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2月は逃げる。
というが、まさにそう。
という言い訳が通じるわけではないが、
昨年の2月に来たデディについて
まったくエントリーを残していなかった。
ごめんよ、デディ。

彼はタンジュンサリ農業高校を卒業後
大学で学び、
農園にやってきた。
大学は主席で卒業らしい。
その片鱗は、日々の授業や
仕事ぶりでもよくわかる。
2020年はシティとデディという意味では
実習生の質は最も高かった年だろう。

その彼。
実家は農家。
バンドゥン県のパガレガンという
レンディやデデ、ダニと同じ出身地で
お茶畑が有名な高原野菜地帯。
この地区は、かなり人材が揃っている感じ。

さて。
今、そのデディに協力してもらって
ちょっと面白いことをやっている。
それは他の実習生に対して
「技能」とは何かというワークショップ。
日本で得られるモノについて
実習生たちの思考に迫ろうという試み。
あ、別にドナーがいてやっている調査ではなく
実習生が得られるモノを書いた論文を
いくつか読んでいるうちに
気に入らなくなって
だったら自分で調べようと思ってやっていること。
ま、暇ってわけじゃないけどね。

で、デディをそのファシリテーターとして
今、鍛えている。
利点は3つ。
彼は見込みあるので
こういう仕事を今後インドネシアでも
ちょいちょいと使うには
ここで鍛えておこうかというのが1つ目。
あと、僕がファシリテートすると
実習生たちが怖がるというのが2つ目。
言葉も下手だしね、僕は。
細かい意図が通じないと、
こういうのはうまくいかないので。
最後が、彼を通じて福井に
インドネシアの実習生の大きなネットワークを
作ろうかという試み、で3つ目。
誰か中心となる人がいないと
職場も休日も遊ぶ場所もばらばらな
外国人のネットワークは
面的な地域では作りにくい。
彼ならその素質は十分ある。

今後、仕事で若手のファシリテーターを
育成することもあるだろうから
今のうちに僕もファシリテーター育成に
慣れるという意味では、4つ目の意味もあるか。

その彼、とりあえず
この前一回目の実地でのワークショップを実施。
丁寧な言葉遣いと
停滞しそうな参加者の思考へのアプローチは
非凡だったが
まとめに近づくと
どこに落とすべきかで
自ら迷走していた。
カチッとした着地点は
無くてもいいかもしれないが、
参加したみんなが
楽しかったという時間を共有するには
やったことの意味をもう少し
どこかへ方向が浮かび上がればいいなぁとも思うけど、
どうなんだろうね。

というわけで、
新たに実習生を
実習生たちのファシリテーターとして
育てる楽しみができました。
デディ、次は漁港で働くインドネシア人を
ファシリテートしようぜい!

2月14日に3年生のアンギとフィルマンは
インドネシアに帰国した。
その前にエントリーを残せたらよかったのだけど
なんだかなんだで書けずにいた。
あと、2月も一つもブログ書いていないのに気が付いて
気が向くのを待つのではなく、無理やり書く。

フィルマンの卒業研究は
野菜の移動販売における野菜の仕入先ごとの利潤の変化
だった。
インドネシアでは、
特に実習生の西ジャワ州では、
野菜は一般的に
伝統的な市場や、八百屋などの商店、
あと移動販売等で購入する。
最近スーパーでも購入するケースも多くなったが
まだまだ少ない。

フィルマンはこの移動販売のビジネスをやろうと計画中で
野菜の仕入れ先によって利潤が違うことを
これまでのビジネスプラン作りの中で感じていた。
そこで移動販売をしている業者に
アンケート調査を行い
仕入先が違うことで品揃えや利潤の違いを明らかにしようとした。

仕入先はいろいろと細かく分かれるのだろうと思うが、
主には2つ。
農家から直接仕入れる、のと、卸売市場(業者)から仕入れる、がある。
当然農家から直接仕入れると
利ざやは大きいので、利益は大きくなる。
しかし、農家は何種類も栽培しているわけではないので
野菜の種類を増やすには、取引農家を増やす必要がある。
細かい品目のために農家間を移動する必要も出てくる。
また、乾季や雨季による変化が収量にも影響し
農家から直接買う場合は、販売量や品目が安定しない。
業者から買う場合は、その逆で
そのどちらが移動販売における利潤を高めているかを
彼はインタビューして調べた。

フィルマンは農家から直接買っているある業者を
ビジネスプラン作りの中でかなり注目をして
その業者を真似することに集中してきた(ここでは便宜上Aさんとしようか)。
そのため、農家から買う方が絶対良いと思い込んでいる。
卒業研究の結果は
八つの事例だけだったが、
市場から買っている移動販売の方が、平均すると儲けが多い、と出た。
ただフィルマンが敬愛するそのAさんが
断トツで儲けており
フィルマンは、僕からの指導を受けたにもかかわらず
最終発表では
農家から購入する方が利潤が高くなると分析をした。

自分が見たいものを人は見る。
それは僕も一緒だ。
僕がいつも実習生たちに言うのは、
その見たいものを見る目には偏見という眼鏡がかかっている
ということである。
偏見の眼鏡を取り払うのが
実習生たちへの授業だったりビジネスプランだったり
卒業研究だったりする。
偏見の眼鏡に気が付くのは
実はすごく傷つく。
自分が思っていた通りではないという事実を
受け入れなければならない時もあるからだ。
そしてそれはすこぶる不愉快で
しかもそれを他人から指摘されるのは
本当に苦痛だと思う。

フィルマンの卒業研究は
そこで終わってしまったのが残念でならない。
Aさんがどうしてそんなに利益を上げられているのかを
本当はほかの同じ形態の業者と比較研究して
成功のカギをさらに深堀すべきだった。
でも、自分の思った通りの研究結果だったと
予定調和的に思い込むことで
そこのステージにも到達はできなくなる。
不愉快で苦痛な結果を直視することこそ、
その次を見つける、
まさに偏見の眼鏡を取って見渡す風景なのだけど。

そして難しいのは
偏見の眼鏡は無理やり外すこともできないということ。
そして、僕にも偏見の眼鏡があるっていうこと。
だから僕がここで書いている視点が
実はフィルマンに対しての偏見がある、ということも
他方では事実であるので
ここに至ってからの彼の選択に
もう一つ踏み込むかどうかを
ためらう自分がいるのも事実。

ここから先は
彼が帰ってから
ローカルスタッフを通じて報告される情報から
彼を読み取るしかない。
3年で出来ることは本当に少ない。







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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
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