インドネシア農業研修の3年生であるヘンドラ君。
3年生のこの1年、彼は有機肥料の有効性について
課題研究を行ってきた。
いわば、卒業研究と言ってもいいだろう。

その卒業研究、最終的には卒論として
まとめてもらう予定なのだが、
卒論ならば、その発表の場がないといけない。
ということで、福井農林高校にお願いをして
同校の3年生が課題発表をする場をお借りして
ヘンドラ君も発表させてもらうことになった。
つまり、その場が、
インドネシア農業研修プログラムの卒論発表の場ということだ。

そして、今週19日、
10時半から福井農林高校でその発表が行われる予定だ。
もちろん、日本語で。
準備は、先月から行っているが、
ヘンドラ君の日本語能力の問題と
僕の論文指導の経験不足から
その準備は平坦な道のりではなかった。

またヘンドラ君の書いてきた発表原稿も
インドネシア語では、文法もロジックも
正しいように思えたものでも、日本語に直してみると
結構、ずれている文も多く、その構成にも悩んだ。
他人の論文指導は、
自分が書く以上に、労力のいることだともわかった。

僕の農園の日本人スタッフや日本人研修生にも
発表を聞いてもらって、多くのアドバイスを得た。
そんなこんなで、なんとか準備は整いつつある。

さて、その卒業研究。
発表内容は、有機肥料と化成肥料を利用しての比較栽培試験。
有機肥料は、市販の肥料と僕の農園で作って使用している堆肥、
そして、ヘンドラ君自身が作った生ごみたい肥と
自然界から発酵菌を見つけてきて作った米ぬか堆肥の4種類。

僕らの社会では、すでに有機肥料の有効性なんて
自明の理で、特段今更調べても、と思われるかもしれないが、
ヘンドラ君の社会の文脈では、
またその風景が、少し違っていたりもするのだ。
インドネシアでは、化成肥料の神話がいまだ根強く、
さらに原油価格高騰と需要の集中による価格高騰が
毎年、小農を苦しめている。
多くの農家が、農業資金を潤沢に用意することが出来ず
商人などから資金提供を受けており
その従属的な関係の中で、青田買いも日常茶飯事。
緑の革命としてもてはやされた
高収量米も、そのシーンによっては、
ただ単に村内社会に従属的な関係を
創り上げたにすぎない場合もある。
その農業資金として農家の首を絞めている
化成肥料を、ヘンドラ君はなんとか自給できる
永続可能な有機肥料に切り替えられないかと
考えている。
有機野菜で、安全安心志向を刺激して
プレミアムを付けて売るような日本の文脈からは
とても想像できない農業の社会が
世界には存在するのだ。

彼の実験は、その内容からいえば、
まだまだ幼稚なものなのかもしれない。
でも、彼が自分で作った堆肥で得た手ごたえは嘘じゃない。
彼はその手ごたえを胸に
19日、福井農林高校で発表する。
どこまでその想いが伝わるかはわからないが
僕は精一杯、その手伝いをしたい。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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