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今回の出張では
ボゴール農科大学大学院時代の恩師
メラニー先生も同行してくれた。
彼女と会うのは、2013年以来だった。

彼女と一緒に回ることになったのは、
インドネシア側でのポテンシャル調査をしてくれる人材を
探していたからでもある。
少し前置きが長くなるが
ポテンシャル調査について書いておこう。

農園で行っている技能実習生の研修プログラムでは
帰国後に社会的ビジネスをすることが前提になっている。
そのビジネスを計画するために
まず実習生たちの住んでいる地域や
彼らの家族、彼ら自身の資源について
どのようなポテンシャルがあるのかを
押させておく必要がある。
なので、実習生がやってくる前に
そのポテンシャルを探る調査を行う必要がある。

これまでの10年は
大学院時代の友人にお願いしてその調査を行ってきた。
しかし、この10年でそれをお願いしてきた
彼女の生活環境も変わり
今は東ジャワの大学に務めるようになってからは
スメダン近辺での調査にかなり負担が生じるようになっていた。
彼女自身はこれからも調査に協力してくれると
ありがたい言葉をもらっているが
今後はポテンシャル調査だけではなく
もっと専門的な相談役が必要となり
新たに人を探すことになった。
ただ、これまで調査してくれた彼女も
もちろん今後とも協力を別の形で仰いでいこうとは思うけど。

それで
恩師のメラニー先生に5年ぶりの連絡を入れたのが
きっかけだった。
ボゴール農科大学大学院には
国内留学としてさまざまなインドネシア内の大学の
先生たちが学位を得るためにやってくる。
メラニー先生はその大学院の先生だったので
(現在は学部生のみに教えている)
きっとバンドゥン近辺の大学の先生とも
交流があるに違いないと思い
連絡を入れた。
5年ぶりという不義理にも拘らず
温かいメールを何度かいただき
最後には、
「OK、その仕事、私がやるわ」と返事をいただいた。
そうして一緒に現地をまわることになった。

メラニー先生は
東ジャワのマラン出身で、
専門は環境人類学。
開発と環境に視点を置き
その分野のジェンダー研究の専門家だ。
アメリカで学位を取り、
インドネシア社会学の英雄サヨグヨ教授の教え子で
サヨグヨ研究所のスタッフでもあった。
容姿端麗で実は
僕が大学院の頃は
彼女を「フェアリー」などと仲間内では呼んでいた。
僕の今の視点の根底を作った
ノーマンロングに出会わせてくれたのも彼女だった。
奇しくもそれは妻・小國と同じ研究分野になったのだが
僕はノーマンロングからエージェンシー(行為能力)論を抽出して
人の行動力向上に関心を強めた。
これが実は
今の技能実習生たちのビジネスプラン指導や
農園たやの経営に使われている
僕のセオリーの根底である。というのは余談。

さて、そのメラニー先生。
大学院を出てから14年の歳月が流れたが
先生はまるで昔のようだった。
美しさもそうだけど、それ以上に
頭の回転の速さにぜんぜん追いつけなかった。
昔からそうで、
何を議論をしていても彼女の知識の海に溺れてしまう。
読んでいる文献の量が違いすぎるんだと思うけど
農業分野でもなかなかついていけなかった。
勉強不足も実感したのは余談。

さて
ポテンシャル調査を行うことが
今後のタスクの一つだけど
それ以上に
一番は、今の彼らの営農スタイルに対するアドバイスを
僕は期待している。
事実彼女と一緒に卒業生の圃場をまわったのだが
技術的な部分は直接アドバイスはできないのだけど
彼女の知り合いの篤農家や
大学の先生たちを卒業生たちに紹介してくれていた。
また今進行中のコーヒーのプロジェクトは
メラニー先生の周り(IPB)でも盛んにセミナーが行われているようで
その紹介でもコーヒー栽培をしている卒業生と
盛り上がってくれていた。

卒業生たちの専門的な問題を解決する窓口に
メラニー先生がなってくれれば、と思っている。

さらにもう一点。
こっちの方が大事かも。
それはこれから受け入れるであろう
女性の実習生についてである。
農園のプログラムは帰国後に地域リーダーとなる
人材を育てることにある。
女性が農村部のどのような分野で
けん引していける存在であるのかを
僕らはイメージして研修をしないといけない。
スタッフの立崎がすでに農村部の女性のインタビューを
始めていて、それなりに報告を受けているが
今後メラニー先生の専門であるジェンダー的視点でも
この議論を開始したいと思っている。

気軽に相談できる先として
卒業生たちに定着してくれると嬉しいのだけど。
あと共同研究や共同執筆、日本からのスタディーツアー受け入れや
フェアトレードビジネスなど一緒にやっていきたいと思っているけど
まず何から始めようかねぇ。。。




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ちょっと前の話で申し訳ないが、
先週15日の金曜日に
福井農林高校の1年生を対象に
90分ほどの授業を行った。

内容はおまかせとのことだったので
それぞれの農業がどうしてそのような農業形態になるのかを
農園たやの事例を使って解説した。

僕らが何を志向するのか
それが自分たちの農業を形作るのは
確かであるが
自然的、人的、社会的、文化的な要因が
大きく関係して今の農業が
持続的なカタチとして作り上げられているのも事実。
というか、その視点が無いから
それぞれの営農が失敗するわけでもある。
ちなみに
僕らの農業が破たんするのは
その外部要因を捉える自分たちの視点が
雲っていたり、またその視点を磨くことを
怠っていたりして
外部要因を間違ってとらえている場合だと思っている。

