9月25日の勉強会の記録。
発表者は僕。
選んだ本は、
川島博之 著 『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』。

最近、とても痛感することは、
業種間の給与所得の格差。
ブルーカラーワーカーだから、
そもそも高所得はあり得ないのかもしれないが、
ちょっと格差が大きすぎる。

農業を本業としている方々や
そこでスタッフとして働いている方々の
所得は、みんなが思っている以上に低い。
大規模稲作の場合は、
補助金が大きいので、それを差っ引いて
考えてみてほしい。

マーケティングやブランディングの問題だと、
農業が流行だと囃し立てる雑誌の記事は言うが、
それで、この業界全体が、
他の業種にキャッチアップ出来るんだろうか?
それでみんなが食っていけるんだろうか?
と良く考える。

さて、そんな素朴な疑問に答えてくれたのが、
今回の勉強会で取り上げた本。
構造的な視点から、現代の農業の生産様式を分析し、
如何に農業が食えていないかを分析している本。

ざっくりとした本書の流れでは、
2つの構造的な理由で、日本の農業がダメになっているとしている。
一つは、世界中であふれる食糧。
廉価で大量生産されている今の生産様式が、
世界競争力のない日本の農業をダメにしていく。
2008年の食糧高騰から、
食糧危機を謳う本が世にあふれたが、
著者は、それでも食糧は余っており、
本質的な食糧危機は無いという立場だ。
たしかにバイオディーゼルなどの他の分野での
助成金が食糧の国際市場よりも高い場合、
食糧はバイオディーゼルマーケットに流れるだろう。
10億人が肥満になるのに、10億人が飢餓に
おちいっているのは、増産が間に合わないからじゃない。
そこには別の構造的問題があるからであって、
食糧が足りないわけじゃない。
日本政府が貧困地域に食糧援助している
2倍の量の食糧を
僕らはゴミとして捨てているという現実もある。

さて、ではその作りすぎの構造はどうなんだろうか?
広大な土地と化学肥料と機械化によって、
それは実現した。
本書では世界の農業を3つのタイプに分けて
説明している。
アジア型、ヨーロッパ型、新大陸型の3つだ。
アジアは肥沃な土地が多く、もっとも効率のよかった
稲作で栄え、有史以来もっとも多くの人口を
養ってきた。
一方、ヨーロッパは長らく多くの人を養えなかった。
三圃式と呼ばれる酪農と小麦と牧草地を組み合わせた農業は、
土地そのものが小麦の連作に耐えられないほど
痩せているからである。
これら生産様式が、化学肥料と機械力で一変してしまう。
ヨーロッパ型では、化学肥料のおかげで、
休閑と施肥を意味した牧草地と酪農が不必要になり、
小麦の連作が可能になった。
人口を養えず3回に1回しか小麦を作れない生産様式では、
必然的に個人の保有面積は広くなる。
そこに機械が加わり、耕作能力が格段に上がると
国際的な穀物市場で競争力がついてくる。
一方アジア型は、確かに化学肥料によって
同じように増産が可能になったが、
元々沢山の人口を農村で養ってきたため、
土地所有の構造が複雑かつ小規模で、
機械化による大規模化にはスムーズに移行できなかった。
さらに新大陸型は、
そもそもそこにいた住民から土地を奪うようにして
まったくゼロからの農業経営が出来たため、
この新しい技術(化学肥料と機械)による
生産様式をいち早く築くことができた。
これらの差が、現在の国際米穀市場において
競争力として顕著に表れることになる。
南北問題による格差から、
廉価に作れていた農産物も、新興後進国の例から言っても、
そのボーナスは間もなく無くなるだろう。
そう考えれば、この3つの様式のうち、
そう遠くない未来に勝者となるのは誰か、
自ずと答えが見えてくる。

成人が1日に必要なカロリーは2000cal。
そのカロリーは小麦粉価格で30円ほど。
1日1ドル以下の貧困ラインを割っている人でも、
豊かな食事かどうかは別にして、
十分食べていける価格まで、
国際市場では食糧の価格は落ちているのだ。
それを可能にしたのは、
化学肥料と機械化による生産様式なのだ。

そんな国際的事情が存在する中で、
兼業農家が多く、かつ雇用賃金が高く、
さらに大規模化が難しい日本の農業の発展の道は、
一体どこにあるというのだろうか?

長くなったので、後半に続く。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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