来年、研修3年生になるイルファン君。
今、来年の課題研究(卒業研究)に向けて
プロポーサル作りに励んでもらっている。

1年先輩のヘンドラ君は、昨年、有機肥料の有効性を
実証実験し、福井農林高校の課題研究発表会で
日本語プレゼンもした。
さて、イルファン君は課題を何に設定するのだろうか。

今年に入ってから、実は、
すでに3度プロポーサルを提出してもらっている。
初めは、「パプリカの有機栽培」という話だったのだが、
妻から教えてもらった事実確認という手法を取り入れて
彼の事実確認を進めてみると
いろいろなことが見えてきた。

パプリカは、彼の地元で栽培が盛んというよりは、
彼が今後、この作物に期待するところが大きい。
バンドゥン近郊で、パプリカ栽培の熱があるらしく
2009年の12月に、スメダンを訪問した時に、
あちらの高校の先生や普及員が
口をそろえて「パプリカ」と言っていたのを思い出す。
さて、そのパプリカ。
有機栽培しても、市場で得られるインセンティブは
ほとんどない(らしい)。
有機農産物の取扱量が少ないこと、
それを購入したいと思っている消費者層が
まだ潜在的にしか存在しないこと、などが考えられる。
それにこれが一番大きな理由なのだが、
イルファン君の地域は、市場から非常に遠い。
そのため、運搬を兼ねた買い取り商人の存在が強く、
ほとんどの農産物は、買い取り商人に売らなければいけない構造が
資金の貸し借りからも明らかなのだ。
その買い取り商人が、有機農産物を
積極的に高値で買ってくれない限り、
彼にとって、有機農業自体、あまり魅力はない。
その辺りの事は、ヘンドラ君とは、同じ西ジャワ地域でも
大きく事情が異なるのである。

イルファン君から事実確認という方法で話を聞いていくと
どうやらパプリカの品質向上がポイントらしい。
それもダニの防除。
彼の地元では、トウガラシの栽培が盛んで
そのトウガラシにつくダニの防除に苦慮しているのだとか。
そして同じ科であるパプリカも
そのダニの影響を受け、品質の良いものがとれにくいのだという。
彼の話によると
普及員の指導などで、いろんな農薬を使いすぎて
抵抗性が出ているのか、農薬があまり効かなくなっている
のだそうだ。

事実確認というのは、あくまでも「相手が認識している事実」
であるので、科学的に普遍的に正しい情報かどうかは
全く意味をなさない。
本当にダニに抵抗性がついているかどうかは
この場合、あまり重要でもない。
もしかすると、品質を貶めているのがダニではなく
他の害虫、もしくは病気かもしれないのだが
それもこの場合、意味はない。
ので、あしからず。

ということで、イルファン君の来年の課題は、
パプリカ栽培による
化学合成農薬に頼らないダニの防除
ということになった。
総合防除の考え方を取り入れて、
化学合成農薬もピンポイントで使用しつつ
抵抗性が生まれにくい、物理的な防除法の研究と
天敵利用をやっていこうとなった。

何をどう計測していけばいいのか、
そこに課題はあるが、
課題研究開始の4月まで、
その議論は進めていこうと思っている。
どうやら今年も忙しくなりそうだ。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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