P1050157.jpg


タタンが帰国した。
2010年4月に来日した彼は、
3年の研修を終えて、インドネシアへと
帰って行った。
タタンが帰ることで、
僕も研修が一区切りついたように感じる。

2008年から始めた研修だったが、
初めからプログラムがきちんとあったわけじゃない。
一期生のヘンドラや二期生のイルファンと
手探りで研修内容を考え、
とにかく走りながら創ってきた
農業研修プログラムだった。
ある程度、このプログラムが
僕の想像する「考える農民」像と一致をみる頃に
タタンはやってきた。

彼はとても優秀だった。
授業でもフィールドでも
多くは語らないが、本質をしっかりと掴んで、
実現させる力があるように僕には見えた。

その反面というわけでもないが、
病気が多かったのも彼だった。
風邪をひくことは滅多になかったが、
どういうわけか、
足に膿がたまる病気に2度かかった。
入院騒ぎになったりもした。

そんな彼が、今日(14日)、
インドネシアへ帰国した。
帰国前に、寡黙な彼は帰国後のプランを
少しずつだが話してくれた。
僕はそれをここに記録しようと思う。

彼は、卒業研究のエントリーでも取り上げたが、
果樹で生計を立てる農家を目指している。
栽培する果物は、ヤシの実・ドリアン、そしてSawo。
それらはローカルマーケットを意識し、
比較的高い付加価値をつけられる果物は何かと、
3年間のプランニング学習の中で
彼が導き出した答えだった。
また、収穫の季節に
労働が集中してしまう果樹において、
その労働の分散を考えて、それらの果樹も選んだ。

ただし、果樹は植えてから数年、
収穫物が無い。
その点は、これまでも授業や月間レポートなどで
他のインドネシア研修生からも
指摘されてきた。
収穫できるまでの数年はどうするのか、
残り1年を切った辺りで
浮かんできたその問題に、彼はこれまで
あまり明確に答えられないで来た。
だが、彼はひそかにその答えを
探してきた。
最終的に彼が行き着いたのは、
果樹苗の販売だった。

彼はここに来る前、
インドネシアの山間地域の緑化政策を
請け負う民間業者に勤めていた。
ほぼ山で暮らし、
緑化のためにひたすら苗づくりをし、
緑化体験で訪れる学校関係者や
NGOの活動に場所と苗木を提供するのが
彼の仕事だった。
その時の技術とコネクションを
活かそうというのが、
今回の果樹苗販売らしい。
彼が抜けた後、彼の同僚は、
緑化用の苗生産の合間に
自分の果樹苗の生産も始め、
その販売を少しずつ伸ばしていた。

そんな時に、果樹が収穫できるまでの間を
どうするかを悩んでいたタタンは、
元同僚と協力して、
果樹苗販売ビジネスに行きついた。
緑化政策の横で果樹苗のアルバイトとは、
若干、問題もあるようにも思えるけど、
まぁ、インドネシアらしいと言えばそうなんだろう。

果樹苗はそれなりに需要もあるし、
前職の経験も活きてくる。
販売のノウハウを元同僚と共有しながら、
自分の果樹園経営にもつなげていきたいという想いだ。

さて、その果樹園経営の基盤となるのが、
農地だろう。
タタンは、来日1年目でお金を貯めて、
さらに一部親族から借金をして
新しい農地をすでに購入していた。
ここにいる間に、結構研修生たちは
農地を買い進めているのだ。
ただ、1年目に買った農地は、
車両が入ることが出来ない場所で、
帰国したら彼は、その農地を売って、
道沿いの車両が入る農地を探すと話してくれた。
これも一緒に学習を進めていく中で、
輸送の重要性を考えるようになり、
バイクではなく、車が直接入る農地を購入しようという
研修生間の雰囲気が影響している。
本当は車購入を検討してほしいのだが、
そこまではなかなか考えられないらしい。
今は、
想像できるスケールの限界値がその辺と言うことか。

果樹の販売では、
ローカルマーケット以外にも
直売所を併設して直接販売や
観光農園などの要素も含めたいと思っている。
最終年度に卒業研究で見学した
朝倉梨栗園が影響しているようだ。
価格と販売にイニシアティブをもつ
農家になりたいと彼は話してくれた。

彼との議論の時間はとても楽しく、
これがもっと続けばいいと思うこともあったが、
その時間は終わった。
さあ、タタン、
ここから先は、君が思い描いた夢の実践を
僕に見せてくれ。
次に、君に逢う日がとても楽しみだ。
関連記事
Comment
Trackback













管理者にだけ表示を許可する

Comment form

田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

プロフィール
06 ≪│2017/07│≫ 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
カレンダー(月別)
カテゴリ
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

Page Top

Powered by FC2 Blog |

FC2Ad

| Template Design by スタンダード・デザインラボ