先週末は、国際開発学会の全国大会に参加した。
たまにはアカデミックな空気を吸いながら、
普段使わない脳みその部分に
刺激を与える必要がある。
そうしないと、僕らの活動も営農も
停滞してしまう気がするから。

さて、今回のエントリーは、
学会の話ではない。
恒例の全国大会開催地の農家見学について書こう。

今回お邪魔したのは、
かつて青年海外協力隊で同じ任地で、
活動していた「竜さん」が働いている
大阪は泉州の農業法人ツユグチさん。

竜さんとは彼の結婚式以来の
10年ぶりに再会をした。
同じ任地の農業隊員ということもあって、
けっこう意識した相手で、
誰よりも現地に馴染んでいるのが
当時から羨ましかった。
現地の方よりも色黒で、
それがまた羨ましかったりもした。
10年経って再会しても、
冬だというのにやはり肌は黒かった。

さて、ツユグチさん。
大阪の郊外で、水田中心に行い、
裏作で玉ねぎなどを作って経営している。
区画整理されていない
ぐにゃぐにゃに曲がった田んぼばかりを
40町ほど作っている。
1枚の田んぼが1反にも満たないものも
珍しくなく、
そんな場所で米農家で40町は
なかなか忙しそうだった。

面白いのは裏作。
泉州と言うこともあって、やはり玉ねぎが主力だった。
米を収穫した後の田んぼを起こして、
畝立てをして、そこに玉ねぎを植え付けていく。
11月まで稲刈りがあり、その後、
玉ねぎの畑を準備して、
11月下旬から2月まで玉ねぎを植え付けていくのだとか。
2月に植えた玉ねぎは
やはりそれほど大玉にはならないらしいが、
6月には収穫して、即その田んぼでは
田植えをするのだという。
そんな玉ねぎを6町ほど作っているとか。
そんなことに驚いていると、
社長の露口さんは、
「うちはまだ余裕のある方だ。近くの法人だと田んぼが終わった後で、その水田に急いでキャベツを植え付け、1月に収穫してから、その田んぼにすぐに玉ねぎを植えて、それを6月に収穫したら、その田んぼは7月には田植えをするんだ」と教えてくれた。

いやはや
太平洋側の農業は、
なんとも羨ましい。
曇天で積雪のある福井では、
とても冬の間に田んぼで
何かを作るといった発想には立てない。
どうしても物理的に無理だからだ。
ところ変われば、
こうも農業のカタチが変わるものなのだろうか。
天気の違いが、特急で2時間しか離れていない地域でも
こんなに生産様式の違いを生み出している。

大阪という巨大消費地の近くというのも
大きな特徴になっている。
それだけたくさんの米や玉ねぎを栽培しているのだが、
ほとんど直売所や給食でさばけてしまうらしい。
付き合いで卸にも出すようだが、
メインは直売と給食。
自社の直売所もあって、
小さなカーポートを改造して作った場所で、
おばあちゃん一人が店番をしている
小さな直売所だったが、
それでも毎月30万以上は売り上げるとか。

ただ良い事ばかりでもない。
都市化の波がすぐそばまで来ていて、
農地開発の圧力を感じるとか。
徐々に農業をやめていくお年寄りの農地を
引き受けつつも、
駅前再開発に伴う都市化によって
農地も同時に失っているらしい。
そういう意味では、
未来は決して明るいわけでもなさそうだった。

小面積でも利益が出せる園芸にも
一時は力を入れたこともあるようだが、
細かな作業になれないのと
最近の機械力の向上があって、
大規模の水田露地園芸を志向している。
これもこれまでの天候から生み出された生産様式の
習慣化によって、それぞれの作業で、
その気性に合う合わないが生み出されているのかもしれない。

そう思うと、
北陸のような曇天で積雪の多い
一見して園芸不利地に見えるような場所でも、
露地園芸になかなか活路を見いだせず、
しかも大規模稲作もTPPなどの時代の潮流から見たら
安定性を欠いでいるような状態を考えると、
天気が作り出した生産様式とその気性から、
僕らのような中規模園芸で多品目栽培の道は、
それほど的外れではないのかもしれないと
思う所もあった。

祖父などが、その農法がその人に合っている場合に
「手が向く」とよく表現したが、
生産の物理的な要因プラス
その人の気性がどこに向いているのかも
その農法につながっているのだろうと思う。
他を学ぶことで、
自分たちの本性も見えてくる。
これだから「農家から学ぶ」は
やめられないのだ。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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