若手有志の勉強会。
今回は、うちの農園のエース(になってほしいと期待する)
大西くん。

選んだ本は、これ。
岩田 進午 著 「健康な土」「病んだ土」 新日本出版社

実はこれ、僕も読んでいてブログに書評も書いている本。
なかなかの名著で、この著者が
どんどん著作を出していくタイプの人だと、
土壌学への関心も高まるんじゃないか、
と思わせるほどの文章家でもある。

本書では、土というものを中心に
それがどの状態であれば健康なのか、
そして病んでいる状態とはどういうことなのかを
丁寧に解説している。
詳しくは、自分の書評に譲るとして、
勉強会で、大西君は堆肥の投入が一つのカギだと
話してくれた。
その上で多投入しなければならない堆肥が
健康な土を生んだとしても、経営的なコストがかかりすぎて、
元気のない有機栽培農家ばかりになるのではないかと、
指摘してくれた。

コスト削減という意味で、
堆肥の多投入をどう議論するかは、
なかなか難しい。
土壌分析を行い、必須元素にの過不足に沿って、
堆肥の投入をコントロールしたとしても、
実は、土壌の環境緩衝能力は非常に大きく、
不足分や過剰分をなかなかコントロールさせてもらえないのが
現実であろう。
そこで化成肥料との使い分けを行うのが
もっとも妥当な考え方なのかもしれない。

しかし、この著者に寄り添って考えてみれば、
土を器と考えない、ということが大前提にあり、
作物の生育中心ではなく、土の肥沃と多様性を主眼と置けば
そもそもそのコントロールすること自体、
浅はかと言えるのかもしれない。
土はそんなものじゃない。
と、この著者は言っているような気もする。

多投入自体もあまり推奨しないだろう。
岩田氏が本書の最後に薦めているのは、
不耕起栽培。
土壌流亡を防ぎ、物理的&生物的に
土壌の肥沃UPにつながる栽培法。
そして本当はこの先がとても重要で、
この不耕起栽培を確実に実現できる方法の一つが、
遺伝子組み換え技術なのである。
土と環境を真っ向から考えてみると、
僕らは、この議論を避けては通れない。
有機農業と地球規模での土壌保全を考えた時、
一つの方法論として浮上してくる、
遺伝子組み換え技術。
真っ先に感情的アレルギーが起こりそうなこの技術ではあるが、
土壌と生物多様性を学べば学ぶほど、
この正当性が、目の前をちらつく。

ちなみに、僕が書いた書評は今から3年も前。
置かれた立場に変化があると、
自分の書いたものでも、なかなか納得いかない個所も多くなる。
この本は、間違いなく
人間中心主義ではなく、ディープエコロジーの立場の話だろう。
だが、僕らは農の「業」を行い、
日々の稼ぎを得て、雇人にもお給料を払っている。
その「業」がはたして、土の立場で考えられるのだろうか。
少々、そちらの都合も考慮したとしても、
僕らはやはり、そこに住む人々を優先してしまいそうになる。
それら両方をウルトラCで着地点としているのが、
実は、遺伝子組み換え技術なのかもしれない。
ちょっと、降りたくない着地点ではあるけど。

そういうこともあって
不耕起にはなかなか移行できないが、
堆肥を多投できる体制は整えている。
それにコストがかかるというのであれば、
それを評価されるような農業にすればよい。
土を保全する農業をしている農家の農産物を
高く評価される市場。
それを創り上げないと、
関心のなさから、知らないうちに周りには
遺伝子組み換えによる不耕起栽培が
主流になりそうで怖い。
いずれにせよ、食べる側の不勉強と無関心が
ゆがんだ生産体制を生み出していることは、
間違いない。
僕らからの提案もより強くしていかなきゃならん、と
強く思った勉強会だった。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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