勉強会での僕のプレゼンの続き。
本は、川島博之 著『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』

日本の農業をダメにしている、
もう一つの構造的な理由とは何か?

本書では、国際競争に対抗できない現在の
日本の国内農業構造が問題だとしている。
一番大きいのは、農地。
農地の流動化が実現せず、多くの兼業農家が足を引っ張る。
アジア型の農業は、
多くの人口を養ってきた素晴らしい生産様式だったが、
増えてしまった農業人口が、
逆に国際競争を無くしてしまった。
江戸時代には、100人を養うのに
85人の農家が必要だった。
しかし、現代では、1人でも多いくらいに
化学肥料と機械による効率的な農業が発展した。
本来ならば、残りの84人の農家は
農業の舞台から退場し、残った1人に
農地を集積しなければいけないのだが、
一部の人は兼業化し、農地集積は進まない。
農業に対して、また農地に対しては、
それぞれの農家がさまざまな想いがあるだろう。
だが、資産として農地を見る傾向も
この場合は大きく影響している。
農地の転用機会を伺っているというと
そんなことはない、と反論する人もいるかもしれないが、
結果的にそういう現実になっているのも
事実であろう。
だから、著者は「農業の担い手不足」を声高に叫ぶ農業行政にも、
それは予算確保の方策だと厳しい指摘をしている。
農業の担い手は不足しているのではなく、
逆に、まだまだ多すぎるというのが著者の意見。

著者は、日本農業の生き残り方を
オランダ農業の成功例を紹介して、
園芸と畜産の効率化&大規模化だと語る。
東アジアの経済圏をマーケットにした
高品質の付加価値を付けた園芸と畜産が、
日本の農業の未来だとしている。

本書は、
論理展開に無理はない。
若干、東アジア経済圏とEUを比べる時に、
近い将来の実現可能性と
輸送にかかるコストで、疑問は残る。

さらに、確かに担い手不足ではなく、
農業人口がまだまだ多いのかもしれない。
しかし、農業によって派生するコミュニティが
その特性を失いつつある問題もある。
それは変容と言うダイナミズムの過程だと
言い切ることは簡単だ。
だが、そこに身を置く僕ら農民は、
なかなか割り切れない。
僕の農園の経営診断で、
「人が多すぎて経営を圧迫しています」と
解りきった指摘をしたり顔でする診断士の方を
スルーしながら、僕は人が集まる場を
ここに作って行こうと、
腹に根性を入れて考えている。
構造的に正しいと思われる著者の指摘に
僕は逆行しているのだろうか?
今はそう見えるが、果たして僕らの未来は
この先、どうなっていくのか、
不安と期待が読後に広がった。

とても良い本。
皆さんにおススメします。
是非読んで、本の視点を得て、
現実と戦ってください!


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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