ここにアップするのが遅くなったが、
先週まで、農業とグローバリゼーションの授業をしていた。
遺伝子組換え作物や従属関係の世界市場の構造、
人類共有財産である種のパテント問題、
バイオディーゼル、そして、
ちょっと前までホットだったTPPの話などを
授業で議論していた。

遺伝子組み換えの話は、
研修生たちは、世界人口を維持するために必要と主張し
バイオディーゼルは、新しいエネルギーとして
歓迎ムードだった。

この授業では、世界人口の維持や新しい代替えエネルギーといった
一見だれも反対できないようなイデオロギーを
隠れ蓑に、世界規模で広がってくる事例を
一つ一つ隠れ蓑を引っぺがしながら、
考察しようというものである。

遺伝子組み換えの安全性の議論もさることながら、
それ以上にここでは、
はたして本当に世界の飢餓がなくなるのか?
という議論に集中した。

世界中の食糧援助が年間1000万トンであるのに対し、
日本で廃棄される食糧が年間2000万トンという事実。
結局は、お金のある連中が食糧を買いあさる構図。
他国のプランテーションで
飢餓が起きているにもかかわらず、
食糧生産よりも換金作物に力を入れる農業と産業の構図。
そして、非効率とわかりながらも
補助金を出しながら、だぶついたトウモロコシ市場を
なんとかするために、バイオディーゼルといった
新しい市場を場当たり的に作り出していく構図。
(トウモロコシの場合、石油1ℓに対して生成されるバイオディーゼルは0.8ℓ)

そんな世界の仕組みの中で
技術や制度が問題を解決するように喧伝され
正当性をもって、僕らの前に恥ずかしげもなく登場する。

社会の文脈を読み解き、
その生産構造を理解し、
そのうえで、僕らの価値に越境してくる
新しい価値について、僕らなりに判断をしたい。

最終試験は、バイオディーゼルについて。
研修生はどうしてもバイオディーゼルについてポジティブにしか
考えようとしないので、これを試験にした。

自然破壊を伴い、安い労働力に支えられている
モノカルチャーなプランテーションによるバイオディーゼルを
批判し、それに代わるあなたなりの技術を
空想しなさい、というもの。

イルファン君は、パームヤシのプランテーションは
ずいぶんとヤシ油がだぶつき余っている資料を持ち出して
「有効利用すべきです」と主張していた。
が、僕に言わせれば、それはプランテーション経営側の
策略にはまっているとしか言えない。
余っているのなら、面積減らして、元の森に戻せば?
と思ってしまうのだ。

タタン君は、ニュンプランという効率よくバイオディーゼルを
生成できる植物の話をしてくれた。
「街路樹なんかをすべてこのニュンプランにしたらどうでしょうか」
なるほどね。

僕の意見はこう。
コミュニティー毎に少しずつの面積を出しあって
このコミュニティーで少しでもエネルギーをまかなえないだろうか、
というもの。
太陽光発電パネルの集中設置でもいいし、
ニュンプランのような作物をアグロフォレストリー的に
栽培して、土地にアクセスが難しい人たちの利用も良いかもしれない。
少しずつ土地を出し合って集積すれば
大企業による大規模開発のような
住民の移動も土地の搾取も自然破壊の度合いも
ずいぶんと減る気もする。

だがしかし、一方でそれが
へっぽこコミュニストみたいな
幼稚な夢想とは自分でもわかってはいる。

この授業はまた後期に行う予定。
議論に終わりもないし、答えもないが、
考え続けることに意味があると信じて
続けるとしよう。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
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