読書記録を書きながら
年を越えるのも、一興。
で、今回の記録はこれ。

金子勝 武本俊彦 著 『儲かる農業論』:エネルギー兼業農家のすすめ.2014.集英社.

もともと昔から農業は兼業だったという話から、とんでもない論理的な飛躍をして、自分たちの思いついたキャッチーな「エネルギー兼業農家」なんてフレーズを埋めるために書かれた本。まじめに考える気が合ったのかどうかすら疑わしい。というのも、日本の農業構造の変化について、はじめにで触れているのだが、その中身は家族経営から3ちゃん農業への変化の中で機械化と第2種兼業化への道がその実態なのだが、なぜかその兼業が近くの工場ではなく、発電というエコエネルギーへとつながる辺りが、まったくロジックの飛躍としか言えない。そもそも、個人経営の経営体が、そのリスクを分散するために兼業化に発展したにもかかわらず、小規模といえども個人でどうになるわけがない巨額の発電施設を自前でそろえることなんて無理だ。

著者自身たちもおわりにで記しているが、本を出すにあたって6次産業化のオルタナティブを掲示したいという意欲と、「山林7割の国では兼業農家しか生き残れないけど、今さら工場誘致や公共事業獲得はないでしょ」「いや、この時代だから発電する農家でしょ」(p171)なんて、ちょっと小ばかにしたような話から始まって、その無理なコンセプトを埋めるように書いたために、全体として議論にまとまりがなく、とても醜い本の論理構造になってしまっている。一つ一つの議論、たとえば小規模発電や電力システムなどは、それぞれに的を射ているのだろうが、それが農家の兼業として発電に収斂すると、構造的な無理が生じてしまい、現実味が全くなくなり、これこそ机上の空論といえよう。農地を集積して、ある程度力をつけた法人とその規模とそして公共事業的な補助事業があって初めて成り立つのが、エネルギー兼業農業ではないだろうか。事例に出てくるモデル自体も、個人の兼業農家なんて一つも出てこない。どれも公共事業か補助事業なしでは成立しないものばかりじゃないか!ふざけるな!

どんな偉い先生か知らないが、もう少し真面目に本の構造を考えて書いてほしい。論理展開にここまで無理がある本は、久しぶりにであった。

年末の貴重な時間をこんな本に出会ってしまったのは、とても不運だった。これで今年の厄が落ちて、来年はもっとましな本に出会えることを期待したい。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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