来年、研修プログラムの3年生になるタタン君。
この後期の座学から、3年生に行う
卒業研究の準備に取り掛かるのだが、
まずは何をやりたいかをプレゼンテーションしてもらった。

彼が挙げてきたのは2点。
1点目は、サツマイモのマルチ栽培について。
インドネシアでは通常、サツマイモ栽培にマルチ材(被覆材)を
使用することはほとんどない。
畝を立て、そこに直接サツマイモを定植する。
日本の場合、多くがマルチ栽培。
その違いを見たいという。

もう1点は、サツマイモの植え方。
サツマイモの植え方はいろいろあり、
船底植えや斜め植え、水平植えや垂直植えなどなど。
芋の量や大きさが植え方で多少違う。
大きな産地ではどうしているのかは分からないが、
僕は目下斜め植え。
タタンの地域では、船底植えとのことで、
その違いを実験したい、とのことだった。

これらの実験を行うのに、何の問題もないのだが、
この背景が良くわからない。
彼はこのプレゼンでレジュメも作らなかったし、
そもそもなぜこの実験なのかの
背景と目的も説明できなかった。

彼はただ、
「違いを見るのが目的です」とだけ答えてくれたのだが、
それじゃ、答えになっていない。
3年生の卒業研究は、
これまで月間レポートでも書いてきた
帰国後の夢にリンクさせてほしいと
何度も言ってきた。
帰国後の取り組みに続くような研究を
ここにいるうちに始めるのが目的で
卒業研究とその論文、そしてそれを発表する場を
こちらは用意している。

タタンが示した卒業研究の案は、
これまでの月間レポートに書かれていないモノばかりで
その背景も、
「僕の地域ではサツマイモがある程度作られています」
だけでは、
「やりやすい研究を探してきた」と思われても仕方がない。

サツマイモでの起業も考えているのならば、
詳細は無くても良いが、
彼が帰国後に目指す道筋を
ある程度示してほしい。
研究しなきゃいけないから、やりやすい研究を探してきた、
であってはならない。

タタンにマルチをするしないの違いについて聞いた。
彼は、
「たぶん、草が生えてこないようにするためと、保水ですよね」
とその役割もしっかりと知っていた。
芋の植え方の違いについても聞くと、
「芋の量や大きさが変わると思います」と
こちらも正解。
そしてその植え方を選択するのは、
農学的な技術的な違いというよりも、
その地域の市場がどういう芋を求めているかにもよるのだ。

彼らは農業高校を優秀な成績で卒業しており、
卒業後も農業に関係する仕事についていたり、
農学系の大学に通っていたりしているのだ。
そんな基礎的な違いを今さら知りたいということ自体、
おかしいではないか。

聞いてみると、何を研究していいのかわからない、という。
だから出来そうなことを自分なりに探してきたのだろう。
失敗すると大変だから、
正解が解っていることをやろうとしているのだ。
失敗はしてもかまわない。

でも自分がこれから進もうという道にそって
次の1年を大切に過ごしてほしい。
卒業研究は、そのために準備してあるのだから。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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