インドネシア研修生の座学の話。
今期最後の試験。
「総合防除」講座の最終試験を行う。

総合防除は、IPM(Integrated pest management)の日本語。
病害に対して、農薬だけでなく
総合的に防除しようというのが、
この防除の思想。

もともと低投入による生産コストの低減という意味で
アメリカで発祥した考え方。
補助金漬けで作れば作るだけ儲かるシステムを創り上げた
アメリカが、焼け石に水程度に、作りすぎを抑制するために
低投入のキャンペーンを行ったのが
きっかけだった。

だが、この総合防除は有機農業などの思想も取り入れながら、
今日では大きく発展している。
とは言っても、有機農業や自然農法などとは、
一線を画している。
それは、特別な農法というよりも、
慣行農法の新しい地平という方が相応しいだろう。
そしてこの総合防除の中身を知れば知るほど、
農民の自然を攪乱するすべての行動に、
意味と文化を見出すことができるのである。

なぜ、畝を高くたてるのか?
なぜ、溝に種を播くのか?
なぜ、マルチをするのか?
なぜ、混播するのか?
なぜ、野を焼くのか?
なぜ、深く耕すのか?
なぜ、浅く耕すのか?
なぜ、有機物を土に鋤き込むのか?
なぜ、なぜ、なぜ?

その問いのすべては、作物の健康と
何を持って価値のある農なのかという
文化的行動と深くつながっている。

そして、そのすべてに答えを用意できるのが、
総合防除の次のステージである、
総合作物管理とも言えよう。

タタンは、果樹の防除を文化的にも物理的にも
市場的にも化学的にも取り上げ、
その実証性を高めた。

イルファンは、個々の害虫の天敵を探し当て、
その防除を環境的に考えた。

クスワントは、種の持つ力まで考察し
農耕の意味まで深めて独自の総合管理理論を
発表してくれた。

いずれもユニークかつ文化的かつ科学的な
プレゼンだった。
いろいろと技術的な穴はあるものの、
総合的な農業の風景を描きながら、
自分たちの営農の姿を総合防除の文脈に
埋め込んでいく作業は、
彼らにイノベーションを与えたように思う。

実に面白い講座が出来たことに満足。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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