そうだ、
インドネシア研修生の座学の記録をしよう。
今週と来週にかけて、
今期の座学の最終試験ラッシュ。
まずは、「農業とグローバリゼーション」という講座から。

このやや小難しいような講座は、
Think Globally Act Locallyの考え方・行動力を
身に着けてほしいために行っている。
農業を取り巻く地球規模の環境問題や
生産様式の方向性、長くのびきったバリューチェーンの中で
どう生きていくのか、
そんなことを考えられる力を身に付け、
そしてローカルに行動していける、
そんな農民になってほしいと思っている。

今期、講座で使用したテキストやDVDは次の通り。

・共有地の悲劇 by ハーディン
環境問題や耕作の有限性を考える時の古典中の古典。
限りある資源に対し、
個人の利益を最大にすれば、
すべてが崩壊してしまう。

・キングコーン
歪み切ったアメリカの大規模生産と食の裏側。
助成金によって、赤字を黒字にし、生産余剰を加工し、
むりくり消費者の口に突っ込むビジネス。
その結果、蔓延する肥満とその生活習慣病。
明日の僕らの世界像。

・食の未来
遺伝子組み換えビジネスの裏側。
普通では超えないと思われる種の壁を乗り越えて、
人に都合の良い作物を作り出す。
キングコーンで見た生産様式のなれの果て。
これの副読本として、
インドネシアの遺伝子組み換えに肯定的な
論文を数本追加。
安全性などへの答えよりも、僕らが進む世界の
生産様式はどうなのかを検証。

・バイオディーゼル
ヤシ油やトウモロコシで生産されるバイオディーゼルを
批判的に検証したビデオ。
環境にやさしいなどと隠れ蓑をかぶりつつ、
工業的な生産により破壊されている森林や労働状態を考察。

・パームオイル
文化的に食用でないオイルヤシを大規模プランテーションで
栽培続けるインドネシアとマレーシア。
オイルヤシのプランテーションを取り巻く環境問題と労働問題を考察。
モノカルチャー的生産の効率化が独り歩きしだすと
何が起こるかを
キングコーン、バイオディーゼル、パームオイル、食の未来を
通じて学んだ。

・Salud(サルー)!ハバナ ~キューバ都市農業リポート
アメリカの経済制裁とソビエト連邦を含む社会主義の崩壊により、
工業的農業から180度舵を切り、
有機農業による自給型農業になったキューバのレポート。
原油危機に対する答えや
加速する工業的生産に対する未来の答えは、これなんだろうか?

・おいしいコーヒーの真実
長くのびきったバリューチェーンの中で、
喘ぐ農家を映し出した傑作。
330円のコーヒーの農家手取りが3円。
それは、従属的な問題ではなく、
生産物そのものにはそれだけの価値しかないという事。
付加価値を生み出したくても、
市場から遠く離れてしまっていては、その刺激も受けられない。
そのマージナルに置かれた状況が悲劇である。

さて、これらのテキストやDVDを通して、
彼ら自身がそれぞれにどんな取り組みを
自分の目指す農業の中で実際の行動としてやっていけるかが
テストの課題。

クスワント君は、チョコレート栽培を目指している。
世界で第3位の生産高を誇るインドネシアだが、
収穫後の選別加工が不良で、低価格で取引されている。
元普及員だった彼は、収穫後の選別と加工を農民に徹底させることで
高単価を狙う、とプレゼンしてくれたが、
その刺激は、農民はどこから受けるのだろうか?
加工をしようがしまいが、買い取り商人の価格に変化はない現状で、
世界市場での価格が低価格なのだ。
バリューチェーンの中で埋もれてしまっている価値を
どう農家にわかるようにするのだろうか。
その点には全く言及されていなかったので、及第点には及ばず。

もうすぐ帰国のイルファン君。
彼はお茶栽培の産地から来ている。
大規模プランテーションだが、一部小規模の工場で
お茶生産もしている。
その小規模で生産されるお茶は、大抵の場合が大規模工場に
販売されるのだが、
それを地元向けに(バンドンが市場)生産しては?というのが
彼の意見。
有機のお茶生産をし、身近な市場を狙うというもの。
まぁ、まずまずでしょう。

3人目はタタン君。
彼は果樹栽培を目指している。
海外からの輸入に押されて、ローカル果樹の市場は厳しい。
そこで、ローカル果樹を専門で扱う店を構え、
有機肥料と果実の品質にこだわった商品を取り扱うことで、
地元中心に、輸入の方が優れているという意識を
変えていきたいと話してくれた。
結構、面白いだろうが、その意識を変えるのが
なかなかに難しかったりもする。
加工まで見据えてみたら、あるいは・・と思える話。

なかなか難しい課題だったようだが、
それぞれがそれぞれに考えることが大事。
正解は無いが、グローバルに考え続けて行動する大切さが
解ってもらえれば、やった甲斐があるというものだが、
さて、どうだろうか。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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