順番を飛ばして、申し訳ないが、
先にこれを記録しよう。
というのも、
今回の発表者の山本君は、
今月から岐阜に移るとのことで、
今回が最後の勉強会参加だったからだ。
いやはや、さみしくなるね。

さて、山本君の選んだ本はこれだ。
コリン・タッジ著 竹内久美子 訳『農業は人類の原罪である』

この本は、僕は確かインドネシア留学中に
読んだ記憶がある。
昔のブログを探したら、書評もあった。
なんとも懐かしい本じゃないか。

僕ら現代人は、
その祖先であるクロマニョン人が
採集生活から農耕生活に移行することで
環境変化(気候や食糧問題)に適応し、
というか適応せざるを得なかったのだろうけど、
ネアンデルタール人のように滅びず、
現代にまでその繁栄をつづける結果になった
というのが本の主張。
進化論の立場から、古代の人口と資源の関係を考察し、
農耕が生まれた経緯を説明している本で、
マルサス的問題を再認識させている現代では、
こういう論理が思考のタネになるかもしれない。

で、何が原罪なのか。
僕の書評でも、このタイトル自体は
訳者が付けたキャッチ―なタイトルで、
原著にはあまり記録されていないこともあり、
全体を通して読んでもよくわからないのが
正直なところだ。
でも、この際なので、
農業の何が原罪なのか、ちょっと考えてみようか。

この本の論理はマルサスの人口論をめぐる議論がベースにある。
人口圧があり、限りある資源が枯渇してくると
どうなるか、そんな議論だ。
もちろん、そのまま生産性を伸ばせない場合は
滅びゆくのだろうが、
人々は技術革新や新しい土地を切り開き、
今まで見向きもされなかったものが資源化され、
僕らの社会は
僕に言わせれば『延命』してきた。
そしてそれが延命にも関わらず、
無知な僕らは自己の利益を伸ばす競争を
いまだに止めることはない。

そんな現代人が生み出した生産様式は、
日本でも毎年2000万トンの食糧を捨て、
そして10億人が肥満になり、10億人が飢餓に苦しむ
とても変な社会を作り上げている。
食糧は余りあるほどあるのに、
分配は不均等、そんな社会だ。
で、どんどん人口は増えている。
食糧問題が言説化される場合、
新しい技術への投資への刺激欲求だったり
やや環境に配慮できていない
生産方法への承認だったりもする。
それらは飢餓をなくすというプロパガンダの元、
すべてが正当化されていく。
マルサスをめぐる議論の風景は
そんなところだろう。

僕らの祖先クロマニョン人が農耕に移行した時から
僕らは一方通行の道を延々と走っているというわけだ。
それが資本主義によって加速され、
IT革命によって世界中がつながりを得て
そのシステムに乗っかってグローバリゼーションが
加速し続ける中で、
膨大なエネルギーによって支えられている社会が
原発やGM技術を生み出している。
貧困解決にBOPビジネスなんていうのが
あまり批判を受けずに大手を振ってまかり通るのも
この一方通行のトップランナーにいるからだろうな。

そしてこの場所から改めて
本書を眺めれば、
やはり農業がその原罪になる、というわけだろうか。

マルサス的な議論自体が
すでに一方通行しか想定されておらず、
その論理に乗っかる以上は、
僕らに本当の意味でのオルタナティブは
存在しなくなる。
この議論自体が、いろんなものの隠れ蓑に
なっている気がする。
そしてそれが自然農だろうがクリーンなエネルギーだろうが、
この議論の前には
それらは一方通行の一部にすぎない。
だから、僕らはそれを超える理論を
見つけないといけないのだろうけど、
なかなかそれがないところに
もどかしさを感じる。

山本君、最後にとても面白い議論を
ありがとう。
僕ら一人一人がしっかりと考えないといけない
というメッセージを受けたように思います。
新天地で成功すること、お祈り申し上げます。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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