農業に関心のある人たちで行っている勉強会。
これまでは日曜日に行ってきたのだが、
これからは水曜日にすることにした。
時間はお昼の12.45から13.30の45分間。
参加者全員が順番で読んできた本や出版物のプレゼンを
簡単に行い、議論する形式。
誰か先生がいるわけでもなく、みんなで学ぼう、という趣旨。
ぜひ参加したいという方は、ぜひぜひご連絡ください。

さて、今日。
新たに2名の有志を迎えた。
1人は、オオニシ君。
県大の生物資源学部卒業で、
現在は別の分野の仕事をしているが
農業の分野にも関心があり、参加を希望してくれた。
とても忙しいだろうに、参加してくれて感謝。

もう1人は、三国のジェラート屋カルナの店長であるヤマト。
実は、彼が参加したいというから、
日曜日の勉強会を水曜日にずらしたのである。
彼もまた、すこぶる忙しいにも関わらず、
勉強会に参加してくれて感謝。

さて、今回のプレゼンの順番は僕。
読んだのはこの本。

中西順子 著 『食のリスク学』:氾濫する「安全・安心」をよみとく視点

勉強会で取り上げるのは、はじめてだけど、
僕自身、中西さんの本は、これで3冊目だろうか。
環境リスク学が専門で、そちらの方で2冊ばかり読んだ記憶がある。
理路整然としている方で、論理がぶれず、解りやすい。

さて、本の中身だが、
彼女の視点は、徹底して安全を統計学的に分析することで
その安全性を提示し、そのうえで安心を得ようというもの。
またリスクの重篤度を考慮して、頻発するけど軽いリスクと
ほとんど起こらないが、起こると大変なことになるリスクとを
考慮する計算式を提示してくれている。
その中で、あるリスクを軽減すれば、
別のリスクが発生することも、事例を用いて解説している。
リスクは、ゼロリスクにはならず、
どんなリスクも軽減に迎えるが、その場合の重篤度と
そのリスクを軽減した場合に起こりうる別のリスクとの比較を
解りやすく解説してくれている。

では、なぜ僕らは食に関してはゼロリスクを意識的に、
または無意識に、受け入れてしまっているのだろうか。
彼女によるとそれは、1日の許容摂取量(ADI)の計算の
考え方によるのではないかという。
発がん性物質のリスク計算では、閾値なしで計算されるため
どんな小さなリスクもリスクとして数字で出てくるのだが、
化学物質等の1日の許容摂取量(ADI:以下ADI)は
閾値ありで計算するため、ある設定された許容摂取量を
下回れば、それでリスクなしの計算になってしまうのである。
ADIは、その日に摂取した量を、許容摂取量で割り、
その数字が1以下であれば(ハザード比が1以下)、問題が無いことになる。
つまり、あたかもリスクがゼロのような印象を受けてしまう。

許容範囲内以下を細かく計算することにどれだけの意味があるのか、
とコストベネフィットの観点から言えば、
それもまた食のリスク学の俎上(まな板の上)に乗るのだろうけど、
そういう細かな議論ではなく、
その数値から受ける側の認識として
あたかもゼロリスクになるような数字と計算法に
やはり僕も疑問を感じる。
リスクは、その何かをする限りゼロにはならない。

プレゼン後
こうした食のリスクをどう食べる側と共有できるのか、
議論はその辺は一番盛り上がった。

僕は、売り場で直接会話を成り立たせなくても
現代のツールを駆使して、食べてくれる側と直接的で有機的な
関係を作っていければ、こうしたリスクの問題も
共有できるのではないか、と考えている。

ただ、直接やり取りをすればするほど
美味しかったという感想よりも
クレームが多くなる気がして、実はその辺で気乗りはしていない。
しかし、ヤマトがいうには、
彼のお客さんからの声のほとんどが、
美味しかったという感謝の感想であり、クレームはほとんどないらしい。
ジェラートというぜいたく品だからこそ
ある種の感動が生まれるのだろうか。

いや、だとしたら、
僕が栽培する野菜も、それなりに感動してもらえると思う。
ただ単に野菜だけをやり取りすれば
感動を生む仕掛けにはならないが(買い手によほどの見る目が無い限り)
その野菜の風景全体をお届けできれば
それがたとえスーパーの陳列棚にあっても
買い手に感動をお届けできるのではないだろうか。
そして、そんな風にできた建設的な関係の中で、
共有される些細なリスク。
僕らは、とても小さなリスクに心と頭を痛めず、
気持ちを豊かな暮らしへと解放できる。
そんなことを夢想した勉強会だった。

ヤマトは、お客さんにうけるのは
手書き(筆ペン&下手な字)の手紙だ!
と力説していたのは余談。

メンバーが増えたおかげで、
とても有意義な議論ができてよかった。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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