新学期が始まり、昼休みのほとんどが
授業にとられるようになってきた。
ちょっと疲れがたまってきたかなぁ。

さて、今回は月間レポートのディスカッション。
研修生は1年生から3年生まで、毎月、
月間レポートを書いてもらっている。(詳しくはこちら)
それについて、いろいろと議論をするのだが、
今回は、2年生のタタン君を取り上げてみよう。

彼のレポートは理路整然。
箇条書きで、文章が簡素かつ難しい単語を使わず、
要点のみを書き、
プレゼンでもあまり余計なことを言わず、
話もまとまっている。
彼のレポートとプレゼン態度は、僕の好み。
そんな彼だが、今日のレポートでは精彩を欠いていた。

月間レポートでは、
帰国後の営農について具体的に書いてもらっている。
インドネシアの子に限らず、どこでも同じかもしれないが、
少し先の将来についてのビジョンについて書け、というと
大抵が、とても曖昧な書き方をする。
僕はそれが嫌いだし、あまり意味のない作業だと思っている。
インドネシアの研修生で、これまで多かったのが
『農園たやで学んだことをもとに、地元のポテンシャルを活かして、地域の農業発展に貢献したい』
というもの。
非の打ちどころがないように見えるが
その実、中身のない文章。
具体的に考えていない証拠。
4月に来たクスワント君は、さっそく上記のように書いてきて
僕から指導を受けた。
だが、2年生のタタン君は違っていた。
1年生の時に、散々、指摘され続けてきたので、
さすがにタタン君の将来のビジョンは
具体的だった。

彼は、いろいろと考えた結果、
バニラの栽培を目指そうと最近は考えているようだ。
『帰国後は、バニラの栽培に力を入れたいです』
と力強く話してくれる。
うむ、具体的でよろしい。
だが、すこし疑問もある。
ここでの研修では、バニラ栽培の方法は教えられないのだ。
そもそも、僕もバニラ栽培をしたことはない。
それを問うと、
『バニラ栽培は、帰国後に勉強します』と
またまた力強く話してくれた。
うん、そうだね、と言いそうになるのをぐっと我慢して、
それじゃ、ここで勉強する意味は?と問うと、
彼も困ってしまった。

当然、栽培学的な基礎や有機農業や持続可能な農業のコアな部分を
共有する意味で、ここでの研修が無意味だとは
僕も彼も思っていない。
でも、月間レポートの将来のビジョンと
ここでの学習の意味を見いだせなければ、
自己学習の目標を見失いかねない。
(研修生各自が、将来のビジョンを実現させるために、その月々に自己学習の目標を設定して、自分でも学習してもらっている。毎月、その成果も月間レポートで発表してもらっているのは余談)。

だから彼の今月の自己学習のターゲットは
『バニラの栽培法をインターネットで調べる。』のみだった。
それも大事なのだが、もう少し何かあるだろう。

僕は彼に聞いた。
バニラは、誰に売るの?と。
すると彼は、『中国人の商人に』と答えてくれた。
華僑の集荷商人がいるらしく、
その人ならば、なんでも買ってくれるのだとか。
じゃあ、そのバニラは、
どこでどうやって使われるのか知っている?と問うと
『あまり知らない』とのこと。
バニラという植物がどういうものかを彼は知っているが、
どのような現場でどのように使用しているかは
彼はよく知らなかった。

日本では良質のバニラはとても高価だ。
ほとんどがバニラエッセンスを使用し、
本物のバニラは使いたくても使えない場合が多い。
どんなふうに食べたり、料理に利用しているかを
知らずに、それを生産するのは、
僕らの業界じゃ、当たり前の話なのかもしれないが、
少なくとも僕の場合、
それはとてもナンセンス。

『食べる』ことまで包括的に考えて
そこまでを視野に入れながら、生産と販売を行ってこそ
僕は本当の『考える農民』と言えるんじゃないかと
思っている。
少なくとも、僕の研修を受けた子は、当然のように
そう考えてほしい、と願っている。

さて、そんな話をしていたら、
『調理現場やお菓子にどう使われているかを調べてみます』
とタタン君。
なので、さっそく知り合いのジェラート屋さんに
連絡を取り、見学を頼むと、
快くOKしてくれた。持つべきものは、やはり朋だ。
タタン君、バニラについて、
パティシエの意見を存分に聞いて来ようじゃないか。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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