昨日の午後、
会議を3つ、はしごする。

一つ目は、
JICA北陸の支部長代理の方が
農園にご来園。
農園で行っているインドネシア農業研修について
説明し意見交換をする。
技能実習制度の制度的な問題点もあるが、
それを乗り越えて、
それぞれ実習生の成長を促す仕組みと
研修自体が何かの交渉と化してしまわないような、
みんなでそれぞれの成長を切磋琢磨するんだという
そういう空気感を演出できるかどうかが
ソフトとして重要だということが
確認できた。
グローバルな文脈での『農村』とダイレクトにつながることで
政府vs政府では生まれないかもしれない
ダイナミズムがあると
最近になって僕は感じることが多くなった。
8年もやってくれば
それなりに見えてくるものもあるってことか。
取り組みの規模は限りなく小さいけれどね。

あと、僕はここを『社会の最果て』と
ローカル・グローバルあらゆる意味を込めて話をしたが、
支部長代理の方が『最先端ですよ』と言っていただいたのが
印象に残った。
そうだよな、高齢化社会も衰退産業も
その最先端の最前線だものな。
という意味で、言ったのではないのだろうけど、
そんな気分。
ま、最もの果てならば、その先には常識の道がないので、
僕らがそのフロンティアを開拓してやろうという
気概は失っていないけどね。

二つ目は商工会で行われた
アグリビジネス研究会の会議に参加。
1年前からやっている研究会らしく、
いろんな企業の方々がアグリビジネスに参加するべく
勉強会を開いていて
今回は県内の農家や農業法人が参加しての
意見交換会だった。
僕のイメージでは
企業側が農業資材などの販売をしたいのかな?
と思っていたのだが、
もちろんそういうのもあったのだけど、
実際に農業分野に参入したいという企業も多く、
ちょっと驚いた。
どこにそんな採算性を見出しているのか
正直聞きたかったけど、
人見知りする僕は、こういう会議で発言するのは苦手で
ただただにこにこ笑って人物観察をしていた。

僕らはこの分野で食べている。
それはそういう生産様式の文化の中に生まれ、
前々回のエントリーで書いたが、
たとえムラと農業が意識的にも生産的にも切り離されて
生産様式から生まれる関係性という意味で
ムラは死んだと思うことも多いが
そのムラの一員として生まれ、
それに価値を感じてしまう性格が祟って
僕らはここで農業をすることを選んでいる。
これが儲かるから、やるわけじゃない。
これが好きだから、やっているんだろう、
と今は理解している。
アグリビジネス研修会に参加する企業は
もちろん株式会社だ。
出資頂いた株主を設けさせるのがその主題の活動体だ。
それがなぜ、お金にならない農業に参入するのか?
いろんな雑誌をにぎわせている
新しい農業のカタチや企業体は、
それ自体がモデルじゃなくて、
それはその企業だけの成功のストーリーに過ぎない。
数百の事例の中から成功事例を探しただけで、
残りの数百という失敗にはスポットライトが当たらない。
つねに勝者のみが語り継がれる『歴史』と同じさ。
いろいろと話を聞いていると
最後になって補助金の話が出ていた。
やっぱりそれが欲しいんだな。
でもある企業から農業に参入された方が、
『補助金を計算して、それをもらうことを前提に儲けを計算している企業は、僕の知っている限りほとんどつぶれていますよ』
と話していたことが心に残った。
それが無くても儲かるような経営体を構築できなければ
どんな仕事もうまくいくはずがない。
そしてそれは僕ら農家も一緒だ。
ある企業から農業に入った別の方は、
『農業企業体を本体事業から切り離していたら、僕らはとても資金が続かなかったですね。農業は儲けが出るまでにとても驚くほど長い時間が必要です。本体事業がある程度そこに資金を援助する形で、長い目で見て投資を続けないと儲けなんて出てきません』
だってさ。
ははは、やっぱり儲からない産業なんだね、僕らは。
やっぱり『最果て』だ。
でもその最果てに、僕は希望を持っているけど。
そんなことは株式会社の立場から考えたんじゃ、
わかんないだろうな。
だから懇親会では、
『企業人としてじゃなくて、個人的に田谷さんのところに遊びに行きたいですね』
と言ってもらったのは、
うーん、喜んでいいのか、
落ち込んでいいのか、
良くわからないけど、
その言葉が、今の僕の経営体の位置づけなんだろうね。

三つ目は、JAの経営管理委員の地区の会合。
この日は本当に分刻みの日程だった・・・。
僕が農協の青壮年部の部長になったのは
以前書いた通りだが、
JA福井市では、組織部長は経営管理委員になる仕組みになっていて、
僕は今度の総代会で承認されれば
農協の経営を判断する経営管理委員の立場になる。
なんだか降ってわいたような責任で、
僕のような若輩者がこういう場に居ていいのだろうかと
疑問もあるが、
諸先輩方が
『将来のための勉強だ』というので
そういうつもりでやっていこうと思う。
さて地区の会合では、
総代会の流れやその後の流れについて
新人の経営管理委員もいるので(僕もその一人)
説明を受けた。
その流れの説明を受けて、
こりゃ政治の世界だな、というのが僕の感想。
ま、これも勉強だ。

さてこの会合では
やはり地域がどうあるべきかを
それぞれの方が哲学を持っておられるようで
その話が面白かった。
だが、その視点は、
その前に参加したアグリビジネス研究会のそれとは
まったく別のベクトルに向いていた。
たぶんそれが
僕ら農業者がアグリビジネスで感じた
ズレのようにも思う。
同じ農業という括りで考えてみても
協同組合では、やはりそこに農村(ムラ)が
見え隠れしていて、
その分、経済的には
すっきりとした議論にならない。
今の僕らのムラのカタチに少し変化をつけて
集落営農などの少し大規模にした
いわゆる僕らにとってまだ受け入れやすい形で
変化を受け入れたものの、
その出口であった米価がここまで下落してしまうと
それだけで議論が手詰まりになってしまう。
それを打破しようとして
ここかしこで米の輸出なんてみんなが口にするが
僕には『?』しか出てこない。
議論も飛躍しすぎだし、
現実味もない。
そんなに国際的な感覚や
グローバルなスキルを身につけていないのに
どうやってそれを判断する気なんだろう、って
『?』マークがいっぱい浮かぶような
話もあった。
それは議論が手詰まりになっているからなんだよな。
僕らの価値に沿った生産様式を維持しながら、
尚且つ、米でみんながやっていけるには、
外への展開ってなる。
あまりほめられた論理展開じゃない。
だが、たぶんその辺りが
僕らの現状での限界なのかもしれない。
突破する場所はまだほかにもあるのだが、
この生産様式では、無理なんだろう。
そしてそれは全体を拾い上げる協同組合では
無理なのかもしれない。

3つの会合を半日でこなすと
頭はずいぶんと混乱する。
グローバルとアグリビジネスとムラ。
どれも農業の文脈なのに
そのどれもが、まったく価値と視点を別にしている。
その差異を楽しんだのだが、
この差異から何かが生まれるまで
僕らがそれを加工するには
まだまだ勉強と経験が必要のようだ。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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