インドネシア研修生で
今年が最終年のイマンくん。
帰国後のビジネスをより具体化するために
必要な資材や機材の見積もりを
本国の業者から
ここ最近取り寄せている。
それを月間レポートにまとめて
発表してくれた。

彼は帰国後
地域の富裕層に野菜の直販を
しようと計画している。
主には県や郡、村などの行政事務所や
病院、学校と言った場所を巡り
公務員相手に野菜の注文と販売を
行っていきたいと考えているようだ。
そこで必要となってくるのが
次の3つの機材。
「トラック」「予冷庫」「トラクター」。
農業の近代化の三種の神器ってか。

トラックは、
行政事務所や学校まで野菜を売るための足。
予冷庫は、
これが無ければ公務員の仕事後の
買い物時間までに収穫と調整を朝一から
やって間に合わせないといけない。
予冷庫があれば、前日収穫したものを
翌日は販売に専念できたりもする。
トラクターは
耕作効率を上げるためには必須。
乗用ではなくハンドトラクターを考えている。
というのも
田畑に向かう農道がほとんどなく
田越しにトラクターを移動させなければならない。
そんなこともあってか
乗用のトラクターは
インドネシアの特に研修生たちの故郷である
スマランなどの中山間地では
ほとんど見かけない。
というかハンドトラクターも見かけないけど。

問題は、
これらがすべてを初めから
そろえられないということ。
トラックは100万くらいするし
冷蔵庫も100万。
トラクターは20万程度。
で、研修生たちが貯められるお金は
大体150万程度。
他に農地購入にもお金を使うので、
思ったよりもお金はたまらないのが
現状。
なので、ビジネスを進めながら順次
これら機材を買うというのだが、
その順番はどうするのか。

2年生のデデは、
トラクターだという。
生産を安定させないと販売は難しいと
考えているようだ。
うーん、まだまだ勉強が足りないね。
僕だったらトラックだな。
足が無ければ販売は出来ない。
直販は機動力が成功の鍵。
そしてトラクターは生産効率は上がっても
それで単価は保証しないし
農業以外には使えない機材。
でもトラックはならば輸送業もできるし
便利屋的な仕事も請け負える。
直販の帰りに
魚や肉や日用品を買い込んで
地元の村々で販売することも可能だしね。
儲けを一番出すのはトラックでしょう。
で、次が予冷庫。
これが手に入れば、完全に他の農家との
差を決定的にできる。
魚や肉も鮮度が持つので
地元商店としてもずいぶんと有利になるしね。
成功したビジネスの上がりで
トラクターはそのうち買えばいい。
人件費が相対的に安いので
耕起の人手に困ることはないから
今はあわてなくても良いかな。
ただ、安定供給は必須なので
どこかで生産体制は見直さないといけないだろうけど
それはもう少し先だ。
生産から考えがちの農家は
この辺りを良く間違える。
だから、スタートが切れなかったりもするんだけど
イマン君はどうだろうか?



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NHK俳句の選者が替わった。
1週目は今井聖さんになった。
その人が
ゲストの女優さんに
「あなたにとって俳句とはなんですか?共感ですか?」
と問うていた。

この言葉は僕にも強く刺さった。
句会で楽しいのは
みんなが自分の作った句で
さまざまな想像を膨らませてくれて
沢山自分の句に点数が入った時だ。
俳句大会でもそうだ。
誰かに取られることで
共感が生まれる。
人とつながるから、
こんな時代だから、
こんなにダイレクトに
世代も性別の越えてつながる
そのダイナミズムが
愉しいと純粋に思っていた。

それを今井さんは
否定しようというのだ。
僕にとって俳句はなんだろう。

共感に走ろうとすれば、
ついつい
こんな句はみんな好きに違いない
というよこしまな考えが出てきて
得意の傾向と対策を考えて
先行事例の俳句とその組み合わせを分解して
あれこれと頭でひねった俳句を
創ろうとしてしまっていることは
事実だ。
だって、句会や俳句大会で
沢山点数がほしんだもん!

