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2020年の実習生に
女性の受け入れをしようと決めてから、
タンジュンサリ農業高校とも相談をした。
タンジュンサリ農業高校としては
いろいろと募集条件を変える必要があると考えていたようで
農園のローカルスタッフと
タンジュンサリ農業高校の教務主任の先生と
話し合いが開かれた。
そこでタンジュンサリ農業高校側が出してきた条件は
以下の通りだった。

一つ目は年齢。
これまでは19歳~30歳としていたのだが、
女性なら25歳までが良いというのだ。
これより遅くなると結婚しにくくなるのだとか。

二つ目は未婚という条件を付ける事。

三つ目は男性と深い交際ををしない、という条件。

四つ目はイスラムのスカーフを必ず着用する、という条件。

五つ目は学校の評価平均が86点以上のスコアである事。

五番目以外は、労働者の採用条件としては
とても盛り込めないものばかり。
学校の校則なら良いのかもしれないけど。

結婚が前提となるような採用条件は
ジェンダー差別になるし、未婚に関しても同じ。
三番目なんて、とてもとても盛り込めない。
四番目は、イスラム教じゃない子は採用しないと読めるので
それも差別になる。
さらに五番目の条件に関しては
農園の実習生から反対意見が続出した。
ここ数年の評価とそれ以前の評価とでは
点数が違うというのだ。
今、3年生のダニと2年生のアンギは同級生なのだが、
その世代までは、最高得点でも84点くらいだったらしい。
平均が80点を切っているのがふつうだという。
この前の2月に来日した19歳のダダンの学年は
86点はたしかに高得点だが、90点をとる学生もざらに居たので
むずかしくないとのこと。
世代間で評価の仕方に差があるのでは
一律の条件としては使いづらい。

こうしてタンジュンサリ農業高校からの提案は
すべて却下されたが、
学校の成績が何かしら関係するような条件作りは
今後進めていきたいと学校側とも確認をした。
ただ評価も教育省の指針が変わると
それに合わせて学校の評価も変わるので
世代を通じて統一するのは難しいらしい。
せめて上位20%以内とかにするか。
ま、これは継続して検討しようか。

というのも
最近、実習生の間で学力の差が
どうしようもないくらい開いてきている。
出来る子はものすごくできるのだが
出来ない子は、全くダメ。
そこも引き上げていかないといけないのだけど
あまりにも基礎学力が無さ過ぎると
全体の勉強の進行にも
差し障りがあるケースも出てきている。
学校側としては
技能実習生だからまじめに働けばいいだろうという
考えも少しあるようだが
このプログラムはあくまでも
地域リーダーを創り上げるプログラムなので
ある程度の学力と
勉強に対するモティベーションも必要なのだ。
それを醸成させるのも
僕らの役割なんだろうけど、
差がねぇ、ちょっと開きすぎなんじゃないかって
思う子がいるのも事実。

ま、そこは僕らの努力次第で
ある程度は追いつけるので
もう少し頑張るか。

とにかく、2020年の実習生募集を
正式に始めた。
どんな子が候補者になるのか
楽しみでもあり、不安でもある。
女の子の条件としたけど
女の子の候補者、みつかるだろうか?




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2020年の新卒採用がひと段落ついた。
次は技能実習生の2020年の採用が始まる。
ビザ等の手続きなどで、どうしても7月下旬には
候補者を決めないといけない。
もう少し早くから動き出す予定だったのだが
二点ほど自分でも決まらず
すこし動き出すのが遅くなってしまった。

一点目が受け入れ人数。
2018年より毎年1名受け入れから2名受け入れに変えた。
理由は卒業生を増やすため。
毎年1名ずつの卒業生では
インドネシアの彼らの農村でのインパクトは
非常に弱い。
もちろん、卒業生たちはみんな頑張っていて
村落リーダーにもなっている子もいて
活躍は目を見張るものがあるのだけど
それでもメンバーの少なさは否めない。
自分の経営に合わせての受け入れだったので
これまでは1名が限界だったし
実際に指導も大変で、
レポートを読む量も2名受け入れなら
2倍の時間がかかることになる。
ただ僕の経験値も高まったことと
インドネシア語を理解するスタッフが増えていくことから
2018年から2名受け入れてきた。
ただ2018年は豪雪被害を受けた年でもあった。
2017年に2018年度の受け入れを計画したので
豪雪直後に2名が増えるという事態となり
経営的にどうなるのかかなり不安だった。
2019年度の受け入れも
一時は1名に変更とも思っていたが
雪害があっても販売成績が良かったので
そのまま継続していた。
ただ、昨年の暮れから販売が大いに不振になった。
野菜の価格が大暴落したからだ。
しかもその安値がこの春まで続いた。
現在も高いわけではないが
以前よりはややマシになっている。
その安値を受けて農園では取引量も減り、
2020年は実習生受け入れは1名にとも考えていた。
スタッフの頑張りもあり4月の実績では
売り上げもそこそこ戻ってきたので
2名受け入れを決めた。
それが来年の受け入れ開始を遅らせた要因の一つである。

もう一つは、女性を受け入れるかどうかの検討だった。
現在青年海外協力隊で派遣中に立崎は
女性の受け入れについて以前から言及していた。
彼女が帰って来てからその準備を始めようと思っていたのが
3月の訪問で
実際の候補になる子たち(立崎と一緒に活動している高校生)に会い
その子たちの姿勢や考え方に強く影響を受けた。
女性の農村部でのリーダー像は
なかなか見えてこないが
大学の恩師であるメラニー先生の協力も
得られたことも大きい。
彼女は環境人類学のジェンダー専門で
いろいろとアドバイスをいただけることになったことも
背中を押す要因となった。
女性の宿舎をどうするかなどの些細な問題は
まだまだ山積しているが
とりあえず受け入れをしてみようと決心した。
タンジュンサリ農業高校の同意も大きかった。

