勉強会の記録。
今回は、うちで研修をした林君。
彼の発表は、毎回面白いので、
結構楽しみにしている。
今回も、期待に反しない発表だった。
本はこれ。
宇根豊 著 「天地有情の農学」。

宇根さんの本はいくつか読んだが、
この本は初めて。
だが、そこには通底した一つの眼差しがある。
それは、生産に重きを置きすぎた、
行き過ぎた近代的農業技術(農学)を否定し、
百姓の情念を大切にしたいという想い。
今回の林君のプレゼンでは、
その眼差しをビンビンに感じた。
氏が取り組んだ減農薬運動で、
農家が主体性を持ち得て、自分の田んぼに
どのくらいの生物がいるかを発見した話を例に、
近代化と対比させた技術を氏は主張する。
それは、近代的な技術で
生産に直結する「上部技術」と
生産には直結しないが、豊かな自然を育む
「土台技術」である。
普及員の指導などでマニュアル化され
効率よく生産することを目指した近代的技術は上部技術。
直接生産には直結しないが
堆肥による土づくり、田圃の見回り、畑の観察などが土台技術。
氏は、この土台技術によって育まれる
自然をもっと評価しようと
本書で、「環境デ・カップリング」という政策を提言している。
農業の多面的な機能を見直し、
生産オンリーになっている現状から、
情念に支えられて行われている土台技術を復権させ、
その行為に対して、補助を出すという政策。
林君の説明では、氏のそれは多岐にわたり
たとえば、田んぼの生き物目録を作ったり、
田んぼをどのくらい見回ったか、などによって
助成金を出すというものらしい。

林君は、概ねこの政策に賛同している様子で、
この勉強会のメンバーや
高志みどりクラブでも生き物目録をつくってみてはどうか、
と提案してくれた。

では、ここから僕の勝手な意見。
行き過ぎた経済や生産を憂うのは、
気分として解る。
また、百姓の情念が存在し、
それがとても大切なモノだということも賛成だ。
僕は、この情念を農民文学が何かに昇華させ、
それがもっと洒脱で現代風なアレンジを持って
登場してくれることを待っている1人でもある。

だが、環境デ・カップリングはいただけない。
補助は、何も生み出さないよ。
有意義な行為に対して、補助を出すという
とても崇高な政策なんだろうが、そういうのは
絶対フリーライダーのたまり場になる。
やったことの監視も出来なければ、
目録も焼き増しが可能だ。
計画書と実行書のアドミをこなせば、
みんな補助金がもらえるという政策になりかねない。
宇根さんは経済を否定しすぎる。
僕は、真っ当な評価が無いところに
真っ当な生き方は無いと思っている。
だから真っ当な評価(マーケット)を作るよう、
仕組みを組み替えないといけないんじゃないかと思う。
土台技術が育む天地有情を
評価するマーケットと仕組みがあれば、
僕らは、どう考えているにせよ、そう行動するだろう。
そして行動は、僕らの思考も左右する。
大事なのは経済的な刺激も伴う事。

林君、君が生き物リストを作る相手は
僕たちじゃない。
僕たちも入るかもしれないが、
君の作物を買ってくれるお客さんとやるべきだ。
それを評価してくれるニッチな市場は、
中小企業診断士の君ならできるだろう。
援助に頼らず、自分を信じろ。


関連記事
Comment
Trackback













管理者にだけ表示を許可する

Comment form

田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

プロフィール
06 ≪│2017/07│≫ 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
カレンダー(月別)
カテゴリ
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

Page Top

Powered by FC2 Blog |

FC2Ad

| Template Design by スタンダード・デザインラボ