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8月、お盆前後に僕が熱を出し、それが原因で出荷が不安定だったベビーリーフが、ようやく安定して出荷できるようになった。なんとも難しい作物だこと。いや、難しいのは作物そのものではあるまい。

この作物、2001年から僕と父とであれこれと試しながら導入してきた野菜の1つ。今ではうちの主力商品にまで成長している。水菜やターサイ、ルッコラなど単体で売られているような野菜を幼葉のうちに摘み取って、ミックスして出荷するものがこのベビーリーフ。見た目のかわいさと、なんだか栄養豊富にみえる(いろんな種類の野菜が入っているから)あたりがヒットの原因だろう。

とにかくよく売れる。他の農家がなんで真似しないのか不思議でならないが、僕の地元では、ほとんどうちの農園が独占販売している。だからといって値段を自由にはつけられないのだけど。

しかし正直なところ、僕はこの自らがマーケティングまでして育ててきた野菜が好きではない。味が、というわけではない。食べるのは好きだ。では何か。

その農的サイクルが、である。夏場は種を播いてから収穫できるまでに2週間ほどしかかからない。収穫後に圃場の整理などを含めると、1ヶ月に1回以上作付けできる計算になる。そしてこの作物は、市場的旬がない。年間通じて出荷できる。いや、させられる。業者からの要望で。

だから同じハウスで何度も何度も連作をしなければ、通年安定出荷なんて無理な農的サイクルを実現することは出来ない。あまりあるほどの施設を持っていれば、話は別だろうが。残念だが、うちの農園はそうじゃない。

で、通年安定出荷を目指すために、連作で弱る土をどう回復させさらなる連作を可能にするか、ということに頭を使わないといけない。僕の知りうる農学的技術と父や祖父のもつ経験的技術を駆使して、連作して弱った土でも安定して収穫する事を目指している。ソンナコトニアタマヲナヤマセタクナイノニ。

どうせなら、連作で弱った土を作り上げてしまう農的サイクルをどう正常な輪作にもどすか、ということに頭を悩ませたいのだけど・・・。

業者やレストラン関係者から、『やっぱ、タヤさんのところのベビーリーフじゃないと』と言ってもらえるのは、正直うれしいし、それにやりがいも感じるときもある。そういったものと、僕が目指したいこととの間に、なかなか接点を見出せない。そんな調子だから、通年安定出荷だったベビーリーフの出荷が不安定になってしまうのだろうけど。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

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