土日をかけて、米を収穫した。
台風が近づいていたこともあり、仕事も焦りながらだった。当然、父とのやりとりも大声から怒声に変わっていた。まぁ、そんなことは日常茶飯事だが。

木曜日と金曜日は晴れていたが、この日は米が刈れなかった。コンバインが無かったからだ。うちのような米をほとんど作らない農家では、コンバインを1台持つことは経営面でもずいぶんと負担になる。だから、近所の農家とグループを組んで、田植え機やコンバインを購入している。木曜日と金曜日は、グループの農家が米の収穫のためにコンバインを使っていたので、うちはそれをただただ待つだけだったのだ。

金曜日の午後からコンバインは空いたのだが、田んぼ1枚も刈り終わらないくらいに、故障してしまった。それを直していたら、夜になってしまったので金曜日はそれでおしまいだった。来週には台風がくるかも、そんなことばかりが頭をよぎっていて、焦りながらの仕事なので、当然はかどりはしない。

土曜日は朝から雨だった。だが、強行軍。台風が来て稲穂が倒れてしまうと、ものすごく刈り難いのだ。米は刈った後に乾燥する必要があり、普通だったら、雨の日に刈った米は水分が多くて乾燥の作業がものすごく手間になるので、米を刈りはしない。だが、うちは乾燥機も自前でもっていない。近くの農協のライスセンターに持っていって、そこで乾燥してもらうのだ。ライスセンターでは少々手間だろうし、品質がおちるだろうが、そんなのかまっていられない。ソレニドウセボクガタベルワケデモナイシ。

そんな調子でがんがん刈っていたのだが、午後からとうとう雨は本降り。さすがに土砂降りの中では、米はかれない。のこり1枚の田んぼを残して、その日は終了した。

日曜日は、僕は他の仕事をしていたのだが、父と母とで田んぼ刈ってしまっていた。この最後の田んぼだけはライスセンターには持っていかない。なぜならそれは自家用米だからである。ライスセンターで乾燥を頼むと、そこからもらえる米はどこの米ともわからないものがかえってくる。どこの米ともわからない、は少々大げさだが、近隣の農家でライスセンターに出荷した米が全部混ざった状態でしかもらえないのだ。だから、ライスセンターの米は、正直まずい。そりゃそうだ。雨の中でもがんがん刈る僕のようなやつが米を持ってくるからだ。

米を作っている農家がまずい米ばかりを食べている構図がここにはある。自前の乾燥機がなければ、そういうことになる。だが、米を主流にしていない農家には、乾燥作業は手間だし、そもそも乾燥機の維持費がだせない。戦後の農業政策の中で、農業の専門性を高めた結果なのだが、なんとも寂しい話だ。

そこでうちでは、1枚の田んぼだけは化学肥料を使用せず、農薬散布もほとんどしないで米を作り、その米はライスセンターにださずに、知り合いの農家で乾燥してもらっている。こうするようになってから、美味い米を食べられるようになった。ライスセンターがうちの地域に出来て、食糧管理法で米の売買が自由でなかった時代(94年までだったか?)、うちはずーっとまずい米を食べていた。ずーっと米を作っていたのに。農業は近代化し、収入も格段に多くなったのに、食べる米はまずくなっていたのだ。

うちは知り合いや近くの農家とうまい具合にグループを作ったり乾燥を頼んだりできるので、なんとか今はうまい米にありつけている。が、これを全部自前でやろうと思うと、おそろしく金がかかってしまう。農家で田んぼを持っていても、そう簡単には美味しい米にありつけない世の中なのだ。
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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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