ということで、
どうも僕はゴミのような
俳句作りをしようとしていたことに
今井さんの一言で気が付いた。
小手先の共感は
それを得ようという相手にも
確かに失礼だな。

でも、
同時に共感それ自体は
やっぱり否定はできないんじゃないのかな。
誰も思いつかない感覚と
視点で人をあっと言わせるような表現も
それはあくまでもある程度
人々のぎりぎりの共感の上に
成り立っているわけだし。
自己表現の自由な詩形で
生活世界を短い言葉で
とどめようという試みは
僕らの本能的に備わっている欲望だと思う。
そして社会という
特有のつながりを作る僕らは
ここでも人とつながることを
根底に欲している。
それが、僕は今
俳句だと思っている。
今井さん、
僕は俳句は共感だと思います。


今年も農園は
積極的に学生を受け入れる。
その1回目として
日本福祉大学の
小國ゼミの学生を受け入れた。

韓国からの留学生を含む
4名の大学3年生。
3日間の福井滞在で
散策と農作業1日とBBQ、
そして最後にまとめのプレゼンをして
簡単なディスカッションをした。

こちらからのテーマは用意していなかったので
とりあえず、インタビューを受けながら
今後の彼女彼らの
視点形成に役に立てばと思い
インタビューをする人の
その意識を少し掘り下げる作業を
全体的にしていた。
その事に反応した一人の若者がいて
最後のプレゼンでそのことを
取り上げていたのが印象的だった。
きっと彼は大化け(小化け?)するに違いない。

農業ってきっとゆっくりと時間豊かな
生き方だと思っていたことだろう。
それほど自然は僕らに飼いならされていないし
僕らが他方でつながっている市場は
そんな悠長さに寛容ではない。
その両方のリズムと構造と生態の違いを
繋げる仕事が
僕らの難しさであり、やりがいでもある。

学生さん、
もっともっと面白い人間になるために
一所懸命勉強しなさい。
知識と視点と想像力と、そして発信する言葉。
それを増やしなさい。

あと、韓国のチェさん。
君、面白いね。
また福井に遊びに来てね。


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土曜日は俳句大会に参加。
実は
昨年もこの大会に出ていて
さんざんな結果だった。
その様子は、すでに記録済み。
http://tayatoru.blog62.fc2.com/blog-entry-1755.html

あれから1年。
ここ最近は句の出来も良くなり
リベンジの意味で参加した。
ちなみに職場のスタッフである立崎も
リベンジに燃え参加している。

さて、
俳句大会では
受付を終えたら
それぞれが句を練り上げる時間がある。
その間に吟行に行ってもよし、
大会前に考えた句を投句してもよしで
締切時間までは結構自由に過ごす。
我々は
受付前に雨のつつじ公園を吟行し
この会場で句を練ることにした。
順化の句会に参加している方々も
同じように吟行して句を練られていた。
ただ
この吟行が曲者で
僕は大の苦手。
つつじも、
「つつじある!」
「赤色!白色!ピンク!でいっぱいある!」
くらいしかわからない。
その現物の圧倒的な色彩や
存在に押されっぱなしで
それがある!と確認するだけで
いつも時間オーバーとなり
ダメ句を投句するということが
続いていた。
なので、
矛盾するかもしれないが
吟行ではなるべく見ないように
最近はしている。
句の視点を数個見つけたら
もうそれであとは出来るだけ見ないで
その場を離れるのである。

さて、
言葉はあまりひねらず
心の内から生まれた言葉を
そのまま書き込み投句。
1人2句投句するのだが、
1句は事前に作った句で
もう1句はその場で作ったものを
投句した。

選句ではまず会場全員での
一般選句があった。
投句された句すべてが
印刷された紙が回され
その中から自分が良いと思ったものを
3句選ぶ。
その結果発表では、
僕の出した句にはトータルで1票しか入らなかった。
ちなみにすーちゃんも一緒で1票のみ。
この時点で、
今回も惨敗だなぁ~とだるい空気が生まれていた。
もう帰ろうっかなぁ~、とすーちゃんとも
そんな話をしていた。
1年頑張っても
やっぱり先輩たちには追い付かないんだねぇ。
そんなに甘くないかぁ。

さて、一般選句が終われば
次は大会の審査員の先生たちの
選者選句に移る。
一般選句はただ参考で
ここで点数をたくさん取っても
句の評価になにも寄与しないのである。
はたして選者選句では、
なんとすーちゃんは入選2点と1点を取り大健闘!
そして僕は
投句した両方の句で選者特選をいただき、
合計点数の多さで
福井県俳句作家協会会長賞をいただいてしまった!
もうびっくり!
ちなみにその俳句は下記の通り。


