今回の台風は、
少なくとも僕らの農園には大過なく、
過ぎ去ってくれた。

18号の時は大雨で、
特別警報がでるほど降ったため、
雨水がハウス内に侵入し厄介だった。
露地野菜も種まきを済ませた畑では、
多くが表土ごと流され、発芽率が下がってしまった。

では今回の台風はどうだったか?
今回は晴天と高温と強風の台風で
ほとんど雨が降らなかった。
そういうわけで大過なかったのだが、
実はこういう台風でも、僕らのような葉菜類を
主体にしている農家には結構つらい。

葉っぱ野菜はどうしても風に弱い。
熱風が吹きつけ、さらにそこに強い日差しが
降り注げば、葉っぱの蒸散量を超えてしまい、
葉っぱが焼ける現象が出る。
そうなってしまえば商品価値はなく、
損害も大きい。

ハウスのような施設であれば、吹き込む風をコントロールして
遮光ネットで強い日差しをカットできれば、
高温による障害が出ない限りはなんとか
やり過ごせるのだが、
露地の野菜はそうもいかない。
風はコントロールできないし、
日差しをカットするネットも張れない。
そんなわけで、露地野菜の一部にはそれなりに障害が出た。

そんな畑を見て、ふと思ったことがある。
以前、知人のFBの書き込みで、
農家は災害に弱く、努力が足りないんじゃないか、
というのを目にした。
自らを弱く示すことで、同情や援助を引き出そうとしている、
との論調だった。
はたしてそうなんだろうか?
たしかに前回や今回の台風で、被害を受けた。
準備していてもどうにもならない。
というか、もっと出来ることはあった。
排水ポンプをもっと大量につけるとか、
露地野菜じゃなくて、大根も施設で作るとか。
でもそれだと、それらすべて投資は、
価格に反映してしまう。
そしてそれは市場競争に耐えうるものではなくなってしまう。
1本100円を下回る大根の値段に合わせて、
僕らはまるで博打のような農業を
しているに過ぎない。
もちろん、生活が懸かっているわけなので
勝ちにはこだわる。
だから、
その条件下(価格内)で負けない準備は
出来る限りする。
ただそれだけのことだ。

売り方も努力はしている。
少なくとも僕の農園では総太りの一般的な大根は
作らなくなった。
高く売れる大根を、それを評価してくれる市場に出している。
それも当たり前といえば
当たり前のことだな。

災害に弱く見えるのは、
その努力を怠っているわけではなく、
災害と密接した自然を相手の現場で
作業をしているからだ。
自然を断ち切って植物工場にしてしまえば、
それですべてが済むわけじゃない。
レタスなどのほんの限られた一部の品目だけは、
その考え方で通用するが、
米なんてとても高コストになりすぎて、
とてもエネルギー的にも倫理的にも
許せる範囲で生産できないのが現状さ。
まぁ、根菜もマーケット的に無理だね。

同情を買おうとしてるように見えるのであれば、
それはその方の視点が、
すでに自然の営みから
遠く離れた場所に行ってしまっていて、
想像力が無くなっているからだろう。
僕ら農家は、同情はしてもらう必要はない。
というか、こちらからお断りしたい。

ただ僕らの眼差しとして、
マーケット的にも環境倫理的にも
技術的にもコスト的にも
見合う範疇で、
こういう生き様が好きで
自然相手に博打を打っているに過ぎない。

今年の大根は2つの台風で
ずいぶんと傷みが出て苦労をしているが、
ここからの盛り返しが、
僕らの本領発揮なのだ。
すでに台風を見据えて、
手作業の中打ち・除草を済ませ、施肥はした。
計算通り明日雨が来れば、
出荷は遅れるだろうが、
素晴らしい大根になってくれると
僕は期待している。

関連記事

ありがとう

台風 大根で検索していて目にしました。
うちには糖尿病患者がいます。大根は欠かせない命の糧です。
農家さんの努力を無駄にしないように葉っぱまで美味しく頂いてます。
色々なご苦労があると思います。いいたい人には言わせておいて これからも良い作物を私達に届けてくださいね。
これからもよろしくお願いします。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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