インドネシア研修生の座学、「農業の構造論」。
この座学では、農業を構成している様々な要素が
その農業の生産様式を大きく特徴づけており
ただ単に、「技術」を移転しただけでは、
その生産様式を変えることは困難、もしくは、
当初予想していたような成果が無いことを
理解してもらうための講座。

つまりは、日本の農業そのものを
インドネシアに移転できたとしても、
それがインドネシアの農業発展には
ほとんどつながらない、ということを理解するための座学。

今回は、3回に分けて「資金」について授業をした。
農業の資金がどこから出るのかによって、
その後の生産に大きく響いてくるというお話。
銀行や共同組合などからの融資の場合と
地主による融資、
そして買い取り商人による融資、
さらには隣人との頼母子講の資金、
などなど様々な場合があり、
それぞれの場合に、どのような生産行動をとるのか
みんなで考えてみた。

地主や買い取り商人からの融資の場合、
やはり、どうしても儲けも少ないし
生産に対するモティベーションも
それほど上がってこない。

地主などの他人との収穫物の分配システム(Bagi hasil)も
多くの場合に、リスク回避と評価されているが
最近は、僕は、これはとてもあこぎなシステムだと
個人的に考えるようになってきている。
が、詳しいことは、また次の機会に。

さて、授業の3回目に
研修生それぞれが描いている事業に
かかる費用を計算してもらい、
それらを買い取り商人から融資を受けた場合と
銀行から融資を受けた場合の
2通りを計算してもらい
それらを比較し合った。

イルファン君は地元の標高を活かしたジャガイモ栽培。
タタン君はレストランまで夢見るヤシの実栽培
そしてクスワント君は年3回のトウガラシ・リレー栽培。
いずれもユニークで面白いプレゼンだった。
そしていずれの場合も、10aの土地を購入すると仮定してもらった。

この比較でより明確になったことは
買い取り商人から融資を受ける場合、
買い取り価格が市場価格よりも安くなってしまう、ことである。

土地購入の借金をその作物の売り上げで返していこうとした場合
買い取り商人から融資を受けると
銀行の金利が2%であっても
その倍の期間かかってしまうこともわかった。

もし、これが
地主との収穫物分配のシステムだった場合
さらに状況は悲惨になり、
耕作者の手取りはほとんどない。
実際に汗水たらした耕作者にほとんど収入がないのだ。

研修生の多くが自分の農地をほとんど持たない。
そして農地取得にかかる費用は、なかなか高額だし
僕ら日本の農民が利用できるような長期融資なども見当たらない。
(もしあるのであれば、情報ください)。
ジャワ特有の財産分与のしきたりもあり、
なかなか農業をビジネスとして成功させることも
難しい。
さらに、買い取り商人も、親戚や村の有力者だったりして
そこを外して村内でやっていけるのかどうか、
などの社会関係上の問題もあるので
一概に、お金の問題でもないと言えよう。

ただ、それでも、農業を産業として
食べていこうというのであれば、
日本だろうがインドネシアだろうが
生産の「場」を持たないことには
話が始まらない。

土地購入代として、研修生たちの試算は
5000万ルピア~6000万ルピア。
これをインドネシアの給与だけで貯めようというと
なかなか時間がかかる金額。
この試算で、農業資金の重要性に
研修生たちが少しでも気が付いてくれるといいのだが。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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