白つつじ手話で語らふ男女ゐて 会長賞 選者特選 
白躑躅咥え少年だった坂 選者特選

すーちゃんの句も載せとこ。

映り込む眼鏡の雫白躑躅 入選1点
躑躅山ゆくりと下る車椅子 入選2点

昨年まで二人とも審査員選句で
零点だったのに
今年は入選や特選まで取れ
とにかく驚きの大会だった。
ここ最近、一気に力をつけている感が
あったので
期待していたが
その期待以上の結果を得ることができた。
よおおおし!
このまま突き進んで、いつかは蛇笏賞ゲットだぜぃ!
と気分よく大会を締めくくった。


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今年も3年生は苦戦中だ。
研修生は3年目に
卒業研究を行うのだが、
それは帰国後のビジネスと
直結するような研究であること、
ロジカルに物事を捉えること、
などが最低条件となっている。

研究方法論をそれほどしっかりと
教えているわけでもないので
プロポーザルを作る作業をしつつ
科学的に思考することを
一緒に身につけてもらう作業となるので
研修生にはかなりストレスの多い作業となる。

さて、今年はイマンがその作業を進めている。
例年であれば3月にはプロポーザルができあがっているが
今年はこの時期までずれこんでしまっている。
昨年のレンディもそうだったかな。
野菜の直販をしている農家に
インタビューをして
その内容をまとめたいというのが
彼の研究の骨子。

彼の地域は米とタバコ加工で
生計を立てているが
米価格が低値安定していて
農地拡大をしなければ収入増は得られない。
だのに、経済成長著しいインドネシアでは
農地価格がインフレを起こしていて
農地拡大は難しい。
農外転用の期待が高いからだ。
土地利用型よりも労働集約型の
野菜栽培で付加価値をつけたいというのが
イマンの考え。
ここまでは良かった。
だからそのままOKを出してしまおうかと思っていた。
最後の仕上げに
インドネシアの卒業生たちと
Web会議をしてその意見を聞いたら
OKを出そうと思っていた。
こんなもんかな、とどこかで考えていたのだろう。

Web会議で研修卒業生たちは
かなり厳しかった。
イマンの直売をしたいという発想からの
研究テーマの設定自体を否定するような
意見が多く寄せられた。
また研究背景にイマンの地域の野菜栽培の
問題点がリンクしていないという厳しい意見から
そもそも
その問題(土地利用型農業)が
野菜の直売でしか解決できないのか?という
意見まであった。
僕は卒業生たちの卒業研究時に
かつては
彼らが涙目になるくらい
厳しく指導したこともあった。
その度に
彼らから恨まれることも多かった。
しっかりした現状把握から
グランデッドに生み出された問題提起と
その解決に向けての行動、
それが卒業研究を通じて
彼らに教えておくべき
地域リーダーのスタイルだと思っていた。
その厳しさが
僕は年を重ねるごとに
擦り減ってしまっていた。
何の得にもならないのに
彼らから恨まれるような指導をして
何がおもしろいんだろう。
なんて考えも最近は頭をもたげ
そうして指導の手も緩んでいた。
人に嫌われるのは
想った以上にエネルギーを奪われることなので
それが怖くなったんだと今は思う。

だが、
そんな卒業研究の指導を
していても
彼らのためにはやはりならない。
卒業生たちが
かつての僕の指導を
Web会議を通じてイマンに投げつけてきたのだ。
それでいい。
そういう視点を卒業生たちが持っている事、
そういう考えで卒業生たちが今を開拓している事、
その事実が
僕の恐怖感を取り除いてくれた。

ちょっと時間がかかるだろうけど
イマン君、覚悟したまえ。
君のポテンシャルは高いので
それに合わせて、
僕は指導の厳しさを
トップギアに入れて
君をしごこうと思う。
とりあえず、
君の出したプロポーサルは
最初から作り直しだな。


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田谷 徹

Author:田谷 徹
農民です。

青年海外協力隊として3年(農業指導)、大学院生(ボゴール農科大:農村社会学専攻)として2年、計5年インドネシアにいました。

あれこれ寄り道・みちくさしましたが、再び農民にもどりました。これからは日本でぼちぼちやる予定です。

生産と生活が渾然一体となった農の営みを実践する毎日を送っています。

詳しいプロフィールは、カテゴリの「プロフィール」から「ちょっと長いプロフィール」をお読みください。

メールは
taya.tアットマークnifty.com
です。
(アットマークを@に置き換えて送信ください)

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