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むらの江掘りに出る。
生活排水の泥揚げ作業で、
普段から体を使う仕事をしている、とはいっても
何時間も重い泥をすくい上げつづけるのは
さすがに体にこたえた。
ちなみに、言い訳みたいだが、
写真は最も楽な溝の掃除のときに撮ったもの。
この時くらいしか、
気軽に写真が取れない。
なぜなら泥の深い側溝だと
みんな殺気立ってくるので、
のんびり写真なんてとっていられないというのは
言い訳の余談。

さて、この作業、
うちの集落の農協青壮年部の恒例活動。
30代~40代が中心になって
1日かけて村の生活排水路をきれいにして回る。
昼はホルモンを焼いて、
夜は村の仕出し屋の座敷でどんちゃん騒ぎの宴会。
普段、村に住んでいても
職場は街で、平日は残業も多く
村には寝に帰るだけの同級生や幼馴染たちも、
この日は久しぶりに
顔を合わせる大事な日にもなっている。

この集まりは、農協青壮年部というのは
もう書いた通りだが、
こういった個々の集落の農協青壮年部が
それぞれの地区単位で支部を形成していて、
(青壮年部河合支部は6集落の青壮年部から成っている)
その支部の集まりが
(JA福井市の場合は25地区)、
JA福井市青壮年部として組織されている。
さらに福井県内にそれぞれのJAで組織されている
青壮年部が集まって、
県の農協青壮年部連絡協議会となっている。
もちろん、その上の全国組織までつながっているわけだが、
集落の農協青壮年部では
そこまでつながっている意識はほとんどない。
僕は27年度の県青協の会長になったのだが、
それを知る集落の部員はほとんどいないというのが現状さ。
それを知ってほしいと思っているのではないが、
その断絶ってどこから生まれてくるのだろうか、
と素朴に思うからだ。

集落での農協青壮年部の役割は、
懇親の場というのが一番大きい。
うちの集落では農協青壮年部以外に
任意の青年会が組織されていて、
農地や農業と関係のない人も入れる会がある。
なので、うちの集落では祭りの主催は
その青年会が担っているが、
集落によっては農協青壮年部が
祭りの主体だったりもする。
うちの集落の青壮年部では、
かつてはいろいろな活動があった。
各農家が農協に注文した肥料を
それぞれの農舎まで運んで(一万体近く運んだらしい)、
その手間賃を活動費にしたり、
農協の米蔵倉庫で行われる検査で、
それぞれの家から倉庫まで米を運ぶ役を担ったり、
若者でなければできない役割を担っていた。
今では、青壮年部の活動は、
側溝の掃除くらいで、
呑み会も側溝掃除の後の宴会と新年会の2回のみだ。
それでも、
爺さん婆さん世代から兼業化してしまったような
兼業2世3世(という言葉が適切かどうかは分からないが)にとって
この呑み会が村と農業を意識する数少ない
機会になっているのは確かだ。
兼業3世にもなると、自分の家の田んぼが
どこにあるのかもわからない奴もいるほど
彼ら彼女らは農業から縁遠くなっている。

さて、
その一方で県青協の集まりになると
TPP・農協改革・米価下落などの問題を
良く議論されている。
農協青壮年部なんだから
農業と密接につながっていて当然なんだろうけど
一番小さな組織体(村の農協青壮年部)から
その全体像を眺めると
それに違和を覚えることもある。
兼業2世3世にとっても
米価は関係するのでは?と思うかもしれないが、
彼らの家計収入に
すでに米は射程に無いように思われる時が多い。
親や祖父母の趣味的な位置づけだったり、
すでに他人や集落営農・法人などに預けてしまっていて
その配当にもそれほど気を留めない。
それどころか、
人足として作業に半強制的に参加させられることに
嫌気がさしているのが現状とも言えよう。
ここら辺の話ではないが、
県青協で一緒になった方の地域では、
集落営農の共同作業を罰金制にしたところ
多くの世帯がその罰金を支払う方を選んで、
作業に参加しなかったそうだ。

2006年に国際開発学会の全体シンポジウムで
日本の農村についての話し合いがあった時、
最初のスライド映像で、
「ムラは死んだ」とセンセーショナルな言葉が
大きくスクリーンに映し出された。
そんなことはないだろうと
当時の僕は思っていた。
が、あれから僕なりにここで10年近くやってきたが、
その僕は今、
あの時、ムラは死んでいたのかもしれない、
と思うようになっている。
ただそれは農村として、農業を生産様式として
その中でつながっている地縁として総体が
すでに死に体になっているという意味だ。
コミュニティが、その自治力がそれで低下したとは
思えない部分も多く、
その意味ではムラは農村からコミュニティに
変化したとみることができるが
その議論は、また別の稿に譲りたい。

いずれにせよ、
組織図の中では県青協を支える
それぞれの集落の青壮年部は、
その組織図とは全く違った言説をそれぞれに抱え、
そして全く違った価値と意味の文脈で
存在しているように見える。
だから一つに集まった県青協の力が
思ったよりも影響力が無かったり、
その論点がどこか上滑りしていくように感じるんだと思う。
なぜならそれは実体としてその最前線の
下から積み上げられたものじゃないからかもしれない。

それぞれの農村の抱える問題が
コミュニティとしての問題として
農業だけじゃなくそれ以外にも含みつつある
現状を反映するには
いろんなものがその変化についてきていないのかもしれない。
僕がそう思ったところで
何か変化が生まれるわけではないが、
今年はちょっと面白い立場にいるので
その意識と価値と意味の断絶を
たくさん発見していこうと思っている。






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こんにちは。初めまして。
いきなりのコメントごめんなさい。
扁桃腺摘出後で検索してここに辿り着きました。私は11/21に手術をしてそれ以来味覚障害になってしまいました(´・_・`)
ただ、味が全くないわけではなく甘味のみわからない状態です。甘味も全くわからないわけではないのですが。。手術を受けてから甘味が回復するまで時間はかかりましたか?もし宜しければ教えてください。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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