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研修第一期生のヘンドラが今日帰国した。
受け入れを始めて、3年。
はっきり言って、短かった。
教えようと思っていたことの、半分も教えられなかった。
ここ数か月は、少々焦りながらも
出来るだけ詰め込もうと頑張ったのだが、
それでもやりきった感はない。
彼はどう思っているのだろうか?

帰国する前に、彼としっかり向き合って聞き取りを行った。
フィールド調査の時のように。

そのやり取りの中から、
彼がここで感銘を受けたこと、
そしてこれからやろうと思う事が、少しずつ見えてきた。

彼は、聞き取りの開口一番、
「毎日出荷できる生産体制を作りたいです」と言った。
インドネシアの農民は、一つの栽培に集中してしまって
次の収穫までにずいぶんと間が空いてしまうのが欠点だ
と、ヘンドラは考えている。
それに比べて、僕の農園では、毎日収穫しつつも
毎日種まきをし、常に出荷できるようなサイクルを作っている。
ヘンドラはそれに感銘を受けたらしい。

「カンクン(空芯菜)やキュウリを植え付けして、サイクルをずらしながら毎日出荷できる体制を作りたいです。市場は近くの小さな市場で良いので、とにかく毎日出荷したいです」
と答えてくれた。
一時にたくさん収穫するよりも、
毎日毎日、少なくてもいいので出荷して収入を得る。
単純なことだが、なかなか難しいそのサイクルを
自分の生産に取り込みたいと意欲を示してくれた。

それと同時に、インドネシアらしい
一攫千金的な栽培も忘れてはいない。
彼は、トウガラシ栽培をやりたいとも言っていた。
トウガラシ栽培は、研修に来る前から父と一緒にやっており、
中間商人(買取人)との関係もあるらしい。
収穫は一時に集中するので、価格が高ければ大当たりだが
低ければ原価割れもありうる作物。
それでも大量に販売が可能で
グループを作るか、大規模で栽培すれば、
それなりにまとまった量が収穫できるので
ジャカルタやバンドゥンなどの
大きな市場でも勝負ができる。
小さくとも毎日収穫し収入を得る経営をしつつ、
一攫千金を目指した大規模な栽培も夢見ている。
実は、すでに一部土地を購入済みらしい。
初めは30aでやる、と言っていた。

そして、聞き取りの中で取り留めもない話が
だんだんとまとまり、最後に出てきたのが
有機肥料である。
彼は、有機肥料の有効性を研修3年生の課題として行った。
その経験を活かして、帰国後は有機肥料の生産もしたいと言っていた。
その有機肥料は当然自分でも使うが、
沢山作って販売もしたいと考えている。

ヘンドラの父が、彼の研修で貯めたお金を当てにして
食肉用の養鶏をやりたいと言い出しているらしい。
彼はまだ父の事業にお金を出すかどうか迷っているようだが、
父はやる気満々だとか。
研修で得たお金は出来る限り彼の事業に使ってもらいたいのだが
そんなところまでは、僕はなかなか踏み込んで指導できない。
外国人長期海外研修制度をただただ批判する輩が、
その指導を強制貯金だとか、お金の使い道を制限している、とか
いろんなところで騒ぎ立てているようで、
そのことも、資金の使い道を指導することに
二の足を踏ませている原因でもあるのは余談。

さて、ヘンドラ。
父の養鶏事業にお金を出すのであれば、
そこでとれる鶏糞を使って、有機肥料をたくさん作って
それを販売したいと考えているようだった。

インタビューでは、ヘンドラは上記のように
まとめて話してくれたわけじゃなかった。
やりたいことを聞いていくと、当然だが、話が飛び飛びになり
物語にはなっていない。
だが、インタビューのプロセスを丁寧に行ったところ
僕とヘンドラは下記のようなまとまった話として
彼のやりたいことが見えてきた。

①毎日出荷できる生産体制をつくる。
作目はカンクン(空芯菜)とキュウリ。
近くの市場向け。小規模でもいい。

②グループ化、もしくは大規模化も考えている。
作目はトウガラシ。
市場は、大都市狙い。

③有機肥料の販売
父の養鶏事業で出た鶏糞で
良質の有機肥料を作って販売する。
有機農業をする農家のグループ化も視野に入れている。

というのが、彼の計画。

僕は、教えきれなかったことを後悔する間は無いようだ。
これからの彼を、どう支援していくか、
それに向けて行動しなければ。
なぜなら、彼はもう走り出しているから。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

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