雪国でやや大きな規模でハウス栽培での
野菜専一の農業形態を目指したのは、
福井の野菜生産量と農家の高齢化を
見据えてのことだった。
あとインドネシアがらみの雇用ありきの経営が
前提だった僕らは野菜栽培しか
その解はなかったというのもある。

意外かもしれないけど
福井は、農業後進県である。
農業生産額は47都道府県で46位。
野菜の自給率は4割程度で
6割が他県産に頼っている。
農業者の平均年齢は70.2歳で
ここ5年で20%の農家が消滅した。

こんな農業の状況なのに
行政はいたって楽観的である。
今日の農業新聞の記事では
福井県の2019年度の農業分野の予算は
2018年に比べて3.3%減。
この状況の打破を全く考えていないのが
この数字からも解る。

こうした外部要因が
僕らを野菜に特化した農業へと走らせている。
つまり県外の6割の野菜が
僕らにとって輸送や鮮度で利のある市場となり、
ライバル農家は70.2歳なので、
それに勝てるような若手中心農業形態を作り、
インドネシアのような勢いのある国との
関わりを強くしてその成長を自分たちにも取り込み、
どうせ力を入れてくれない行政なら
その補助や奨励品目を無視した
多品目栽培で勝負する。
スーパーに自分たちのコーナーを作り、
レストランで自分たちの
自慢の野菜でシェフたちを唸らせたい。
さらに最近は地元JAと協働し
それらの低稼働率の施設を有効利用して
稼働率を上げることで
自分たちの更なる生産性をアピールしたい。
そして社会の疲弊や閉塞感を打破するために
インドネシアとの生産だけでなく社会的な係わりも含めて
還元していきたい。
これが僕らの勝負の仕方だと思っている。

というのが
僕らが野菜栽培をしている理由。
農業はその表象を
僕らがどんな視点で社会や文化や自然を感じ取っているかが
表現されているべきだと思っている。

これは間違っているかどうかは
人生をかけて証明できればと思うけどね。

という授業。
分からなかったかもなぁ~、と思っていたけど、
話し終ってから2名の女子学生から
「農園たやは高卒の採用はあるのか?」とか
「夏休みなどの長期休みにバイトをしたい」と
質問もあり、それなりに伝わったようで
嬉しかったね。



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このくそ忙しい最中、
インドネシアに出張する。

スタッフも
税理士も
JICA基金の担当者も
多分みんな思っている。
なぜ、この時期なんだって。

今回の出張は
僕だけでなくいろんな人の日程を重ね合わせた中で
練り上げられた予定なので
もはや僕一人で
どうこうできるレベルではない。

今回のメインは
現地修了生たちと組織する
耕志の会インドネシア支部の総会である。
JICA基金で小規模コーヒー栽培を組織化し
活動もそれなりになりつつあるが、
予算や次年度の活動をしっかりと話し合う必要がある。
さらに
マイクロクレジットとして準備積立している、
耕志の会福井本部の口座の残金の確認と
その運用方法をみんなで確認したい。
あわせてその目的のために配置した
ローカルスタッフについても説明したい。

もう一つのメインが
僕がボゴール農科大大学院でお世話になった
恩師メラニーさんをこのサイトに案内することである。
インドネシア留学の修論指導でお世話になったメラニーさんに
現状を見せ、アドバイスをもらいつつ
なんとかボゴール農科大学をこのプロジェクトに
係わってもらえないかを狙う。
小さなプロジェクトでお金にもならないので
過度な期待は禁物だが
スタッフ立崎のいう女の子の農村リーダーという意味では
メラニーさんは農村ジェンダーの専門家なので
その辺は進展があるのではないかと期待する。
ただ、担当教官との農村ツアーは
何年、何十年経とうとも
かなり緊張するし、いつもの100倍も気を遣う。
かなり疲労困憊になるとの予想。

そこへ追い打ちをかけるように
農村調査として修了生のサイトを4か所訪問予定。
タンジュンサリ農業高校の校長先生にもアポをいれてあり
今後の派遣についても相談する。
とくに来年は新卒を採用するのだが
タンジュンサリ農業高校が求める人材像も
その採用の基準にする予定なので
きっちりと議論してきたい。
さらにさらに立崎の日本野菜栽培の活動に
僕がどうもレクチャーをする予定らしく
その準備が全く出来ていない。
たぶんこれは飛行機の中ですることになるだろうな。

さらに大事なのは
日本語学校のリサーチ。
ここがブラックボックスで
技能実習生が多額の借金を背負う場所。
ここに今回初めて調査インタビューをする予定。
何が出てくるのかは
行ってからのお楽しみ。

帰国直ぐに福井農林高校でのプレゼンを抱えていて
さらに俳句誌の原稿と俳句新聞の原稿と
毎日新聞の原稿とが、帰国直後にほぼ同時に締め切りを
向えるが、それらは一字も書けてない。。。
のは余談。

中三日でこの予定。
前回も現地で医者にかかったが
今回もたぶんそうなるだろう。
前回の診察カードも忘れずに鞄に入れたから大丈夫。
さ、明日早朝から出張だ。



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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

俳句もしております。「雪解」「街」「いつき組」に所属しております。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
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