勉強会の記録をしよう。
今回は、今年からうちの農園で研修を受けている
北野君の番。
彼は青年海外協力隊に参加すべく、
仕事を辞めてうちの農園で研修をしている
ちょっと変わった若者。

さて、その彼が選んだ本はこれ。
山下 朝史 著 「パリで生まれた世界一おいしい日本野菜」。

ちょっとまえにテレビや雑誌でも
取り上げられていて、結構有名になった日本人。
1977年に23歳で渡仏し、
様々な職業を経て、43歳より農業を始めたらしい。
核心から言えば、
その農業の始め方が最初からターゲットを
ある程度絞ったものと言えよう。
特異な販売と品種のインパクト、
それが成功の鍵だったように思える。

三ツ星シェフにしか出荷しないスタイルをとり、
自らのブランディング化に成功した事例だろう。
作る野菜も、当時のフランスでは
まだまだ珍しかった日本の野菜の品種を揃え、
そのインパクトも大きかったのだろう。
特にカブが好評で、奇跡のカブと言われたらしい。
樺太ほどの緯度で、暖流のためにそれなりに
暖かくなるフランスの気候も
カブに良く合ったのだと思う。
日本のカブは、西洋カブと違い、
筋張りにくくて柔らかく、
寒暖の差が激しいほど、
甘みをしっかりと蓄えてくれるのだ。

では、これを踏まえて、
僕らはこの事例をまねて成功できるか、と
言われれば、たぶん答はNO。

まず、日本で日本人が普通に日本の品種を栽培しても
三ツ星レストランでは扱ってもらえないだろう。
少し逆転させて、
日本でフランス人がフランス野菜を
富良野や安曇野あたりで作るのであれば、
たぶんあと時代が10年くらい前だったら
そのフランス人の野菜は、
東京の三ツ星フレンチで使われたかもしれない。

ここで大事なのは、
「ヨソモノ」ということだろう。
それも半端ないヨソモノであること。
山下氏の農業を始めるまでの様々な職歴と経験が
多様な人脈を築いたことは容易に想像できる。
その人脈と、やはり異国人というインパクトが
作用して、時にその人は、いろんなところへ
アクセスすることが可能になる。
社会的なしがらみやカテゴライズを避けることができ、
それらはその人がそのことに気が付けば、
比較的いろんな人や場所にアクセスが可能になることを
教えてくれるはずだ。
推測でしかないが、
それが彼を三ツ星シェフと出会わせたのだと思う。
なぜなら、それとよく似た感覚を
僕は5年間のインドネシア滞在で経験しているからだ。
その経験で得た人脈が、今の活動に
無くてはならないものになっているのだ。

もちろん、ヨソモノは
その地域や場所に入り込むことにかなり苦労はする。
ヨソモノであることがマイナスに作用する場合も多い。
でもそれらはもろ刃の剣で、
マイナスに作用する部分が、逆に僕らを自由にしたりもする。

次に日本の品種だろうか。
フランスの事情は良く解らないので推測だが、
山下氏が始めたころはまだまだ日本の品種は
それほどフランスには無かったのだろうと思う。
こういう事例が出てくると真似をする者も
多くなるだろうから、たぶん今はそれなりに
日本の品種も多いのではないだろうか。
ちょうどこのプレゼンの時に
県の普及員も参加してくれたのだが、
その彼曰く
「一番初めに取り組んだという利があるんじゃないですか」
とのことだった。
一番さきに思いついた人に利があったという
考えは、僕も賛成だ。
二番煎じはどうしても不利だし、
インパクトも弱い。

北野君は、
「べつに協力隊から帰国した後に農業をするわけじゃないので、今後にどう活かすか、というプレゼンフォームは考えにくかったです」と
話していたが、
実は、ヨソモノ論的に考えると
彼の成功事例はその考察によく合致するのだ。
僕らが海外や異文化、または縁もゆかりもない土地で
活動する場合に、一度は思考の中にあがってくるのが
このヨソモノ論。
僕の風土の話とほぼ同じことなのだが、
山下氏はその視点を持って
自分のビジネスを成功させた。
そして僕ら協力隊は、その視点を持って
その地域の発展に貢献するというわけだ。
だから、プレゼンフォームの「今後に活かす」を
そんな表面的に捉えちゃいけないぜ。

まだまだ勉強する必要があるね。

関連記事
Comment
Trackback













管理者にだけ表示を許可する

Comment form

田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

プロフィール
08 ≪│2017/09│≫ 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
カレンダー(月別)
カテゴリ
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

Page Top

Powered by FC2 Blog |

FC2Ad

| Template Design by スタンダード・デザインラボ