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今年来たもう一人の青年を紹介してなかった。
ダダン・レスマナ。
19歳枠で採用した実習生で
タンジュンサリ農業高校の先生たちは
口をそろえて
「デデ・ユスフと同じレベル」と
太鼓判を押すほどの評価だった。
デデは第9期生で、2019年2月に帰国した子。
これまで来た子たちの中で、
僕が実習成績で最高得点を付けた子。
その子と同じレベルだという。
確かにデデと同じく
ダダンは生徒会長を務めていたし、
高校時の成績はビッグ3と呼ばれる
常に3番以内にいたらしい。
一緒にきたアリフの方が年上なのだが、
ダダンの方が年上に見えるくらい落ち着いているし
言動もしっかりしている。
こういう子を教育できるのは
この仕事の楽しみの一つでもある。

ダダンはなかなかの苦労人である。
中学2年の時、ランプンの農場労働者だった父を病気で亡くし
母と一緒に、母の実家に身を寄せた。
それはタンジュンサリ農業高校に通うためでもあった。
母の実家は乳牛で生計を立てている。
1990年より政府の乳牛プログラムに乗っかり
乳牛を2頭得て、今では9頭を飼育している。
ダダンは祖父の乳牛事業を手伝いながら
毎日タンジュンサリ農業高校に通っていた。
こうした苦労があっても
彼はそれを卑下せず、
素直に受け入れたからこそ優秀な人材に育ったのだろう。
彼は、この乳牛の頭数を増やすことを夢見ている。
日本にいる間に
乳牛の頭数を増やしたいと意気込む。

ただその中で
牛乳を集荷する組合の取り分が多いと
彼はすこし愚痴をこぼす。
祖父の受け売りなのだろうが、
組合がなければ大量に販売はできないだろうから
なくてはならない組織なのに。
ただ実際に経営としてどれくらい手数料が圧迫しているのかは
実は彼はあまり知らない。
まずはその経営の中身を知ること。
そして乳牛にかける祖父母の想いを知ること。
彼らの生計戦略とその思想を知ること。
さらに自分の目で見て
アクセスできる資源に有意なものがあるのかどうかに
気が付くこと。
その上で
薄利だとしても、損益分岐点を探り
どの頭数が経営規模の中でベストなのかを
見極めようじゃないか。
デデ以来の優秀な実習生の来日に
僕は毎日が楽しくてしょうがないのだ。





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気が付けば6月下旬。
今月は忙しかった。
そういう時こそ、今まではブログを更新してきたのだが
今月はなぜかそういう気分にもなれず。
最近はまっていた俳句も
あまりの忙しさに心が動かず
見える景色がぼやけて映る。
それもまたポエジーのある風景なのだろうけど。

今日、JICA農村開発部の
次長さんが来園。
外国人技能実習生とODAという
新しい切り口の話をお聞きした。
これまで、こうなったらいいな
と思ったことの多くは自分で
少しずつ実現してきたが
3年ほど前から
JAの事業を分社化して途上国で
そのサービスを展開することと技能実習制度をつなげて
統括的な途上国の農村支援ができるのではないかと
JA職員に対して酒飲み話として
話してきた。
もちろん、僕は大真面目だったが
みんなはそれを笑い話として面白がってくれた。
ま、それはそれでいいんだ。
この地域でこの人たちと一緒にやろうと思っているのだから。

でも、今日次長が持ってきた話は
それが一気に形になろうとしている話だった。
しかもインドネシアで。
専門家による技術協力プロジェクト(通称技プロ)も
それとつないでの話で
ああ、大きな組織がかかわると
僕が10年かけて到達しそうになっていることなんて
すごくちいさいことなんだ、と
思えるような絵を見せられた。
それはそれでいい。
僕の師匠である東京の練馬の農家・白石さんからの
「行政とは方向性が一致した時だけ一緒に仕事をすればいい」との
教え通り、
これまでも、そしてこれからもそのスタンスは変わらないだろう。
ただどこかであちらの大きな話に合わせて
自分の考えがねじれたことを自覚することは
少々へこむというか、修行が足りないというか
なんとも言えない気分になる。
総じて勉強になったので
とてもよかったのだが
方向性を自分が間違えそうになることや
これまで言ってきたことに
究極的には自分が目指してきたこととは違っていることを
自覚する夜は、すこしさみしい。

