今年来たレンディの月間報告書が
興味深い。
内容が深いというわけではなく、
彼の「常識」というその意識が
僕には面白い。

レンディの地域は、2期生のイルファンと同じ地域。
ジャワのスンダ民族の地域にしては、
ちょっと趣の違う場所。
米作りもしていないし(自然条件的にできない)、
土地もふんだんにある。

そのコミュニティーの行動規範や経済的倫理感を
見ていく場合、
同じスンダ人でもちょっと自然環境の違うところを
比較してみるとその意識がわかって面白いこともある。

レンディの地域では、
土地はたくさんあり、平均的な土地所有も1haもあり
イラやジャジャン・ダルスの地域の3倍も所有している。
しかも、まだまだ土地は余っていて
さらに大規模な開発もない(ダムや道路など)ため、
土地の価格も破格だ。
こういう土地の場合、
最適を目指す行動規範は、どうして最大を目指さないのか、
それが僕には不思議に思うことがある。
レンディの例もそうだった。

彼の地域では国も専売特許であるお茶栽培が盛んだ。
これはある程度の高地でなければ栽培できないため、
値段が高いからと言って誰でもどこでも始められるわけでもない。
また乾燥などのお茶工場といった大規模な施設がなければ、
そもそも無限にお茶は作れない。
そういった施設もレンディの地域にはそろっていた。
だから彼の月間レポートで
帰国後の農業ビジネスプランでも
お茶畑を買い足して、お茶栽培をすると書かれていた。
だが、しかし、
それにもう一つくわえられていた。
それとは別に土地を買い、野菜栽培もしたいとのことだった。
野菜の方が単価が高いかというと、そうではないらしい。
お茶がやはり断トツに高単価だという。
では、その土地はお茶栽培に向かないのか、訪ねると、
それも違うらしい。
野菜栽培に向く土地は限られているが、
お茶栽培はその地域ならば、どこでも可能だという。
森林公社から借り受けられる土地も
栽培条件には野菜と一緒にお茶も入っているので、
国の政策的にも制限はない。
では、なぜ野菜を栽培するんだろう?

レンディは答えに窮していた。
「だって、他の農家もみんなそうしているんです」
と答えていた。
お茶の方が儲かるのに、
なぜわざと損をする野菜栽培をするんだろう?
実はここに彼らの価値と常識が埋め込まれている。
レンディはその地区の規範と常識に沿って、
ある程度のお茶畑を持ったのなら
野菜栽培も始めようと思ったらしい。
だとしたら、その見えない規範と常識には
なにがあるんだろうか。
月間レポートのディスカッションでは答えられなかったので、
これは宿題となった。
来月の月間レポートまでに
彼なりに分析して答えてくれるようにお願いをした。

最適と最大の狭間がすでに壊れてしまった
僕ら日本人からしてみれば、
その行動規範と常識はとても奇異な行動に見えるが
そこにあるかもしれない、
血の通った価値を
僕もどこかで求めているのかもしれないな。
というのは、余談。
来月に続く。

関連記事
Comment
Trackback













管理者にだけ表示を許可する

Comment form

田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

プロフィール
09 ≪│2017/10│≫ 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
カレンダー(月別)
カテゴリ
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

Page Top

Powered by FC2 Blog |

FC2Ad

| Template Design by スタンダード・デザインラボ