この1月は記録することが多すぎる。
なのに、それに比例してか、
僕の時間はどんどん無くなっていく。
それだけいろんなことが周りで頻発しているということか。

今回は、彼を紹介しよう。
「北野正人」

IMGP1040.jpg


彼は、2010年の夏、早稲田大学の学生として、
僕らの農園にやってきた。
毎年、早稲田大学の農村体験の授業の一環で、
夏休みの8月に、
1~2名の学生を受け入れている。
受け入れると言っても、2泊3日程度。
その間は、散々こき使って、
しかも寝食をインドネシアの研修生と一緒にしてもらい、
異文化・ワールドワイド・田舎体験&重労働を
無理やり3日に詰め込んで、学生を混乱させることに
僕の喜びがあった。
早稲田の学生はなかなか優秀で、
音はあげない。
が、本当はどう思っているのかも良く解らない感じで、
異質なものを前にした時に、
その場しのぎ的に自分を偽っているようにも見える時もある。
賢いからなせる業ともいえるかもしれない。
そんな中でも、面白い子が何人かはいた。
北野正人は、その中でも断トツだった。

彼はそれだけ混乱させたにもかかわらず、
しなやかだった。
彼が来た時の印象は今でも覚えている。
4年生だった彼は、この時期貿易関係の商社に
就職が決まっていた。
だのに、海外旅行したことが無いという。
そもそも海外に興味がないとまでノタマフのだ。
だから、インドネシアの子たちとの共同生活で
きっと音をあげるだろうと、
根が意地悪な僕はほくそ笑んでいた。
だが、彼は逆にその生活を楽しんでいた。
そしてあろうことか、その夏休みの間に、
また農園に舞い戻ってきたのだ。
面白かったので、バイトさせてほしい、とのことだった。

あれから月日が流れ、
昨年の夏に久しぶりに彼から電話があった。
突然の電話で驚いていたのだが、
彼は
「協力隊に行きたいので、田谷さんの農園で修業させてもらえないでしょうか」
と、これまた突然の申し出だった。
一瞬答えに躊躇した。
一流大学を出て、一流貿易会社に入社。
仕事も面白くなったころに違いないはずだし、
それにそもそも海外にはあまり興味が無かったんじゃなかったっけ?
海外に行くにしても、貿易会社なんだから
嫌でも海外赴任はあるだろうし。
青年海外協力隊を選ぶ必要性は、
彼の場合、どこにもなかったのだ。
僕は彼に、青年海外協力隊はキャリアアップではないよ、
と正直に伝えた。
協力隊は僕らにとても大きな経験を与えてくれる。
だが、この経験を社会が大きく評価してくれるかどうかは、
また別の話なのだ。
マイナス評価の場合も多い。
海外で仕事をしたいと彼が言う場合、
協力隊以外にもいろんな可能性があるのだ。
だから、僕は強く勧めなかった。
それでも、協力隊に行きたいと彼は言う。
そして、実際に福井にも来て話を直接聞いて、
僕も腹をくくった。
彼を青年海外協力隊隊員として育成しようと。
もはや、僕は何を商売としてやっているのか、
自分でもわからなくなってきた。

そんなこんなで、彼はこの1月から
農園で働きながら協力隊を目指す事になった。
農業を経験しながら、
僕や妻とコミュニティ開発について
議論を交わしていこうと思う。
僕らはもう、そう長くは仕事で海外に出ることが出来ない。
だとしたら、
僕らの代わりに外に出て活躍してくれる人を
育てたらいいんじゃないか、と思っている。

この新しい試みが、
どう化学変化を起こしていくかは、
これからの楽しみとしよう。

ちなみに、
この育成活動もまったくの僕の道楽。
JICAからお金は一切出ていませんのであしからず。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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