たぶん、それはそれで大事なことだとは思う。
本来なら、特に異論もない。
それどころか、今年に入って
集落の北側の国道沿いの田んぼに
ラブホテルの看板が立ったのは
ちょっと嫌だった。
だから
県のJA青壮年部のリーダー研修会で
『福井県野外広告物条例の規制内容の見直し』について
福井県から説明を受けたとき、
最初はそれはごもっともなことだと思った。

この前の金曜日、リーダー研修会で
県の都市計画課の方々が講師として来られ、
景観を著しく損ねている野立て看板について
28年度を目途に規制を強化していく
という趣旨の説明を受けた。

現行制度については、リンクを参照してもらいたい。
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/tokei/koukoku/jyourei.html

説明では、朝倉氏遺跡に向かう国道沿いに
乱立する野立て看板や
信号機の位置さえも分からなくなるほど
看板が乱立している交差点などを
事例に取り上げて説明いただいた。
また今後来るであろう北陸新幹線の沿線への規制強化
などの説明もあった。
それはそれでなるほどと思うこともあった。

が、しかし、県の職員が
「美しい田園風景を守りましょう」
と連呼すればするほど、
なんだか白けてしまった。

この研修会で僕たちは下落を続ける米価の状況にあって
どうやって個々の営農を維持していくかを
話し合っていた。
1俵あたり2000円も下落してしまった米価。
このままじゃ、米作りなんてやってられない。
看板を取り外そうがどうしようが、
美しい田園風景なんて守れない時代が
もう目の前までやってきている。
ある参加者の農家は、
「美しい田園風景というのなら、耕作放棄されない対策の方が大急ぎの課題じゃないか?看板撤去しても放棄された田んぼが広がる風景になるよ」
と言っていたが
それは、まさに僕らの考えを象徴していた。

撤去にかかる費用の問題もある。
もしかしてそんなもんに税金を投入しようなんて
無駄なお金を使う気じゃないだろうね。
また景観を損ねる広告物という
あいまいな言い回しも気になる。
2012年以前なら、そんなことも考えなかったけど
9条改正議論や特定秘密保護法などをめぐる
議論のプロセスがとても固定的で、
社会全体として
言論統制が風潮になりつつある
この雰囲気の中で
この議論に対してもやや怖さを覚えるのは
僕だけだろうか。

僕らは美しい田園風景を守るために
農業をしているわけじゃない。
日々の暮らしを少しでも良くしていこうと
営農活動を行っているに過ぎない。
美しく見せるためではなく、
篤農の技は、所作にリズムがあり、
それが効率化を生み出したり、
作業の負担が軽減されたり、
栽培により適した環境を生み出しているに過ぎない。
その一定のリズムを
門外漢から見れば
美しさとして映ることは、僕にも理解できるが、
それは営農のための業であり、
風景として見せるための業ではない。
僕らにとって農地は
収穫物を生み出す資源であり、
その風景は資源化されて消費されるものとは
ちょっと違う。
その違いが
「美しい田園風景を守りましょう」という
僕らには響かない言葉を生み出すことになるのだろう。

観光を促進するなら
規制強化は観光地だけでいいだろう。
看板広告費も地権者にとっては大事な収入源だろうしね。
看板が目印の場合も多々あるし。
外からやってくる人に合わせて
こんなことを続けていけば、
良かれと思っているうちに
僕らの文化や生活を
外の基準に合わせて規制してしまいかねない。
と、僕は思う。







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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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