米の検査。
うちの集落では、今年最後の米の検査。
農家組合長として、立ち会った。

前回同様、今回の検査も中心はコシヒカリ。
最近テレビや新聞を賑わしている新潟の米の品質だが、
9月20日の調査段階で、コシヒカリの1等米比率が
16%という恐ろしい数字になっているらしい。

米には等級がある。
品質の良さで、1等、2等、3等に分かれる。
これは生産者から買い取る時の等級で
小売りには反映されない。
米の卸や小売の段階で、この等級間を上手にブレンドすることで
さまざまな価格の米が出来上がるというのは余談。
さて、この等級。
1つ下がる度に、1袋(30キロ入り)500円価格が落ちる。
たった500円という事なかれ。
1町(1ha)ほど作っていれば、等級差で8万円程の差になる。

通常、1等米というと、
ここら辺では、だいたい9割以上の米がそれになる。
米の検査官の話でも、
こりゃ、ひどいなぁ、と思う地域でも
7割は1等米らしい。
だので、16%というと、
ずいぶんひどい、というか
前代未聞のことなのだ。

では、今回の検査。
うちの集落はどうだったか。
めでたく、すべて1等米でおさまった。
食味値も80スコア以上を連発し、
なかには84スコア、という惜しい人もいた。
85スコア以上で、さらに買い取り価格が500円アップする。
新潟とは全く違う検査風景だった。
なぜうちの集落の米はだいじょうぶだったのか。
いろいろと要因はあるだろうが、
今年から始めた福井のコシヒカリの遅植え効果もあるらしい。
近年、夏が暑い。
夏が暑いと、米が実る時に高温障害を受けやすい。
今回の新潟は、まさにそれだった。
夏が暑くて長く続いたため、高温障害を受け
ほとんどが2等米の格付けになってしまった。
福井は、ゴールデンウィークに植えていた米を
思いきって5月15日以降に変更した。
そういう効果もあってか、実の入る時期と高温期が
少しずれ、米の品質を保つことが出来たのかもしれない。
ちなみに新潟では、遅植えはせず、従来通りだったらしい。

新潟が2等米でこっちが1等米。
これでこっちの米が良く売れる、というわけじゃない。
その反対なのだ。
新潟の米がほとんど2等米ということは、
今年の新潟米は市場価格が安いことになる。
安い米が市場に大量に出回れば、
他の銘柄の売買がだぶつき、
その余波で全体の価格も当然落ちる。
米は、JAが検査後に支払ってくれるお金以外に
追加払いという形で、その後2回支払われる。
これは米が長期間かけて市場で売買されるため
価格変動の中で、さらに儲けが出た場合、
その差額を追加払いという形で
支払うシステムなのである。
近年、この追加払いの金額が減ってきているのだが
(その分、米の相場が安いという事でもある)
今年は、新潟などの産地の米が、安くなることから
相場がのびず、追加払いは雀の涙になるんじゃないか、と
米の検査の現場でも、うわさされていた。
ある農家は、今年は追加払いは無くて、
逆に検査時の価格は払いすぎたので
1袋につき200円ずつJAがお金を返してくれって言ってくるんじゃないか
と笑えない冗談を言っていた。

ちょっと前に、米は1俵15000円を切る時代が来る、と言っていたが
何のことはない。
今じゃ、1俵10000円を切りそうなのだ。
その分だけ、米がたくさんとれるわけでもなく
その分だけ、農業機械が安くなるわけでもなく
その分だけ、消費が伸びるわけでもない。
米の未来はどこにあるんだろう。
僕にもそれはなかなか見えてこない。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

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