研修2年生の
技能実習生ジャジャンは最近悩んでいる。
まぁ、人生を変えようと
日本に技能実習生としてやってくる外国人のほとんどが
深い悩みを抱えているものだし、
そうじゃなくても
20代前半の若者というのは
特に悩みが多いころかと思う。
さて彼は今、何に悩むのか。
それは、3年生の課題である卒業研究について。

彼は帰国後Sosin(ソシン)という
葉菜を通年栽培する計画を立てている。
ソシンは、インドネシアでは、
チンゲン菜と並んでとても一般的なアブラナ科の野菜で
日本の小松菜やしろ菜のような野菜。
で、卒業研究は毎回
帰国後の自分が描くビジネスに合わせて
それぞれが研究内容を計画して
実際に圃場で実験したり、
先進農家にインタビューをしたりして
そのビジネスへの理解を深めていく作業となっている。

さて、そのソシンの通年栽培のビジネスで
来年から始まる卒業研究において
何を研究すれば
よりその課題を克服できるのか
この夏から悩み始めていた。
ソシンの栽培自体はそれほど難しくない。
いや地の問題もあるが、
輪作昆作を予定しているので
何とか解決できるだろう。
もちろんそれを課題にしていいのだが、
2~3回栽培したくらいではいや地なんて
出てこないので、対照実験にならない。

ソシンの栽培自体は難しくないが、
それを通年でやろうとなるとやや難しい。
通年栽培の技術が確立できれば
販売で有利に立てるというのがジャジャンの見立てだ。
一番のネックは、灌水用の水だろう。
インドネシアの乾季は
葉菜類にとても厳しい環境と言わざるを得ない。
とくにジャジャンは条件不利地の農家なので、
水確保が難しいという。
だから彼の地域は比較的に水が必要ない、
タバコ栽培が盛んで、
乾季真っ只中は、そのタバコを天日干しにして
加工で仕事を作っているのだという。
だったらそのままタバコを続ければいいのだが、
昨今、タバコは値下がり傾向で
昔に比べて割が合わない仕事になっているらしい。
それに代わる安定収入ということで
彼はソシンに目を付けている。
では、灌水の水確保の実験は
それ自体研究となりえるのだろうか?
ポンプ性能を調べたり
スプリンクラーでの灌漑実験も考えられるが
ジャジャンはそれだけではすぐに実験が
終わってしまうと考えている。
1回きりの卒業研究だから
もっと実のあるものにしたい。
それが彼の希望だった。
余談だが、
彼はすでに1年目にためたお金で
それほどの広さではないが
水源の近くの土地を手に入れた。
灌水用の水確保の問題点には
それなりにアプローチをとり
着々と帰国後に向けて準備はしている。

さて、
そんな中で、月間レポートのお悩み相談項目に、
どういう研究をすれば
実のある卒業研究になるのか?
と彼自身、僕や他の実習生に問いかけてきた。
なので、これは来月までの僕らの宿題にした。
これから来月の月間レポート作成時までに
ジャジャンが抱えている地域の農業の問題点を
俯瞰的に見て
その中でソシンを栽培するにあたって
何が障害となり、
どうしればその障害が取り除かれるのかを
みんなで考えながら、
彼の研究テーマに近づいていこうと思う。
こういうプロセスが
ジャジャンを含めた実習生の
力が飛躍的に伸びる瞬間だったりもするので、
僕自身、一番楽しい作業だったりもする。





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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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