
まだまだ僕も話し込んでいないので
わからないことだらけだが、
彼の環境はかなり農業で成功するだけの
ポテンシャルを秘めていると言えるだろう。

彼の故郷は
3期生のタタンの故郷の近くで、
西ジャワ州の大都市バンドゥンから
西へ車で4時間ほど行ったところにある。
まだそこまで行った事がないが、
僕の大学院時代の親友でジュンベル大学で教鞭をとっている
アニ女史の送ってきた農村調査報告書によると
なだらかな棚田が山間に広がる
静かな農村とのことだった。

この辺りは他の研修生と同じなのだが、
大きく違い点が一点。
それはイマンの両親の経営規模だ。
水田だけで1haほど所有しており、
他にも畑や森林も持っている。
家族の農業収入は、
それだけで十分生活していけるレベルで、
ちょっとした公務員並みだった。

農業の規模からいえば
これまでここに来た研修生の中では
7期生のレンディについで
2番目に規模が大きい。
レンディのところは人口が密集した地域でもなく、
水田ではなくお茶畑の広がる高原地帯で
国策で住民に開放された山々の土地が
多く広がることもあり、規模は自然と大きくなるのだが、
イマンは普通の西ジャワの山間の農村で
人口も多く、農地をたくさん確保するのも
けっこう難しい地域なので
そこで水田を1ha持っているだけでも
ちょっとした驚きがあった。

アニ女史のインタビューでは
イマンの両親の話がとても興味深い。
彼の父も母のどちらも
もともとそれほど大きくない農家の子弟で、
教育を満足に受けさせてもらえなかった。
同級生は中学校に通う子も多かったらしいが
彼らは小学校で教育の機会を失ってしまった。
イマンの父は、両親の離婚や
実母が若くして亡くなったことなど
不幸が重なり、経済的にも厳しかったことがうかがえる。
イマンの母も生活は楽ではなく、
13歳でイマンの父と結婚している。
その二人に共通している意識は、
自分たちの子供にはしっかりとした教育を受けさせたい、
ということだった。
だから子供の数は二人だけにしようと
夫婦でも話し合ったそうだ。
ほとんど土地を持たない中で
若い夫婦は農業のスタートを切ったが、
余剰のお金ができれば、銀行に預けることや
他へ投資することなく
愚直に農地購入に精を出した。
イマンの父がアニ女史のインタビューに答えているが、
他の財産を手に入れるよりも農地が一番だ、
という意識は彼らの営農の根本になっているのだろう。
たぶんイマンの両親は
とても働き者だったに違いない。
贅沢をせず、
農地と子供たちの教育にだけお金を使った。
それがイマンの姉とイマンを
高校まで教育を受けさせる機会を与え、
そして今、イマンが営農に志向した時に
それを支えるだけの十分な農地を彼に残している。
だからイマンは
ジャジャンやレンディが言うように
「高校の時から活発で目立っていた」のだろう。
育った環境が
彼のモティベーションを高めたんだと思う。

さてその彼、
ここを卒業して帰国した後には、
飼料用のトウモロコシの栽培をして
魚の養殖用のエサを作って販売したい、という
ビジネスプランを持っている。
彼の地域には今、水力発電のための
巨大ダムの建設が進んでおり(中国資本)、
完成後にはそのダムの貯水池で
大規模な淡水魚の養殖が始まると言われている。
そのニーズにこたえようというのが
彼のプランだ。
ま、それが妥当なのかどうかは
僕には判断がつかないけれど、
彼がそれをやりたいというのなら
淡水魚のエサなんかも僕らは調べてみてもいいかもね。
農業が部門別に固定化されている日本と違い、
なんて彼らの発想は自由で
そして荒々しくて、力に満ち溢れているのだろうか。
イマンとのこれから始まる3年間の交流を通じて、
僕らもまた彼から
いろんなエネルギーを吸収したいな。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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