インドネシアの研修生の座学。
今回は、毎月やっている月間レポートの発表。
それぞれの研修生が、その月に経験した農業のことを書きまとめ
そのことに不明な点を質問として書き残していく作業。
同時に、帰国後どうしたいかを毎月考えてもらい、
目標を常に持って、3年間を過ごすための月間レポート。

このレポートで僕が一番重要視しているのが、質問の項。
その月の座学や農業実習の中で湧いてきた質問を
それぞれの研修生が書いてくるのだが、
質問を練って鍛えなさい、と常々言っている。

質問が漠然としているということは、
知りたい事項自体が漠然としていることに他ならない。
意味のない質問や、適当でない質問は
何かわからないけど、そのわからないことをわからないまま
質問している時に起こることが多い。
そういった質問を100万回繰り返しても
前進はない。

口を酸っぱくして言ってきた「質問」だが、
なかなか解ってはもらえないようだ。
今日、3年生のH君の月間レポートの発表があった。
彼は、質問の段になった時に、
「ここにある園芸用のハウスはいくらですか?」
と質問してきた。

質問の意味は解る。
うちの農園のハウス1棟がいくらするのか?という質問だろう。
だが、意図が分からない。
彼は、この質問が明らかになることで、
何を知ろうとしているのだ?

彼から少し説明があった。
彼の地域では、竹で園芸用のハウスを建てる。
だが、竹ではすぐに虫や腐食にやられ
3年から5年でだめになってしまう。
僕の農園には、鉄パイプや鉄骨のハウスがあるが
それはずいぶんと長持ちするようなので、
そういったハウスを建てたいが、
いくらくらいで建つのか知りたかったとのことだった。

彼の質問に答えるのは簡単だ。
ハウスの価格を教えてあげればいい。
造作もないことなのだが、
その答えに、彼の知りたい答えは無い。
意地悪と言われれば、そうなんだろう。
僕もなかなか細かいな、と思う。
だが、この細かなことが、僕には大事に思えてならない。
だから、僕は彼の質問には答えなかった。
その代り、その答えを持っているのは
僕ではなく、君の地域のハウス建設業者だ、
と当たり前のことを教えた。

そのままでは、あまりにも意味のない座学なので、
その質問から、僕らはもう少し知りたい事項を
掘り下げてみることにした。
なぜ、ハウスが必要なのか、を。
本当は、この作業は彼自身がレポートを書くときに
行わなければいけない質問を練って鍛える作業なのだけど。

さて彼の話では、
ハウスの中の野菜と露地の野菜とでは、
ずいぶんと品質が違い、高品質の野菜を作るには
ハウス栽培が鍵だと思っているようだった。
ただ竹のハウスでは、何度も何度も作り直さないといけないので
大変だという。
そこでこちらからもう少し聞いてみた。
そっちの地域では、鉄パイプのハウスはあるのか?
あるのであれば、何を作っているのか?と。
彼の答えは、
鉄パイプのハウスはあり、切り花など高く売れる作物をつくっているが
野菜で鉄パイプを使っている農家はいない、とのこと。
それじゃ、野菜を鉄パイプのハウスでやっても計算が合わないってことなんじゃないか?と僕がいうと、
彼の経験では、以前竹のハウスで行ったレタスの試験栽培が
地元商人だけでなく、大きな市場でもとても人気だったらしい。
引き合いも多くて、注文も沢山来たという。
しかも、そういう野菜は年間の作付けの回転が良い。
そういった商品であれば、鉄パイプのハウスでも
勝負できるんじゃないか、と彼は話してくれた。

そこまで解っているのなら、
僕らの次の作業は簡単なことだ。
インドネシアの業者に問い合わせて、価格を聞けばいい。
それとレタスや葉菜類の地元価格と作付け回数を計算してみればいい。
鉄パイプのハウスで野菜栽培が合うかどうかの
ある程度の指標にはなるだろう。
僕のハウスの価格を聞いて、
うちの野菜の価格を知ったところで、
彼の知りたいことには近づけないのだ。

自分が知りたいことに対して
それに見合った質問をするというのは、
なかなか難しい。
だからこそ、それをおろそかにしないで
日々、質問を練って鍛える訓練が必要になってくる。
それが少しでも彼らに伝わってくれることを望む。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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メールは
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