続く


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今年から始まった耕志の会のマイクロクレジット。
1回目の募集では、
レンディとクスワントがプロポーザルを提出した。
それぞれに卒業生や今いる実習生からの質問攻めに耐え
無事承認された。

クスワントの事業費が約8万円。
レンディの事業費は約24万円。
ローカルスタッフのタタンとも
両氏の事業のリサーチをどのようにしていくかも確認し、
先日無事送金し、現地口座で入金が確認できた。
いよいよ始まる。

今回のマイクロクレジットは
正直言って穴だらけだと思う。
プロポーザルの作り方や
返済金の管理から計画まで
問題が山積だ。
利子が無いというのも問題だとは思うし。
ただ
実習期間で貯めたお金だけでは
投資としては不十分というのも
この10年彼らの生計調査をしていてよく解った。
卒業生のほとんどが
それぞれの生計を安定させてはいるが
農村でリーダーとなるには
次の投資を必要としているのだ。
経済成長著しいインドネシアで
農村部での少額クレジットが
今後民間や政府でどこまでなじみやすいサービスが
出てくるかは注視していかないといけないが
同時に、僕らはアジアの成長を
一層推し進めていく必要があるし、
またそれらを僕らの成長にもつなげていかないといけない。
その一つが実習修了生へのクレジットだと思っている。

入金を確認した彼らは
さっそく計画に沿って動き出す。
今後はローカルスタッフの調査で
その動きを追っていきたい。




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インドネシア実習生向けに
農業構造論という授業をしている。
こういう学問が他にあるかどうかは
不明だが
僕がボゴール農科大大学院で学んだ社会学の基本と
農村や農業をどのような視点で理解すべきか
というそれらの学問を自分なりに統合して
こうした科目を作って教えている。
この学問の中身がどんなものなのかは
以前のエントリーに譲ろう。
参照「運命を変えたいなら」

さて
その中で人的資源について。
人的資源といえば、「教育」という具合になるが、
これでは人的資源の全体の1/3くらいしか言えていない。
教育が人的資源の向上になぜつながるのかを
説明していない。
無条件でそれを信じて
その流れをブラックボックス化してしまえば
形骸化を許すことになる。
なぜ教育が人的資源の向上につながるのだろう。
こんな問いを立てながら
授業は進んでいく。

この問いに答えるには
教育の二つの側面に目を向けないといけない。
個人の能力向上と
社会の評価向上の二つだ。

教育の本質は
考え方の訓練を受けることだろう。
セオリーはある意味スポーツや武道の形のようなもので
その形を反復して体や頭に覚え込ませることで
そのような動きが出来るようになる。
セオリー(理論)とはそういうもので
そういう視点と考え方と情報処理を学ぶ。
これは、個人の能力向上といえるだろう。

さて、教育のもう一つの側面に
社会的評価がある。
社会的評価の高い学校を卒業していたり、
セミナーを修了していると、
社会的評価が高まる。
それどころか、本質であるその教育を受ける前段階ですら
社会的評価は高まる。
いい高校や大学に合格しただけで
まだその高校や大学がもつ
真の意味での訓練を受けていないにも関わらず、
社会はそれを高く評価したりする。
これは
教育の個人的能力向上とは別に
社会的評価が大きな影響を持つ事例と言っていい。
だから
個人的能力を担保するのは
本当はどこどこ大学卒業なのだろうが
履歴書に
どこどこ大学中退なんて書くのは
その社会的評価への期待なんだろうか、というのは余談。
ただ難関学校の入試を潜り抜けたという意味での
そこまでの訓練(教育)を評価する面もあるので
ある程度は有効か。

さて、
ここまで書くと
学歴だけが人的資源じゃないだろう、と思われる方も多いだろう。
その通り。
いい大学出ててもダメなやつはダメで
学歴はただ個人的資質以外にも
家族や金銭などの環境の影響も大きい。
教育だけでは個人的能力やその個人に対する社会的評価は
測れない。
つまり経験や肩書、受賞歴なども
人的資源の向上に強く結びついている。
ただ社会的評価は
社会がそれを認知できる形で
存在している経験や肩書などに限られる。
返せば、それは認知されなければ
個人的能力の向上につながる経験であっても
その社会的評価には直結しないということでもある。
僕はここが鍵だと思っている。
認知される、また経験の見える化が
自己のマネジメントとして必要があるということも
彼らには理解してほしい点である。
そういう意味では9期生のレンディの
帰国前の発表であった
「スマートリーダーになりたい」という宣言は
よくこの部分を理解していたのだろうし、
帰国後一気に集落長に成り上がるのだけど、
それにはトウガラシ栽培での素晴らしい成功があり
それを集落の重鎮が認めたことによるところが大きい。

帰国した後の自己イメージのマネジメントは
とにかく成功するしかないが、
日本にいる間に
できる事も本当はたくさんある。
日本にいるという状況がすでに
彼らの日常ではないし
ここで見るもの聞くもの食べるものすべてが
非日常で
その文脈を社会がどう判断するのかを
捉えられたら
どんな情報をSNSでなすべきか
自然と見えてくるはずだ。
が、さてどうだろうか。




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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
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