5月30日の有志の勉強会の記録。
発表者は、林君。
プレゼンした本はこれ。

小川 欽也 ピーター・ウィツガル 著 『フェロモン利用の害虫防除』:基礎から失敗しない使い方まで


虫は匂いを出すことで、相手と交信している。
それは、虫対虫だけでなく、
植物対虫でも言える。
その「匂い」を逆手にとって、交信を管理できれば、
害虫と呼ばれる虫たちの管理につながるのではないか。
というのが、フェロモン資材の出現思想であろう。

エコシステムを利用した総合防除において、
ネックになるのは、選択性ではない農薬による防除。
害虫被害を最低限に抑えるために、やむなく使う場合もあるが、
そのことで、圃場内の天敵やただの虫をも殺してしまう。
非選択性農薬の利用を下げる工夫としても
フェロモン利用は有効かもしれないと林君はプレゼンしてくれた。

ただ問題なのが、
フェロモン資材を有効に使おうとすると、
どうしても大規模面積でなければ通用しないということだ。
僕もフェロモン資材を毎年活用しているが、
それでも50aがせいぜい。
でも、この本によると10ha(コンフューザーVの場合)以上でなければ、
期待するほどの効果が得られないらしい。
それはなぜか。

コンフューザーVの場合は、特定の害虫のオスとメスが
交信できないようにするフェロモン資材。
なので、そのエリア内では、オスとメスは出会えない。
しかし、エリア外では、オスとメスは交尾が可能。
そして
交尾してしまったメスが、産卵のために、
コンフューザーVを設置した畑に来ても、
何の混乱もなく、その作物に産卵が可能なのだ。

つまり、それらの虫が飛行可能な距離すべてのエリアに
このフェロモン剤を設置しなければ、
結果としては、エリア外からくるすでに産卵準備に入った
害虫を抑えることはできないのである。

ちなみにコンフューザーVを10ha設置しようとすると、
資材費で、100万円以上になる。
農家間で協力して設置と言う話も出たが、
たとえどっかの大きな産地だとしても、
連続した畑で10ha以上はなかなか無い。
福井のように園芸がほとんど発展していない地域では、
なおさら無理な話なのだろう。

もともと総合防除は、低投入の思想から生まれた。
といっても、偉そうな思想じゃなく、
作れば作るほど赤字になるのに、
それを無理やり補助金で黒字にしているアメリカ農業が、
70年代にむりくり編み出した思想。
だから、大規模農業における低投入と言う意味で、
大規模はなかなか外れない。
その括りの中で、遺伝子組換え作物も出現しているわけで。
その低投入によって生まれた総合防除は、
現在、それぞれの地域の農業の文脈で、
新たな地平が展開されているが、
そこで議論されている技術の多くが、
やはり大規模が前提となっていたりもする。
フェロモン資材も、その一つ。

そろそろ、フェロモン資材とも距離を置こうか、
と最近悩む。

関連記事
Comment

-

管理人の承認後に表示されます
Trackback













管理者にだけ表示を許可する

Comment form

田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

プロフィール
10 ≪│2017/11│≫ 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
カレンダー(月別)
カテゴリ
月別アーカイブ
ブロとも申請フォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

Page Top

Powered by FC2 Blog |

FC2Ad

| Template Design by スタンダード・デザインラボ