僕らがかかわってきた実習生は
それぞれの夢があった。
コモディティーでも地域でも
業種でも縛りができない
それぞれの個性と方向性があった。
そのすべてに僕はレスポンスをするべく
思いつくあらゆる勉強を自分にも課してきたし
行動もしてきた。
だから、その形は
今後大きな組織との協力の中で
どんな風になるのかと
その一端が見えると
なんだか少々気持ち悪くなったり。

僕たちの関係は
仲良しクラブではないし、
タンジュンサリ農業高校の評価を考えれば
場当たり的に見える僕個人の思想から派生する
僕らの取り組みは
やや評価しづらいことも理解している。
これからは
せっかくODAがこちらに向いてくれているのだから
これをチャンスにしないわけにはいかない。
とは思うのだけど、
この取り組みの対象って誰なんだ?って
考えると
なんだかそれすらも
今の僕には少し空虚もないわけではない。

別に僕がJICAと一緒にプロジェクトをするわけでもないので
そこまで思わなくてもいいのかもしれないが
ただ、一気に進むそのスピードに
違和とそして
その対象とかかわり方の違いに
戸惑うだけなのかもしれない。











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12期生の紹介をしていなかった。
2019年も2名の実習生を受け入れている。
そのうちの一人がアリフ。

アリフは、バンドン県パガレガン地区出身で、
同地区からの受け入れはこれで5人目となった。
2期生のイルファン、7期生のレンディ、9期生のデデ、10期生のダニと
これまで受け入れた中では、同地区が一番多い。
同地区は、標高1600mと高原地帯で、
温帯の野菜が潤沢に栽培できる気候と
豊かな火山性土壌を有している
西ジャワ州でも屈指の農業先進地なのである。
そういうこともあって、
農園の実習生として候補になる子も多い。

さて、アリフ。
父親は業者の仕入れ補助をビジネスとしており
毎日市場へ業者を車で連れて行き
仕入れの手伝いをしている。
めずらしく車をもっているのだが
けっして金持ちというわけではない。
ビジネスとして2007年に車を購入している。
車を持っている世帯は
街でもまだまだ珍しいので
2007年に車を買ったのは
ある意味先進的な考えだったといえる。
ただ買ったのが1978年の車で
価格も40万円ほどというので
これ車商人に騙されてないか?とやや心配にもなる。
お金は銀行から借りたというので
そういう手続きもするし
投資にも勇気があるという意味では
アリフのお父さんは結構面白い人なんではないかと
想像している。
その車を使って、物品の仕入れの手伝い業をしている。
午後からは時間があるので、農業という生計だ。
母は家事と午後からの農業の手伝い。
農業は同地区の伝統種のトウガラシと
お茶混作という鉄板の組み合わせで
失敗は少ない。
今後、もう少し調査を進めて
彼らのアクセス可能な資源を含めて
検討をしていこう。

さて
アリフはとてもギターが上手い。
ギターのレベルは聞いてもよく解らないが
長い間バンド活動をしていたようで
それなりのレベルらしい。
ただ10期生のダニに言わせると
アリフは学校でもいつもギターばかりで
実習もサボっていたし活動もいい加減だったと
手厳しい。
なので、ダニのアリフに対する評価は
かなり低い。
彼が候補者に決まってから、ダニはずーっと心配していた。
農園での労働にむかない、と。

たしかに受け入れて2か月が経つが
彼のレポートのレベルはかなり低く
勉強にまったく気持ちが入っていないことがよく解る。
ま、ここから自分でやる気を出すように
まずは彼が、自分の置かれている立場を
よくよく認識してどういう努力が必要なのかを
彼自身で見つけてもらえば
たぶん、それなりに伸びるはずなので
そこは心配していない。
ただ昨年のアンギの件もあるので
もうすこし慎重に進めていきたい。

ただ
上級生に言わせるとアリフは
あまり積極的に行動する感じではないという。
新しい食べ物にも消極的だし
遊びにもあまりいかないという。
異国に来て2か月。
寂しさが一番きつい時期だろう。
なにか気持ちが前に向くように
考えないといけないのかもな。

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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
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