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今年の実習3年生の研究も面白い。
ダニの研究は、
ソシンという葉菜類の栽植密度と収量と販売額の
三角関係を調べるというもの。
農学の分野なら、栽植密度と収量ってことだろけど
それに経済社会学的&経済人類学的要素を加えて
彼がアクセスできる販売形態に合わせての
販売額の違いを加味したところに
今回の研究の面白さがある。
これを農家自身が考えることができたなら
僕が思っている理想的な「考える農民」に
かなり近づく。はずだ。

ダニの研究は終盤を迎えていて
厳密にはまだ考察であと二転三転する可能性はあるが
研究の方向性は固まっているので
ここで先んじて記録しようと思う。

ソシンの栽植密度を
政府推奨と学校で学んだやり方と
地元の篤農のやり方の3つで検証。
で、一番とれるのは?というのはナンセンスで
販売してなんぼなので
地元のアクセスできる市場で
どのような尺度の価値でそれを評価するかを
インタビューして
それに合った収穫をした場合
どの方法が一番販売額が高くなるかを計算する。
ただ、それでも不十分で
ダニのリソースとして
経営に投入できる労働力は3人分ということと
彼がここで得たお金で買った土地の広さとを加味した場合、
販売形式によって(たとえば、束にするのかバラで売るのか)
栽培できる面積が変わる。
さらにブローカーへの販売方法として
自分で持っていくのか
買い取りに来てもらうのか
さらには収穫人も連れてきてブローカー側で収穫するのかの
3パターンでも経費を計算する。
この場合、車をチャーターして持っていく場合、
バイクの場合、車を購入した場合、
など積載量や経費の多寡も変わってくるのを加味する。
そうした要因をすべて考えて
彼はどの方法が一番儲かるのか、もしくは
一番効率がいいのか(儲かると効率がいいは別だよ)、
を彼自身が自分の経営スタイルに合わせて
考える素材にする。
このパターンが出そろえば
行為能力(エージェンシー)は
考える農民たるように発揮される。
ま、これが僕の指導するビジネスプランの肝でもあるんだけどね。
タネがわかれば意外に単純なんだけどね。

で、彼は今数字を見て逡巡している。
自分たちで収穫するほうがいいのだけど
それだと面積は狭くなる。投入できる労働力に限りがあるから。
安いけど、収穫人を大量に連れてこれるブローカーに
収穫を任せると
栽培面積は一気に増やせる。
雑草管理も考えれば
それはそれでとても重要なことだし
ちょこまかと作るよりも
収入は多い。
ここまで考えることができれば、
実はブローカーと農家は従属関係ではなく
戦略的に販売するその選択のイニシアティブは
農家の手にあることに気が付くだろう。
この彼が逡巡する判断基準が
僕にとても贅沢なやり取りに感じる。
もう少しこの贅沢な時間を
彼と一緒に過ごしたい。
発表まで2週間しかないけど
この2週間は
僕にとっても至福な時間となるだろう。
3年かけて鍛えた彼の計算力と
インタビュー力と思考力が
その結晶を見せる瞬間は、本当に美しいから。

あああ、ダニ
お前は本当に素晴らしい。




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明日から仕事始め。
その前に、今年の目標でも記録しよう。

まずは「農業」。
正直、2020年は厳しい年になる。
昨年から農園の勝利の方程式だった
ベビーリーフが県内外の植物工場のベビーリーフに
徐々にだが県内の市場が食われている。
喰ったり喰われたりなら、そういうものなので
特に焦りはないのだが
昨年はディフェンスに追い込まれていて
喰われる一方だった。
ここを取り戻す算段をしながら
他の品目でも挽回する企画をいくつか立てたい。
年末に付き合いのある業者が1つ廃業するとの連絡と
もう一つの業者が長期休業に入るということもあり
普通に営農していても2019年を下回ることになる。
新たな市場開拓も併せて必要だ。
2020年は営業にも力を入れたい。
統一した商品デザインも今年は考えていて
商品力での販売挽回も必要だ。
売り場やネットでの媒体での発信も大事で
売り場のポップを揃え、
SNSでの発信はここ数年停滞気味なので
しっかりしないといけない。
生産現場では
新人も増え、農園は増員予定の年となる。
それぞれの生産班リーダーが
9年目や8年目になり
経験値は十分。
リーダーが担当の品目だけを管理する時代は
そろそろ卒業するタームに入る。
技能実習生をそれぞれの班に1年生から張り付かせ
3年生にはサブリーダーとして
それぞれの品目管理ができるように
マニュアル化や指示の簡素化が必要で、
実習生のサブリーダーをそれぞれのリーダーが
どこまで教育できるかも重要だ。
その場合、
それらを補完するために指示やマニュアルの
インドネシア語化は必須だ。
帰国したばかりの立崎のポジションは
今年のカギとなるだろう。
この厳しい年を糧に
僕らの農業のさらなるバージョンアップの年に
チーム力で実現させたい。

次は「インドネシア事業」。
これは帰国した立崎が
自分がインドネシア部長をすると
公言しているので、
それをしてもらおうと思う。
今年はいよいよ技能実習生の送り出し機関が
タンジュンサリ農業高校と農園たやと共同で立ち上げる。
来日する実習生のビジネスプラン作りまでを
この送り出し機関と共同で
農園たやとして支援をする。
もちろん、農園たや以外に派遣させる実習生にもだ。
帰国した実習修了生へのマイクロファイナンスや
新規事業提案や
やることは山積みだ。
さらに
立崎の後任として、
スタッフの坂本が5月にインドネシアに派遣される。
彼とのやり取りが今年のインドネシア事業のカギにもなる。
技能実習制度の受け入れモデルとして
今年も発信をしていきたい。
アクターオリエンテッドアプローチを活用した
技能実習プログラムとして
国際開発学会での発表も今年は実現させたい。
今年は無理かもしれないが
技能実習制度といった外国人材の受け入れについて
派遣する側の国でも研究者たちと共同研究を行い
その国での言説化も
学会発表やジャーナル等の発表で作り上げたいと思っている。
そのために今年はその布石を打ちたい。
議論を日本の中で矮小化させず
送り出す側の国でも批判的な議論を巻き起こす
第一歩が2020年だったと記録できるような年にしたい。
僕らの歩みが
それぞれの地域発展のモデルの発展の歩みなんだ、と
自負して進みたい。

最後に趣味の「俳句」。
自分というフィルターを通した時に
自分という言葉変換装置は
いったいどんなポエジーをもった作品を
生み出すのか
それを純粋に楽しみたい。
入賞とかそういうのも楽しいのだけど
納得する句を
その場その場で作り上げたいと思う。
詩人としてさらに深度を深めていきたい。

さ、2020年を始めるか。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
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