テレビに出る。
福井テレビの「おかえりなさ~い」という番組。
駅前の西武デパート前から
毎日放送されている情報番組。
そして生放送。

出演時間は10分足らずだったが、
やっぱり生放送は緊張した。
しゃべりすぎだけは厳禁!と
妻から指導が入っていただけに
テレビカメラの横でADさんが
残り時間を数えているのがやけに気になり
ややうつろな目での出演となった。
これはこれでとてもいい経験になった。

さて、なぜその情報番組に出たのか?
それは農園の旬の野菜を詰合せている
おまかせ便の紹介のためだった。
昨今、僕の周りでも野菜の詰め合わせを
販売する農家や業者が増えてきたように思う。
農家産直は以前からもあったのだが、
それがインターネット、とくにSNSの普及で
より気軽に、より簡単にできるようになったのは
それをやっている僕の実感だ。

そしてそれは、
まぁ、僕に限ってということではないが
みんながみんなそう考えているかどうかは
不明でもあるのだが、
つまりSNSのことなのだが、
あることをそれまでのインターネットの欠点を
補ったことが大きな要因だと思う。
それは、「双方向」ということ。

2003年の新年に僕は以前書いていたブログで
こんなエントリーを残している(再アップは2008年)。

『愛しのアレジャン集落 不完全な取引』

いろんな情報をネット上に載せて
顔の見える生産者を目指していたのだけど
そこでは僕の顔は見えても
僕は僕が栽培した野菜を食べてくれる人が見えなかった。
スーパーや市場やレストランへの販売の場合は
そもそも僕の顔も見えなかった。
野菜はただ利益を得るためだけの
「商品」であり、
それ以上の何でもなかった。
でもその「商品」は、
自分の家で調理して大好きなワインと一緒に食べる
というとても単純な個人的な食卓ではあったが、
それがとても素敵な風景でとても大切な場だと思えてきた。
でも、
それは各家庭で
それぞれのレストランの風景の中に
閉じ込められていて、
当然共有されるものではない。
その「商品」を一緒に消費しているにも関わらず
一緒に語り合うこともできず、
それを介してつながることもできなかった。
必要ない!と言われれば
身も蓋もないが、
少なくとも販売の範囲が
狭かった以前は、
少なくとも僕の祖父や祖母には
その楽しさが農業の醍醐味の一つだったように見えた。
だから2003年のエントリーで
その風景を見せつけられた僕は
利益のとれる新野菜を栽培して得意になっていた僕は
愕然とした。

あれから10年近くの時が流れ、
SNSが登場し、使い方に慣れ、
そして大震災があった。
あの時の双方向のやり取りから
僕はある知り合いに野菜を送り始めた。
それがおまかせ便になった。
メールとSNSでどんなふうに食べたのか、
どんな食卓だったのか、
そんな話が僕の手元に集まりだした。
それをまたお品書きに記載して
おまかせ便に同封して送る。
手間ばかりかかる
おまかせ便の労力とその会計を見れば
たぶん2003年の僕には
儲からないね、と切り捨てられそうな
野菜セットの販売だが、
たぶんその頃の僕は
今のこの僕らの農業のカタチを
うらやましがるだろう、という自信はある。

農家からの産直は
いろんなインセンティブがあるだろう。
流通を短くすることで
値段が高く売れるや大きな市場ではないので
必要以上の競争が生まれにくいなど。
でも僕にとっては、
「双方向」の
とてもプライベートなやり取りが
気に入ってこのサービスを続けている。
たぶんそれが僕らの農業を
機械的ではない
マニュアル化されない
無味乾燥な作業の連続にならない
エッセンスになっているんだと思う。

10分の生番組では
とても伝えきれなかったのだが、
本番前の1時間の待ち時間で
そんなことを考えていた。
福井テレビさん、とても貴重な時間
ありがとうございました。






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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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