引き続き、日本人の研修生との勉強会。
青山浩子さんの「強い農業をつくる」を輪読して
共感できるポイント、批判ポイントを議論する。
今回は、第4章流通市場を改革せよ、と
第5章農業の「仕組み」を変えよ、というもの。

4章では、あの「みずほの村市場」が紹介されており
その直売所のシステムを、
やはり研修生たちみんなが取り上げていた。
自分たちが取り入れたい点としても
養豚農家の宮治さんが取り組んでいるバーベキューマーケティングの
ようなイベントを開いて、消費者との交流を進めたい、という
意見が多かった。
人の集まる場をつくる、そのコンセプトは
みなも大切だと思っているようだった。

では、僕はどうなんだろうか。
確かに人が集まる場を、と思ってはいるが
イベント的な取り組みには、少し慎重なのが現状である。
ただ、その人の集まる場とは、
この本でいう、農業の仕組みを変えよ、という文脈では、
僕は労働力の確保とその育成・教育の仕組みを含んだ
場を作り上げつつあると思っている。

農業で最も困難なことの一つが
労働力の確保である。
肉体労働を嫌がらず、汗と泥にまみれて
その中に労働の意味を見いだせる若者は
農業がブームとなった今でも
それはファッションの域から出ず、
まだまだ少ないのが現状なのである。
そんな中で、恒常的に労働力を確保する意味で
県内の農家でも、海外の研修生を受け入れている人たちがいる。
僕はこれまで、このような人たちとは距離を置いて
どちらかといえば、ネガティブな意見を発信してきた。
従属的な環境と関係の中で
安い労働力を酷使して、先進国と途上国の貧富の差を利用した
また国際協力を隠れ蓑にした、新たな搾取だ、
と思ってきた。

だがあるきっかけがあって
僕自身が、研修制度を利用することで
地元で農業しながら、インドネシアの農業に
貢献できることがあるかもしれない、と思うようになってからは
考え方が変わった。
それから間もなく、地元農林高校との交流事業の中で
インドネシアの農業高校の卒業生を対象に
研修生を受け入れることにした。
給料も払い、渡航費も払い、保険も払い、
さらに農業の授業と宿題・レポートと勤勉を押し付けるという
押しかけ女房ならぬ、押しかけ教師をしている。

だから研修に来る子も、
何名かの希望者の中で選ばれることもあってか
モティベーションも高く、多くの宿題をこなしてくる。
当然、圃場でも彼らの観察力も高く、どんな作業でも
強い関心を持って、取り組んでくれるので仕事の内容もいい。
それを見て、周りの農家から
「うちにも斡旋してくれ」
と言われることもあるが、
別に彼らはこちらから出す給料に対して
モティベーションがあるわけじゃない。
僕のインドネシア語での
日本とインドネシアの農業の座学に対して
高いモティベーションを持っているのだ。
だから、労働者として扱えば
たぶん彼らは、やる気をなくすだろう。
僕の提供するサービスと
彼らのニーズが合致して、
今のところ、まだやや持ち出し感があるが
なんとか研修事業を継続できている。

今回の議論を通して、僕は改めてこのやり方が
僕なりのオリジナリティであり、
僕なりの農業の仕組みだといえよう。

センスのある人たちによる様々な農業ビジネスが紹介される中
そういったセンスに乏しい僕は、
やや焦燥感があったが
こうあらためて考えてみると
僕が目指す道は、そういった農業ビジネスにはないことが
はっきりとした。
僕が目指す農業を一緒に作り上げてくれる人と
ゆっくり腰を据えて
インドネシアの農業とも付き合っていけばいい。
その専一こそが必要なのだ。
そしてこのような勉強会を主宰し続けること。
ビジネス的には、やや弱いかもしれないが
それが僕の農業の仕組みだと、今ははっきりと主張できる。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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