勉強会の記録。
すでに周回遅れ。
2週前の記録をしておこう。

この回の発表者は小西くん。
うちの集落の若手のホープ。
彼が選んだ本はこれ。
尾崎零 著 『自立農力』 家の光協会

著者は、脱サラ後(卒サラと著者は言う)、
有機農業一筋でやってこられた方。
本の内容は、小西くんに言わせれば、
「著者は政治や運動に関心があって、そのことばかり書かれていてあまり面白くない」
とのこと。
有機農業がまだ産声をあげたかあげなかったかの頃から
有機農業を実践してきた著者は、
運動と政治は不可欠だったのだろう。
飼いなされてしまった今の「有機農業」じゃなく、
現状への強烈な批判として、
また実際のオルタナティブな社会の実現として
有機農業が存在した時代に、実践者としてやってきた著者の声が
現代の若者から「面白くない」と言われてしまうのは、
時代の違いだと切り捨ててしまうには、
なにか割り切れない感じがする。

著者は35aの小さな畑で80品目を栽培している。
少量多品目で直接食べてくれる側に届けている。
小規模でも、収穫できるものすべてを
お客さんに届けることが出来れば、
大量生産しなくても十分やっていける、
と小西くんのプレゼンを通して、
著者の考え方を理解できた。

この本を通して、
「僕の家では10品目しか生産していないので、自分で食べる野菜をすべて自分で作るくらいの気持ちでいろんな野菜をつくっていきたい」
と小西くんは自分の考えを語ってくれた。

ああ、僕もそう思っていた時があった。
たぶん、このブログをさかのぼって読めば、
そういう僕がそこここに散見できるはずだ。
では、今の僕はどうか?

小西くんはさらに、
「この著者は、有機に思入れを持って一筋でずーっとやってきたけど、自分はそういう頭のてっぺんに来るような思い入れがあやふやなんです」と言い、
僕らメンバーにそういう思い入れがあれば、
教えてほしいと言ってきた。

いわゆる農業を通して体現しようとしている
それぞれの「初心」というわけか。
それを答えていくのはなんとも気恥ずかしくもあるが、
そこは勉強会という場なので、
一人ずつ答えることになった。
忘備録として、簡単に記録しておこう。

まずは外資系企業を辞め、福井で新規就農をしようという林君。
「お客さんと共に感動したい」。
そういう想いがあって、農業を志したとか。
なるほどね。
直接的な共感を築こうというのは、わかるなぁ。

協力隊帰りの酒井君。
来年から施設を建てて、農業を始動させる準備中。
「自信をもって、自分の作った野菜を提供したい」。
自分がこうだと思って栽培した野菜が評価されるというのは
とにかくうれしいもんだよね。

インドネシアの研修生のイルファン(3年生)。
「田谷さんのような大規模化」。
うーん、イルファン、僕の規模じゃ、大規模とは言わないよ。
それに規模拡大路線は、僕が目指すところでもないんだよ、実は。
しょうがなく、この規模になってしまっているんだけどね。
目標とされるのは、うれしいけどね。

三国から来ているクラトモ君。
「自然農法を通じてお客さんと共感を生む」。
こだわりが食べてくれる側に通じる。
その中で、僕らの営農や生活のスタイルが維持できる。
それが出来れば、僕らは幸せだね。

JAから研修で来ている小林君。
「農家の支えになりたい」。
JA職員として、そういう意識をしっかり持った人は、
今、どれくらいいるんだろうか。
いつまでも持ち続けてほしい。

うちの農園の期待のスタッフ大西君。
「チームで農業がしたい」。
組織の強みで、農業を良くしていきたいらしい。
一人よりも二人、二人よりも三人。
チームプレイが力を発揮できれば、
僕らはより素晴らしい農業が出来るに違いない。
期待しているよ。

カルナの店長・ヤマト。
「料理を提供できる農家になりたい 」。
そういう想いがあって、帰農してきたらしい。
その想いはすでに達成できているんだとは思うけど、
さらなる発展を目指している様子。

この話の発端だった小西くん。
「自分にしかできない事としての農業」。
それまで働いていたところでは、自分の変わりはいくらでもいた、という。
自分でなければならない、という想いで農業。
オンリーワンってことか。
最近、そういう傾向があることはわかる。

最後に僕。
「アジア農民間の連帯」。
どっかの軍政のプロパガンダみたいだが、
僕が大学の頃、こういうことを主張していた人たちが
僕の周りには多くいた。
グローバリゼーションの波の中で、
僕ら農民はどう連帯していけるのか、
そんなことをぼんやりと考えながら、
ここに至る。
でもこれって、経営理念にもなりにくいし、
思想的にもこなれていなさすぎる。

まぁ、なんでもそうだが、
目標が明確にある人は少ないだろう。
毎日に追われながら、
自分が志向する物事をチョイスるしていく中で、
振り返ってみれば、
なんとなく自分の辿った道が続いている。
それを目標だと後付で言っているだけで、
もし、「揺らぎ無い信念だけで、やってきました!」という人が居れば、
逆に僕は危うさを感じてしまうな。

こんなことを
素直に話し合えるのも、
この勉強会の良さなんだろう。
こういう場は、やはり必要だと思う。

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仕事の「外部」

(初コメント)
いつも楽しみに読ませていただいています。

田谷さんの発言だけが
●自分の仕事>自分(+同僚)+顧客
という枠の外にまではみ出ている。
・経営理念には、なりにくいですね。
・思想として練っていかれるには「連帯」という言葉の内実を
 詰めていかないといけない。いまはその内実を、言葉でなく
 実践で詰めておられるところかなと存じました。

感想まで。

Re: 仕事の「外部」

くらげさん、こんにちは。

コメントありがとうございます。
まさに、経営理念にならないような目標というか想いを抱えて走っています。
それが自分の経営にいろんな影響と変化を与えてくれます。
良い事もあるのですが、良くないことも正直あります。

インドネシアの農民と
係わり続けることで、この変に偏ったグローバルな世界で
農業を生業とする者として、
どう発信していけるのか、
それが課題でもあります。

連帯はその活動の先に、
見えてくれれば良いのですが。

これからもブログにお付き合いくださいませ。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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