こういうニュースには、敏感になる。
「社長ら2人を殺害容疑 中国人実習生逮捕」
(毎日新聞3/15)。

広島で起きた悲しい事件だ。
インドネシアの研修生を受け入れているので、
他人事ではない。

福井でも、今年の2月に実習生が
配属先で暴力をふるったとして、
ニュースになっていた。
その時は、インドネシア人と言うこともあり、
すこし周りでも話題にもなった。

こういう時、僕がいつも思うのが、
一時受け入れ機関(いわゆる協同組合)の方々は、
一体何をしていたのだろうか、ということ。
僕ら二次受け入れ機関から監理費と言う名目で、
毎月多額の金額を請求される。
僕の農園では独自の研修プログラムを作り、
座学のカリキュラムと卒業研究、そして帰国後の事業計画作成など
ただ単に技術だけでない支援プログラムも用意している。
そんな場合でも、現行制度では、
協同組合に監理費を毎月収めないといけない。
僕よりもインドネシアに精通していて、
座学や実習に的確なアドバイスを頂けるのであれば、
その費用も致し方ないが、
現実には、そんなことはあまりない。
まぁ、うちは実質独自プログラムだし、
選抜や事業全体で独立性が高いので、
名目上の監理費なのかもしれないけど、
その他の第2次受け入れ機関では、
その実習生の国に精通している人は、
少ないだろうから、この「監理監督」が大切になってくるはずだ。

異国で生活するのは、
息を吸っているだけでもストレスに感じるものだ。
ましてや慣れない仕事に従事する場合は、
そのストレスは計り知れない。
農園でも、同じ作業を僕ら日本人と行っているが、
研修生だけが体調が悪くなることが多い。
医者の意見では、異国で生活する
ストレスが原因なのでは、とのこと。
症状が重ければ、しっかりと治療を受けてもらい、
復調するまで十分休息をとってもらうのだが、
その間のメンタル的なケアにも気を遣う。
僕にも経験があるが、
入院や通院も外国人にはとてもストレスフルな作業なのだ。

職場では、文化的な違いや言葉の問題で、
かならずミスコミュニケーションが生まれる。
その会話のズレは、双方にとってとてもストレスになる。
それをファシリテートできる人がいない限り、
今後、今回の事件は繰り返されるだろう。

外国人研修生を安い賃金と思っている経営者にも
問題大ありだが、その間に入る協同組合は、
監理費に見合うサービスを提供すべきだ。
「研修」としてのミスマッチが生まれる構造は、
労使双方の情報不足とコーディネート不足、
そして「長期海外研修制度」の形骸化というか、
完全に脱法的な制度設計によるものだと思う。
奇しくも、広島の事件が起きた次の日に
総理がTPPの参加表明をした。
フリートレードエリアは関税だけの問題じゃない。
そのエリア内では、物だけでなく、
金と人が自由に行き来するような制度設計なのだ。
僕らは、どう異国の人たちと共存するのか、
その覚悟をしっかりと持たないといけない。
ただ単に、南北問題を上手(?)に利用した
格安労働力とみなしていると、僕らの社会に未来は無いだろう。

広島の事件が報道された日、
僕らは、農業とグローバリゼーションの授業の
最終試験をしていた。
3年生のタタン君の発表があまりに素晴らしく、
地域を愛する眼差しと深い洞察、
そして僕ら異国人同士がどう付き合っていけばいいのか、
多くの示唆に富んでいた。
付き合い方を変えれば、僕らは多くのことが学べるんだ、と、
僕は声を大にして言いたい。
早く、みんなもそのことに気がついてくれたらいいのだが。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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