最近、たまりがちの勉強会の記録。
今回は、1月30日(水)の記録。
発表者は、酒井くん。
本は、
松永和紀 著 『植物で未来をつくる』。

松永和紀さんは、僕の好きなサイエンスライターさん。
論理展開に無理が無く、
難しいことを平易な文章で伝えることが出来る人。
さて、酒井君のプレゼンによるとこの本では、
遺伝子組換え技術による未来が描かれているという。
遺伝子組換え技術に対するネガティブな本は多い。
本当にそうであるのかどうかは、
僕らの知識で考察はできないが、
その技術が出てくる背景や社会の文脈は
もう少しフェアな感覚で勉強しないといけないと、
僕らは常日頃思いながら
勉強会を行っている。
○○が危ない、という論調は、
時として論理的と言うよりも心情的であったりもする。
心情的である場合、その心情を支える
僕らの価値観と常識と前提と仮説は、
時としてミトスに近い場合もある。
そこまでさかのぼっていけば、
「危ない」となっている事象の構造と文脈、
そしてそれを支える認識が見えてきたりもして
面白い。
遺伝子組換えも、賛成か反対かは別として
(ここにこだわらないことで、思考が自由になる)、
そんな社会を覗くにはとても良いトピック。

さて、和紀さんの本では、
植物が僕らの直面する問題の多くを解決してくれると解説している。
スギ花粉を治すイネや途上国で不足するビタミンを含んだイネなど、
使い方によっては、僕らの社会が抱える問題を
解決できるようなものをこの技術は含んでいる。
バイオエネルギー分野でも遺伝子組換えは力を発揮するだろう。
少ない力で多くのエネルギーを取れる植物も可能だ。
ただ代用された物質それらすべてが、
どのように自然界の中で反応するのかどうかは、
やはり不明であることには間違いない。
しかし、このブログでもたびたび書いているが、
科学哲学において、
僕はこの世の中は帰納的に出来上がっていて、
自然科学的に、社会的構築されているわけではないと思っている。
僕らの思考的なくせとして帰納してしまうのは、
それは世の中が帰納的に出来上がっているからでもあろう。
当然、知りえない情報によって、この技術が
僕らの脅威となる場合もありうるだろうが、
多くの科学者が認めているように、
組み換えられた遺伝子の脅威は、
どこかミトスに近いのかもしれない。

ただし、これだけは言える。
それは技術的な問題ではないこと。
遺伝子組換え技術は、問題を解決するのではなく、
今の社会的文脈の中で、最適化を目的として発揮されず、
最大化を目指してしまうだろう。
そうなれば、きっと今まで以上に
僕らの生活環境に悪影響を与えてしまうことにもなりかねない。
農業者として、この技術をどう活かしていくかは、
技術的問題以上に、
僕らの社会的倫理とその規範なのではないだろうか。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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