これも忘れないうちに記録しておこう。
インドネシアの研修生向けに行っている座学で
まだ1回もエントリーを書いていなかったものがある。
それは、
「生物多様性と総合的作物管理(ICM)論」。

この授業は、今年1月からなんとか開講し
4月で故郷に帰ってしまうヘンドラ君も
受講に間に合った。
準備不足で、研修生にはやきもきさせてしまったのだが
なんとか4月までに10回程度の授業を確保し
この知識をなんとか持ち帰ってもらいたい。

さて、総合的作物管理とはいったいなんだろうか。
簡単に言えば、農薬だけに頼らない防除法で
尚且つ、防除だけでなくクオリティの高い
農産物生産を目指す方法である。

これは僕の勝手な整理だが、
IPM(PはPest)と呼ばれていた一昔前は
総合防除と訳されていたように、
病害虫防除に中心をおいた考え方だった。
2003年に桐谷氏が出版した本では、
IBMという言葉を提唱しており、
これはBiologicalという言葉を使っていることから
総合的生物管理と訳され、
生態系の維持を目指した考え方であった。
ただ、農作物を生産している農家としては
副次的に自分たちの営みが
周りの自然を創り上げているのは解るが
それを積極的に行っているわけじゃない。
あくまでも、品質の高い農産物生産を行っているのだ。
その考えから、主眼を生物や防除ではなく
高品質の生産物に目をやり、
如何にして生産するかを考えているのが
ICM(CはCrops)ということになろう。

施肥や防除、土壌状態、品種選びが、その内容となるのだが、
インドネシアの現場では、やはり防除がその中心に来るだろう。
だからこの講座でも防除に中心を置きたい。

防除では、
化学的防除
生態的防除
行動的防除
(物理的防除)
耕種的防除
などに分けられる。
分け方は、それぞれ専門書によって若干の違いはある。
生態的防除と行動的防除と物理的防除の線引きは
やや曖昧な感はあるが、
農業の現場では
分類することに意味があるのではないので
この辺は、あまり突っ込まないでほしい。

化学的防除は、化学合成農薬を使用した慣行的防除法。
生態的防除は、天敵のすみかなどを積極的につくり
もしくは守り、害虫を防除する方法。
行動的防除は、害虫の行動を熟知し
その侵入を防いだり、トラップを設けて防除する方法。
耕種的防除は、品種を選び、耐病性のものや
害虫が好まない品種を選択したり、輪作や昆作を行う方法。

読んでわかると思うが、実はこれらは
これまで人間の長い歴史の中で、培われてきた方法ばかりなので
今更な感じもあるかもしれない。
ただもう少し体系的に整理をして
それらを積極的に活用することで
病害虫の抵抗性獲得を鈍らせたり
自然環境に対する配慮をしようというものである。

インドネシアの文脈では、
投入コストを抑えることで、
中間商人との従属的な関係を少しでも打破することも
その狙いとしては入ってくるだろう。

さて、どんな議論ができるのか、楽しみである。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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