今回はインドネシア農業研修2年目の
カダルスマン君を記録しよう。

土地がほとんどない彼は
集落の庭先で取れたバナナを加工して(チップス)、
生計を立てようと考えていた。
今年度の前期の授業でビジネスプランを
みんなで立てる試験を行ったのだが、
その時にカダルスマンの地域をモデルにクスワントが
立てたビジネスモデルが、彼に大きな影響を与えた。
そのエントリーの詳細はこちらから

単一の作物を加工するのではなく、
いろいろな野菜をチップスにするというプランで、
このプレゼンの後、
カダルスマンの帰国後の夢は
バナナ単品の加工から地域で取れる果樹全般の加工へと
切り替わっていった。
そしてチップスをどう生産していくか、
その問題もあるのだが、最近はもっぱら
どこへ売るのかがテーマになっている。

カダルスマンのアイディアは、
地域内にある市場(伝統的な)や小中高などの学校の売店、
そして少し先の将来として、
エリアを広げて、バンドンのお土産屋街に売るなどを
考えていた。

モノを売る時、
2つの考え方が基本的にはあるだろう。
まず、どんなモノを生産するのか、実際の技術的な部分や
個人的なこだわりや地域のこだわりなどを考えて
販売する市場を選択するやり方がある。
結構生産者はこの考え方が多い。
その反対に、実際にアクセスできる市場を特定して、
その市場の特性に合わせて生産を考える
やり方もある。
カダルスマンは2番目のアプローチで
販売をちょっとぼんやりとだけど考えていた。

地域の市場や小中高の売店で販売するのなら
(特に学校がメインらしい)、
価格は安くないといけない。
小中高の子たちが毎日いくらくらい自由なお金を
もっているのかが、価格に反映されなければいけないだろう。
スメダン県付近の高校生の実情としては、
お小遣いは毎日5000ルピアくらいが相場らしい。
この中にはミニバスなどの通学に必要な交通費も含まれている。
だいたい行き返りで4000ルピアくらい使ってしまうので、
毎日買ってもらおうと思うと
1000ルピア以下の価格に設定しないといけないが、
まぁ、あまり現実的な金額じゃない。
それが2000ルピアだとしても、
売店への手数料もあるので、やはり薄利は
間違いない。
となると、出来るだけ大量に、
しかも安く生産する方法を見つけないといけないだろう。

そんな議論をみんなでしていたのだが、
当の本人であるカダルスマンは
どうもそこまで考えていなかったようで
やや困惑気味だった。
もしカダルスマンにこんな商品で勝負するんだという
こだわりがあるのなら、そのこだわりを解ってくれる
市場を探す必要があるが、
その質問に彼は、やはり学校など
現実的にアクセスできる市場に販売したいという。
ある意味、彼は自分と周りの状況を良く理解している。
彼は土地を持たず、生産から考えることが
ほとんど難しい状況だ。
だから村で良く栽培されている果樹、
目的は自家用+お小遣い程度の収入期待程度の果樹を
買い集めて、それを加工しようとしている。
それを販売するエリアも
初めは地域の学校がターゲットにしている。
それはそれでとても面白い。
なんでもかんでも高品質で
高級レストランなどに売るんだ、
というよりもとても現実的で面白い。

そうなると次の問題は、
どう安く、そしてある程度儲けが出るだけの量を
どう生産していくかが問題だろう。
凄く儲かるのならそれにこしたことはないが、
最低限カダルスマンの世帯が暮らせるだけの儲けは
必要だろう。

そしてその売店でも多様な商品は存在しているわけで、
そこでどうやって勝ち残るかが鍵だろう。
子供、スナック菓子と連想すると、
やはり「健康」というキーワードは外せないだろうなぁ。
でもカダルスマンはまだまだそこまでは思い至らないようで、
FacebookやラジオでCMします、と答えてくれた。
君の周りの子供たちがラジオを聞いたりFacebookをしているのか?
と聞くと、どうもそんなことはないようで、
なかなかターゲットになる消費者に対するアプローチはまだまだだ。

本当は健康みたいなキーワードから発していけば、
佐藤君と一緒にやっているような食べ方や栄養の勉強が
もっと活きてきて、
課外授業として学校で健康と食について
彼が教えて回るなんていうのも
その地域の問題を解決するビジネスになったりもするのだが、
まぁ、それは僕の先走りか。

とにかく、現実的に販路を考えている彼に
このまま寄り添って、
僕の先走ったアイディアも埋め込んでみようか。
たぶん、すこし時間がかかるだろうけど、
また想像もしなかった化学反応が
起きることを楽しみにしてゆっくり取り組んでみよう。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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