勉強会の記録、すっかり忘れていた・・・。
昨年12月21日の酒井君の発表を記録しよう。

彼の選んだ本はこれ。
日本経済社新聞 編『ニッポンの「農力」』:強い現場が育む豊かさと未来

日本経済新聞のコラムか何かを編集したものなんだろう。
数ページごとに読みきりになっていて、
似通ったトピックの記事を編集したもの。
農業のアジェンダを知るにはお手軽かもしれないが、
この手の編集物は、
それを示すだけで、その先の道はあまり詳しくない。

その予想通り、多岐にわたるアジェンダと
結論の無い細切れの記事の海で、
酒井君もプレゼンに四苦八苦していた。

こういう本は、自分の興味のありそうなアジェンダ探しには、
一役買ってくれる。
そして、その議論のキーワードで検索をかけ、
次の、その議論がまとまった本にたどり着くための、
コンパス程度に考えた方が良いんだろう。

プレゼンの中で、僕が強い現場とは何か、
強い農業とは何か、との質問を投げかけると、
彼は「日本というブランド」だと答えてくれた。
たぶん、フリートレードが進む中、多くの海外からの農産物との
競争にさらされるであろう未来を危惧しての答えだろう。
だが、
この本がどういう趣旨なのかはわからないが、
その答えに僕はあまり満足できなかった。

グローバリゼーションは、今、とても中途半端に進んでいる。
しかもとてもゆがんだ形で。
これからTPPや人口問題、環境問題、食糧問題と農業の工業化、
そしてまっとうな食とは何かを
このグローバリゼーションの中で考えていかなければならない。
農業の問題も然り。
その時、僕らが拠って立つのはリージョン的な「日本」なんかじゃない、と
僕は思う。
ましてや、国家としての「日本」でもないだろう(これは最も危ない)。

不均等にゆがんで進むグローバリゼーションの中で、
いまいち見えにくいかもしれないが、
その大波のプロセスの中では、
個人と国家・組織・市場・そしてあらゆるサービスは、
その間の遮蔽物を取っ払いながら、
進んでいるようにも僕には見える。
個人が個人として立たされる。
それがこの大波の変化ではないか。
だから、内山節は「自由論」の中で、
個人が個人として国家に向き合うことの悲惨さと不安を
自由ではないと記述しているのだと僕には思える。
そしてその不完全な意識を
山岸俊男は、「安心社会から信頼社会へ」の中で、
日本人たちが持つ社会に対する「trust」を
個々人の判断からくる信頼ではなく、
社会全体が醸し出す「安全」とし、
その曖昧さを指摘した。

その一方で、「シェア」の著作にみられるように
(この本は林君がプレゼン。でも参加できず残念)、
あるつながりを個々人が持つことで、僕らの社会には
あらゆる可能性が残されていることを知ることができた。
だから、Facebookのようにネットだが匿名性の弱いものに、
人々は魅かれ始めている。
(そして僕もこれにはまっている)
そして、それはスーパーの売り場でも、
そのプロセスの一端が良く見える。
僕らは、産地を選んで買うよりも、
個人の名前で買うようになっていないだろうか?

あふれるほど多くの情報を
どう処理し、その中で必要なものを手に入れ、
それらの取り扱い(管理)が、
今後の課題なのだろうが、
グローバリゼーションは、もはや国家や民族の意味を
取り払おうとしている。
だから、
メイドインジャパンやメイドバイジャパニーズなんて、
今後僕らがぶら下がるものじゃない、と僕は感じている。

国境や民族、文化の境界があいまいになるわけじゃない。
もちろん、それらは取り込み・取り込まれながらの変容を繰り返し、
以前とは別物となりながら、進んでいくのだろうが、
全てが均一化はしない。
大きくなりすぎている「国家」や「民族」の意識を下げ、
僕らが個人的なつながりをもっと意識する時代が、
いま来ようとしているんだと僕は思う。
(その意識の中で、主観的に国家や民族などの意識を
再構築化していく必要もあるんだろう、がそれはまた別の議論)。

だから、「日本というブランド」なんて、
周回遅れのような議論をしていちゃいけない。
酒井くんというブランディングを期待したい。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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